羊頭狗肉のベルゼブブ

人の心無いんか?

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黄金都市編

黄金都市編その1

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「それで?私に何を求めるのです?」

「黄金都市への案内・・・それに・・・」

「それに?」

 聞き返しているが、この人は僕らの答えを要求をもう見透かしている。そんな目をしている。

「黄金都市に出現した塔への攻略の力添えをお願いしたいんです。」

「それを私が承諾するとでも?」

 思っていない。この人は承諾しない、確信がある。でも僕らに頼れるのはこの人しか居ないのだ。

「お願いです。放浪者殿!私達には頼れる人はあなたしかいない!それに塔にはラバーズ様も居られるかもしれn・・・うっ!・・・」
 女騎士さんがまくし立てたが、放浪者さんの視線がゆっくりと動き女騎士さんに向いただけで言葉が出て来なくなる。

「どうしました?ほら・・・先を言いなさい。」

「あ・・・う・・・」
 蛇に睨まれたカエル。見つめられただけで上手く呼吸すらできない様子だ。

「放浪者さん。その辺で・・・」
 じっとりと汗をかきながら冷静を装って言う。ラバーズさんの名を口に出したのは迂闊だったかもしれない。
「放浪者さん。単純に僕らは弱い。フォーチュン様に会いに行くまでお願いできませんか?」

「弱いという自覚があるなら尚更彼女の元には行かせられません。彼女の足を引っ張ることになりますから・・・」

 バンッ!!!!!!

 女騎士さんが机を叩き放浪者さんを睨みつける。

「私は・・・あなたが妬ましい。そんな力があるあなたが・・・。それを使わないあなたが!!!そして悔しい!!力の無い私が・・・。私にそれだけの力があれば・・・。」

「私の力をいつ発揮するのかは私の勝手では?」

「それは・・・」

「それに、あなたが弱いのは私のせいですか?自身の問題で私に当たらないでください。」
 冷たい目、付き放つ言葉。この人はこういう人だ。独立独歩。本質的には誰の味方でも無いし誰の敵でもない。その冷たい目で射貫かれ彼女は泣きそうな顔をする。

「その辺にして貰えますか?あなたの言い分は逃げ場が無いんですよ。」

「いえ、やめません。弱いあなた方が行って、足手まといになり、フォーチュンを殺しでもしたいのですか?」

「そんなわけないでしょう。でもここでジッとしていることもできない。」

 僕達は互いに無言で視線を交わす。しばらくの後、放浪者さんが大きなため息をつき

「わかりました。一先ず黄金都市へ行きましょう。そしてあの街に聞きましょう。あなた方が塔に登る資格があるかどうかをね。」

 街に聞く?資格?いったい何を聞くというのだろう?その時の僕はまだちゃんと理解していなかった。ずっと守られて平和ボケしていたんだろう。力に善悪は無いが、その使い手はそうではないと・・・。ただ力ある者が肯定され、力無き者は全てを否定される厳しい世界だと・・・この数十年のぬるま湯ですっかり忘れていたんだ。
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