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12.お見舞い
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大きな総合病院ではあるが、思っていたよりも中に人はおらず静かだった。四階の病室には美波翼という表札が付けられており、美波さんの家族だというのも一目でわかる。そこで美波さんは一旦立ち止まると、大きく深呼吸をしてから扉をノックした。
「失礼します」
まるで職員室に入る時のような礼儀正しさで扉を開ける美波さん。ずっと俺に対しても敬語なあたりから厳しい家庭で育ったのではないかとも思っていたが、あながち間違いではなかったのだろう。どんな厳しいお父さんが待っているのか――。そう思って緊張していた俺だったが、病室にいたのは柔和な笑みを浮かべた優しそうな男性だった。痩せ細り、控えめに言っても元気そうとは言えないが、厳しそうな印象は全く受けなかった。
「聖奈か。ん? そっちの子は?」
美波さんのお父さんは開口一番後ろに立っていた俺について質問をしてきた。それはそうだろう。高校入学初日から知らない男を連れてこられたら初めに聞きたくもなる。美波さんに俺の紹介を任せようかと思ってちらりと顔を見てみると、挙動不審に視線を泳がせていた。父親と話をするのに緊張しているようにも見える。二人の関係が分からない俺にはその様子がおかしいのかどうかは判断できない。しかし美波さん自身が話し辛そうにしていることだけは分かる。なので俺は一歩前に出て自己紹介をすることに決めた。普通の男ならこういう時に堂々としているものだろう。
「俺は美波さんのクラスメイトで真壁鏡平と言います。今日は探しものを手伝って欲しいと言われてついて来ました」
最低限の情報だけの自己紹介。美波さんのお父さんはその自己紹介を聞いて若干眉をひそめはしたものの、それ以上に不審がったり嫌悪感を表したりはしなかった。
「そう……か……。リラックスしてと言っても難しいかもしれないが椅子にでも座って楽にしてくれて良いからね」
「はい」
俺は返事をすると病室の中に立てかけられていたパイプ椅子を二つ並べると、美波さんのお父さんから少し離れた方の椅子に座った。美波さんは俺が置いたパイプ椅子に座ると姿勢を正してお父さんを見ている。なぜだか親子とは思えない距離を感じる。あまり会う機会がない親戚のおじさんに会った時の感じを思い出す。嫌いではないし相手からも嫌われていないと分かっているものの、年上に何を話せば良いか分からない感覚。それが今の美波さんからも伝わってくる。
「聖奈もそんなに気を張らなくていいんだよ。親子なんだから」
美波さんのお父さんも美波さんの様子を見て優しく告げた。威圧するでもなく純粋に優しさからくる言葉のように思える。しかしわざわざ親子なんだからという言葉を使ったことに若干の違和感を覚える。
「えっと、探しものがあって来たんだっけ? お父さんに手伝えることがあったら遠慮なく言ってね」
そう言った美波さんのお父さん。探しものを手伝ってくれる人が増えるのなら俺としては助かる。この普通じゃないおかしな関係を解消するために少しでも早く見つけたい。美波さんが言っていたお父さんと話をして欲しいというのももしかしたら協力を仰ぐためなのかもしれない。
「私が通っていた中学校と小学校までの行き方を教えてください」
「失礼します」
まるで職員室に入る時のような礼儀正しさで扉を開ける美波さん。ずっと俺に対しても敬語なあたりから厳しい家庭で育ったのではないかとも思っていたが、あながち間違いではなかったのだろう。どんな厳しいお父さんが待っているのか――。そう思って緊張していた俺だったが、病室にいたのは柔和な笑みを浮かべた優しそうな男性だった。痩せ細り、控えめに言っても元気そうとは言えないが、厳しそうな印象は全く受けなかった。
「聖奈か。ん? そっちの子は?」
美波さんのお父さんは開口一番後ろに立っていた俺について質問をしてきた。それはそうだろう。高校入学初日から知らない男を連れてこられたら初めに聞きたくもなる。美波さんに俺の紹介を任せようかと思ってちらりと顔を見てみると、挙動不審に視線を泳がせていた。父親と話をするのに緊張しているようにも見える。二人の関係が分からない俺にはその様子がおかしいのかどうかは判断できない。しかし美波さん自身が話し辛そうにしていることだけは分かる。なので俺は一歩前に出て自己紹介をすることに決めた。普通の男ならこういう時に堂々としているものだろう。
「俺は美波さんのクラスメイトで真壁鏡平と言います。今日は探しものを手伝って欲しいと言われてついて来ました」
最低限の情報だけの自己紹介。美波さんのお父さんはその自己紹介を聞いて若干眉をひそめはしたものの、それ以上に不審がったり嫌悪感を表したりはしなかった。
「そう……か……。リラックスしてと言っても難しいかもしれないが椅子にでも座って楽にしてくれて良いからね」
「はい」
俺は返事をすると病室の中に立てかけられていたパイプ椅子を二つ並べると、美波さんのお父さんから少し離れた方の椅子に座った。美波さんは俺が置いたパイプ椅子に座ると姿勢を正してお父さんを見ている。なぜだか親子とは思えない距離を感じる。あまり会う機会がない親戚のおじさんに会った時の感じを思い出す。嫌いではないし相手からも嫌われていないと分かっているものの、年上に何を話せば良いか分からない感覚。それが今の美波さんからも伝わってくる。
「聖奈もそんなに気を張らなくていいんだよ。親子なんだから」
美波さんのお父さんも美波さんの様子を見て優しく告げた。威圧するでもなく純粋に優しさからくる言葉のように思える。しかしわざわざ親子なんだからという言葉を使ったことに若干の違和感を覚える。
「えっと、探しものがあって来たんだっけ? お父さんに手伝えることがあったら遠慮なく言ってね」
そう言った美波さんのお父さん。探しものを手伝ってくれる人が増えるのなら俺としては助かる。この普通じゃないおかしな関係を解消するために少しでも早く見つけたい。美波さんが言っていたお父さんと話をして欲しいというのももしかしたら協力を仰ぐためなのかもしれない。
「私が通っていた中学校と小学校までの行き方を教えてください」
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