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塔内編
塔内編その40
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「こうして二人で街へお出かけするのも久しぶりですね~、先輩。」
小太りの温和そうな男性と小柄な幼児体型の女性が仲良く並んで歩いている。どちらもかつては名を残す戦士だったが、今の二人はそんな剣呑な雰囲気はなりを潜め、穏やかな日々を満喫する男女のバカップルにしか見えない。
「次元斬の介護で暫く出られなかったもんね。あ・・・そうだ!繁華街に出る前にコレクターのところ寄っていいかしら?」
「いいですよ。あの方のお見舞いですね。」
「ええ・・・本当なら私が看ないといけないんだけど・・・。」
「”あの方”の看病はコレクターさんの希望でもありますし、僕は先輩が一緒に居てくれて心強かったです。最近は無くなりましたがアーカイブの刺客がいつ来るか分かりませんでしたから・・・。」
「あの子もアーカイブの所為であんなことに・・・。ごめんなさい・・・まだ帰って来れただけ良いわよね・・・フォーチュンさんなんか帰ってこれなかったんだから・・・。」
「ぼくと先生がアーカイブに嵌められるのがもう少し遅ければフォーチュンさんと出会えていたんです・・・。そしたらあんな奴の部隊に入らないよう伝えたのに・・・。」
二人の間に暗い空気が流れ始めたのを察して緑髪の小柄な女の子が努めて明るく振舞う。
「まあ、過ぎたことは仕方ないわ。今日は折角久しぶりに街に出るんだし楽しまないと損よ!コツコツ貯めた貯金をパーッと使って甘いものでも食べましょ!」
「ほどほどにしないとまたもやし生活になりますよ!」
「『またもやしかよ・・・終いにゃ俺の腕ももやしになっちまうぜ・・・』」
「あはは!それ先生の物真似ですか?」
「似てたでしょ~。あはははは~・・・って、待って・・・」
先程まで二人して笑いあっていたのに、急に女性の方が戦士の顔つきになり、手を上げて小太りの男の子に止まるよう合図を送る。
男の子も慣れた様子で合図とともにすぐさま顔つきが変わり、身を低くして近くの茂みに隠れる。
「どうしました?」
「コレクターの家に見知らぬ男女が居る。」
「まさか!」
向かっている家までまだ1キロ以上あるが、少女の目は的確に対象を捉えていた。
「間違いない。私はスナイパーよ。見間違うわけないわ。一瞬だったけどカーテンの隙間から見えたわ。」
「いえ・・・先輩の能力を疑うわけないです。コレクターさんがやられたんですか!?そんなこと考えられない。」
「彼女は手練れよ。私もそんなこと想像できない。」
「もしかして、コレクターさんの客人・・・とか?」
「可能性はゼロじゃないけど、こんな世界よ。用心に越したことは無いわ。注意して移動しましょう。」
「分かりました。風魔法で足音を消します。」
青年が小声で詠唱し魔法を掛け終えると、二人は目だけで合図しあってから、身を低くして音も無く目的の家に近づく。
十数メートルの所まで近づいてから、女性の方が窓に近づきカーテンの隙間から中を伺う。
(見たことが無い奴等だ。だが、物取りの類じゃなさそう。普通に生活している?)
女性は青年に向かってハンドサインを送ると、青年は布で顔を隠してから正面の扉に回る。そしてゆっくり深呼吸してから扉にノックのみをした。女性はそのノックに対する中の住人の反応を見る。
(ノックに対して男の方が明らか警戒感を露わにしてる。女性の方は・・・変化無しか・・・。)
女性は青年に再び合図を行うと青年は再びノックをして今度は中に向かって平静を装って声を掛ける。
「すみませーん!すみませーん!コレクターさーん!いますか~?借りてた本を返しに来たんですけど~?」
(二人で相談しているな・・・開けるか・・・否か・・・。)
相談が終わったようで部屋の中の男が扉に近づく。
「あ、あの・・・コレクターは今、留守にしてます。あ、俺は留守を預かっている者です。決して怪しい者ではありません。本はそこに置いといてください。」
「え~・・・困りましたね・・・。これただの本じゃないんですよ。コレクターさんが持ってるくらいだから・・・なので外に置いておくのはちょっと・・・」
(いいよ・・・ぼんぼん君。中で再び相談している。開けるかどうか・・・。さあどうする?)
「わ、わかりました。今から開けます・・・。」
小柄な女性はふともものベルトから小型のナイフを三本抜き取り構える。正面で扉が開くのを待っている青年も手に持っているのは当然、本なのではない。彼が手にしているのは氷で作った刃だ。
『ガチャッ』
音を立てて僅かに扉が開くと青年は素早く足を滑り込ませて扉を開けた男性の喉元に氷の刃を突きつけた。そのまま強引に扉を開けて氷剣で牽制しながら素早く部屋の内部を見渡す。
「ひいぃぃぃぃ・・・!」
「そこの女は両手を上げろ!許可なく口を動かせばぼくの仲間のスナイパーが君の頭を貫くぞ!」
「・・・」
桃色髪のシスター風の女性は怖気づくことなく、静かに両手を挙げる。
「よし・・・先輩、いいですよ。」
青年に促され、扉から緑髪の女性が入ってきて質問をし始める。
「あなた達は何者?どうしてここに居るのかしら?」
「さ、さっきも言ったが、俺たちは留守番だ!」
「で?コレクターはどこに?」
「人探しだよ!俺は詳しく知らないんだ!巻き込まれただけなんだ!生産職で戦う力も無いんだよ、勘弁してくれ~。」
緑髪の女性が目で桃色髪の女性を促すと、
「喋ってもいいのかしら?」
部屋に突入した男女が頷く。
「コレクターはフォーチュン?という人を探しに行きましたよ。」
「コレクターが?なんでまた・・・。最近はそんな気配も見せなくなっていたのに・・・。」
「私達が来たからじゃないかしら?」
「どういうこと?」
「う~ん・・・私ではないのだけれど、仲間がフォーチュンとの知り合いでね。それでやる気出したみたい。まあ、その知り合いが今絶賛人さらいにあってるんだけど?」
「全く事情が分からないわ・・・。」
「こうして、手を挙げて話すのも疲れるわ~。疑いは晴れたでしょ?お茶でもしながら話しましょうよ。どうぞ、お掛けになって。」
「お、おい!勝手に・・・」
「いいわよ。ぼんぼん君。お茶を頂きましょ。」
「せ、先輩がそう言うなら・・・。」
二人はテーブルに腰かけ、桃色の女性からこれまでの経緯を聞くこととなった。
________________________________
「つまり・・・そのストラクチャーという人はバニラという仲間を助けに。コレクターさんは当初フォーチュン救出に誘おうとしてたバニラさんが居なくなったが、救出の準備を進めていたので、そのまま出発したって事?」
「だいたい要約するとそうですね。」
私達はテーブルについてリペアペイメントと名乗った桃色髪のシスター風の女性から話を聞いていた。
「ふむ・・・。」
「先輩・・・。」
「わかってる。」
私はそんなにフォーチュンさんとの深い仲じゃない。たった数日過ごしただけだ。だが彼は違う。長い間、直接的ではないが次元斬を通してフォーチュンさんと繋がっていた。しかし、その彼でも”ストラクチャー”も”バニラ”も心当たりは無いようだ。
「あなたの仲間はそれで全部?他には?」
「う~ん、まあ、仲間と言える程一緒に行動したわけではないのですが、喋るガルムにえーっと・・・?カルデラ?それに黄金都市でアイドルやっていたえーっとあ、あい・・・アイスクリーム。あとは・・・アド・・・アド・・・アドバンス?ですかね。」
彼女はあごに指を当てて視線は左上を見ながら、私の質問に答えてくれたが、随分胡乱な様子だ。アイスに窪地、最後の人に至っては進歩?名作携帯ゲーム機じゃないよね?絶対に間違えているであろう名前を教えてくれる。
無駄だとは思うが隣に居る彼に視線を送ると、彼は静かに首を振る。やはり駄目か・・・。私は彼女に向き直り質問を続けた。
「・・・それで他の仲間はどこに?」
「絶賛はぐれ中です~。もし見つけたらご一報お願いしますね~。私達はコレクターさんが帰ってくるまでここで留守番を任されてますので~。」
「そ、そう。それじゃ、上の彼に挨拶してきてもいいかしら?」
「ええ。今日もよく寝ていますよ。」
私はリペアさんとぼんぼん君と三人で二階へ上がる。日のあたる窓際に置かれたベッドに聡明そうな顔立ちの青年が眠っている。私はいつもやっているように彼の傍に座って髪を掬い額を撫でる。
「久しぶり。中々会いに来れなくてごめんね。」
話しかけてももちろん反応は無い。
「先輩・・・。」
ぼんぼん君が心配そうな顔で私を見る。なんだよ、彼を見つめてるときの私ってそんなに変な顔してるのかな?
「全く・・・いつになったらこのお寝坊さんは起きるんだか・・・。おーい、待ってるんだぞ~。私の軍司さん。」
そう話しかけた時だった。あっけらかんとした声でとんでもないことを言ったのはリペアさんだった。
「あら?その男性。ライブラリーさん・・・でしたっけ?起こしてほしいのですか?」
「・・・・は?」
「たぶんできますよ?時間はかかるでしょうけど。」
「どどどどどどどいうこと!?」
「私の能力は治すことに特化してますから~。正確には巻き戻してるんですけどね~。起こせると思いますけど。」
「なんで今までしなかったのよ!?」
「せ、先輩落ち着いて!」
掴みかかるような勢いの私をぼんぼん君が間に入って止めにかかる。そんな私に彼女は相も変わらずあっけらかんとしたにこやかな態度でこう言ったのだ。
「え~、だって・・・。」
「・・・だって?」
「誰にも頼まれませんでしたし?私がコレクターさんからお願いされたのは『眠っている彼のお世話をよろしく』ですから♪」
私はその言葉を聞いて怒りの気持ちもしぼんでへなへなとしゃがみ込む。なんなのよ・・・この子は・・・。
小太りの温和そうな男性と小柄な幼児体型の女性が仲良く並んで歩いている。どちらもかつては名を残す戦士だったが、今の二人はそんな剣呑な雰囲気はなりを潜め、穏やかな日々を満喫する男女のバカップルにしか見えない。
「次元斬の介護で暫く出られなかったもんね。あ・・・そうだ!繁華街に出る前にコレクターのところ寄っていいかしら?」
「いいですよ。あの方のお見舞いですね。」
「ええ・・・本当なら私が看ないといけないんだけど・・・。」
「”あの方”の看病はコレクターさんの希望でもありますし、僕は先輩が一緒に居てくれて心強かったです。最近は無くなりましたがアーカイブの刺客がいつ来るか分かりませんでしたから・・・。」
「あの子もアーカイブの所為であんなことに・・・。ごめんなさい・・・まだ帰って来れただけ良いわよね・・・フォーチュンさんなんか帰ってこれなかったんだから・・・。」
「ぼくと先生がアーカイブに嵌められるのがもう少し遅ければフォーチュンさんと出会えていたんです・・・。そしたらあんな奴の部隊に入らないよう伝えたのに・・・。」
二人の間に暗い空気が流れ始めたのを察して緑髪の小柄な女の子が努めて明るく振舞う。
「まあ、過ぎたことは仕方ないわ。今日は折角久しぶりに街に出るんだし楽しまないと損よ!コツコツ貯めた貯金をパーッと使って甘いものでも食べましょ!」
「ほどほどにしないとまたもやし生活になりますよ!」
「『またもやしかよ・・・終いにゃ俺の腕ももやしになっちまうぜ・・・』」
「あはは!それ先生の物真似ですか?」
「似てたでしょ~。あはははは~・・・って、待って・・・」
先程まで二人して笑いあっていたのに、急に女性の方が戦士の顔つきになり、手を上げて小太りの男の子に止まるよう合図を送る。
男の子も慣れた様子で合図とともにすぐさま顔つきが変わり、身を低くして近くの茂みに隠れる。
「どうしました?」
「コレクターの家に見知らぬ男女が居る。」
「まさか!」
向かっている家までまだ1キロ以上あるが、少女の目は的確に対象を捉えていた。
「間違いない。私はスナイパーよ。見間違うわけないわ。一瞬だったけどカーテンの隙間から見えたわ。」
「いえ・・・先輩の能力を疑うわけないです。コレクターさんがやられたんですか!?そんなこと考えられない。」
「彼女は手練れよ。私もそんなこと想像できない。」
「もしかして、コレクターさんの客人・・・とか?」
「可能性はゼロじゃないけど、こんな世界よ。用心に越したことは無いわ。注意して移動しましょう。」
「分かりました。風魔法で足音を消します。」
青年が小声で詠唱し魔法を掛け終えると、二人は目だけで合図しあってから、身を低くして音も無く目的の家に近づく。
十数メートルの所まで近づいてから、女性の方が窓に近づきカーテンの隙間から中を伺う。
(見たことが無い奴等だ。だが、物取りの類じゃなさそう。普通に生活している?)
女性は青年に向かってハンドサインを送ると、青年は布で顔を隠してから正面の扉に回る。そしてゆっくり深呼吸してから扉にノックのみをした。女性はそのノックに対する中の住人の反応を見る。
(ノックに対して男の方が明らか警戒感を露わにしてる。女性の方は・・・変化無しか・・・。)
女性は青年に再び合図を行うと青年は再びノックをして今度は中に向かって平静を装って声を掛ける。
「すみませーん!すみませーん!コレクターさーん!いますか~?借りてた本を返しに来たんですけど~?」
(二人で相談しているな・・・開けるか・・・否か・・・。)
相談が終わったようで部屋の中の男が扉に近づく。
「あ、あの・・・コレクターは今、留守にしてます。あ、俺は留守を預かっている者です。決して怪しい者ではありません。本はそこに置いといてください。」
「え~・・・困りましたね・・・。これただの本じゃないんですよ。コレクターさんが持ってるくらいだから・・・なので外に置いておくのはちょっと・・・」
(いいよ・・・ぼんぼん君。中で再び相談している。開けるかどうか・・・。さあどうする?)
「わ、わかりました。今から開けます・・・。」
小柄な女性はふともものベルトから小型のナイフを三本抜き取り構える。正面で扉が開くのを待っている青年も手に持っているのは当然、本なのではない。彼が手にしているのは氷で作った刃だ。
『ガチャッ』
音を立てて僅かに扉が開くと青年は素早く足を滑り込ませて扉を開けた男性の喉元に氷の刃を突きつけた。そのまま強引に扉を開けて氷剣で牽制しながら素早く部屋の内部を見渡す。
「ひいぃぃぃぃ・・・!」
「そこの女は両手を上げろ!許可なく口を動かせばぼくの仲間のスナイパーが君の頭を貫くぞ!」
「・・・」
桃色髪のシスター風の女性は怖気づくことなく、静かに両手を挙げる。
「よし・・・先輩、いいですよ。」
青年に促され、扉から緑髪の女性が入ってきて質問をし始める。
「あなた達は何者?どうしてここに居るのかしら?」
「さ、さっきも言ったが、俺たちは留守番だ!」
「で?コレクターはどこに?」
「人探しだよ!俺は詳しく知らないんだ!巻き込まれただけなんだ!生産職で戦う力も無いんだよ、勘弁してくれ~。」
緑髪の女性が目で桃色髪の女性を促すと、
「喋ってもいいのかしら?」
部屋に突入した男女が頷く。
「コレクターはフォーチュン?という人を探しに行きましたよ。」
「コレクターが?なんでまた・・・。最近はそんな気配も見せなくなっていたのに・・・。」
「私達が来たからじゃないかしら?」
「どういうこと?」
「う~ん・・・私ではないのだけれど、仲間がフォーチュンとの知り合いでね。それでやる気出したみたい。まあ、その知り合いが今絶賛人さらいにあってるんだけど?」
「全く事情が分からないわ・・・。」
「こうして、手を挙げて話すのも疲れるわ~。疑いは晴れたでしょ?お茶でもしながら話しましょうよ。どうぞ、お掛けになって。」
「お、おい!勝手に・・・」
「いいわよ。ぼんぼん君。お茶を頂きましょ。」
「せ、先輩がそう言うなら・・・。」
二人はテーブルに腰かけ、桃色の女性からこれまでの経緯を聞くこととなった。
________________________________
「つまり・・・そのストラクチャーという人はバニラという仲間を助けに。コレクターさんは当初フォーチュン救出に誘おうとしてたバニラさんが居なくなったが、救出の準備を進めていたので、そのまま出発したって事?」
「だいたい要約するとそうですね。」
私達はテーブルについてリペアペイメントと名乗った桃色髪のシスター風の女性から話を聞いていた。
「ふむ・・・。」
「先輩・・・。」
「わかってる。」
私はそんなにフォーチュンさんとの深い仲じゃない。たった数日過ごしただけだ。だが彼は違う。長い間、直接的ではないが次元斬を通してフォーチュンさんと繋がっていた。しかし、その彼でも”ストラクチャー”も”バニラ”も心当たりは無いようだ。
「あなたの仲間はそれで全部?他には?」
「う~ん、まあ、仲間と言える程一緒に行動したわけではないのですが、喋るガルムにえーっと・・・?カルデラ?それに黄金都市でアイドルやっていたえーっとあ、あい・・・アイスクリーム。あとは・・・アド・・・アド・・・アドバンス?ですかね。」
彼女はあごに指を当てて視線は左上を見ながら、私の質問に答えてくれたが、随分胡乱な様子だ。アイスに窪地、最後の人に至っては進歩?名作携帯ゲーム機じゃないよね?絶対に間違えているであろう名前を教えてくれる。
無駄だとは思うが隣に居る彼に視線を送ると、彼は静かに首を振る。やはり駄目か・・・。私は彼女に向き直り質問を続けた。
「・・・それで他の仲間はどこに?」
「絶賛はぐれ中です~。もし見つけたらご一報お願いしますね~。私達はコレクターさんが帰ってくるまでここで留守番を任されてますので~。」
「そ、そう。それじゃ、上の彼に挨拶してきてもいいかしら?」
「ええ。今日もよく寝ていますよ。」
私はリペアさんとぼんぼん君と三人で二階へ上がる。日のあたる窓際に置かれたベッドに聡明そうな顔立ちの青年が眠っている。私はいつもやっているように彼の傍に座って髪を掬い額を撫でる。
「久しぶり。中々会いに来れなくてごめんね。」
話しかけてももちろん反応は無い。
「先輩・・・。」
ぼんぼん君が心配そうな顔で私を見る。なんだよ、彼を見つめてるときの私ってそんなに変な顔してるのかな?
「全く・・・いつになったらこのお寝坊さんは起きるんだか・・・。おーい、待ってるんだぞ~。私の軍司さん。」
そう話しかけた時だった。あっけらかんとした声でとんでもないことを言ったのはリペアさんだった。
「あら?その男性。ライブラリーさん・・・でしたっけ?起こしてほしいのですか?」
「・・・・は?」
「たぶんできますよ?時間はかかるでしょうけど。」
「どどどどどどどいうこと!?」
「私の能力は治すことに特化してますから~。正確には巻き戻してるんですけどね~。起こせると思いますけど。」
「なんで今までしなかったのよ!?」
「せ、先輩落ち着いて!」
掴みかかるような勢いの私をぼんぼん君が間に入って止めにかかる。そんな私に彼女は相も変わらずあっけらかんとしたにこやかな態度でこう言ったのだ。
「え~、だって・・・。」
「・・・だって?」
「誰にも頼まれませんでしたし?私がコレクターさんからお願いされたのは『眠っている彼のお世話をよろしく』ですから♪」
私はその言葉を聞いて怒りの気持ちもしぼんでへなへなとしゃがみ込む。なんなのよ・・・この子は・・・。
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