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18.先生
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俺はそれを聞いて肩を落とし、校門に力なくもたれかかった。何も、情報が、無さすぎる。
「もう諦めていいかな?」
「わー! 待ってください! 見捨てないでください! お願いします! 何でもしますから!」
何でもするってのは初めに聞いた。とはいえ、探しものをするための情報をくれないというのはその何でもするの内に入らないのだろうか。
「何でもするって言うなら探しものをするために何でも教えてよ」
「それは……真壁君に嫌われたくないので待ってください」
頑なに秘密にしていることでどんどんハードルが上がっているとこの子は理解しているのだろうか。もうここまで来ると余程のことじゃないと驚きもしない気がする。
「あら? 美波さん?」
俺が校門に額を押し当てて唸っていると少し離れたところから声をかけられた。とは言っても俺にではなくて美波さんがだけれど。誰かと思って顔を上げると五十過ぎに見える恰幅の良い女性だった。スーツ姿が板についている彼女は美波さんのそばへと嬉しそうに近付いてきた。いっぽうの美波さんはというと明らかに緊張している。先程俺が怒られるかもしれないと言ったせいだろうか。今なら少し気にし過ぎていただけだと思えてくる。
「新しい高校の制服可愛いわね。今日は体調も良さそうで先生安心するわ」
「はい……えっと……お日柄もよろしく……」
自ら先生と言った彼女はとても友好的だったが、美波さんは緊張したまま訳の分からない返答をしている。この子は俺以外とまともにコミュニケーションをとることができないのか……?
「高校生になったからってそんなに突然大人になろうとしなくても大丈夫よ。今日はどうしたの?」
「えっと……ちょっと母校が懐かしく思えまして……その……」
もごもごと歯切れの悪い言葉を紡ぐ美波さんだったが、先生は何かを察したかのようにパッと明るい表情になる。
「そうね。卒業式も出られなかったものね。せっかくだから少し学校歩いてみる? せっかく元気になったんだものね」
「あ、はい。お言葉に甘えさせていただきます」
「相変わらず丁寧ね。おいで。……えっとそっちの子は高校の同級生?」
先生は話が決まるとようやく俺の存在に疑問を持った。流石に卒業生でもない人がいると何も聞かない訳にはいかないだろう。怪しいものではないとは制服を着ているおかげで思われないだろうし、何より俺の見た目は誰の目から見てもごく普通の高校生のはずだ。
「はい。クラスが一緒で友達になりました」
俺がすぐにそう答えると先生はまたしても嬉しそうに笑った。本当に優しそうな先生だ。
「そう。美波さんも高校ではちゃんと友達ができて良かったわね。中学の時は病気であまり学校に来られなくて寂しい想いしてたんじゃないかと心配してたから」
今は健康体にしか見えない分、信じられない思いだったが、美波さんが病気というのは紛れもない事実だったようだ。美波さんの病気……。直接何の病気だったかは聞いていないが、あまり学校に来られないほどの大病だったのだろうか……。それなら部活に入っていないというのも仕方のないことなのかもしれない。
「せっかくだし、三年生の時の教室で少しお話しましょうかね」
先生はそう言うと踵を返してゆっくりと歩き始めた。それに付いて行くように足を踏み出す俺。そして俺に付いてくるようにして歩く美波さん。できることなら美波さんには俺より前を歩いて欲しいところだけれど、見ていた限りだと先生ともあまりコミュニケーションを取りたそうにしていないし、諦めた方がよさそうだ。
「もう諦めていいかな?」
「わー! 待ってください! 見捨てないでください! お願いします! 何でもしますから!」
何でもするってのは初めに聞いた。とはいえ、探しものをするための情報をくれないというのはその何でもするの内に入らないのだろうか。
「何でもするって言うなら探しものをするために何でも教えてよ」
「それは……真壁君に嫌われたくないので待ってください」
頑なに秘密にしていることでどんどんハードルが上がっているとこの子は理解しているのだろうか。もうここまで来ると余程のことじゃないと驚きもしない気がする。
「あら? 美波さん?」
俺が校門に額を押し当てて唸っていると少し離れたところから声をかけられた。とは言っても俺にではなくて美波さんがだけれど。誰かと思って顔を上げると五十過ぎに見える恰幅の良い女性だった。スーツ姿が板についている彼女は美波さんのそばへと嬉しそうに近付いてきた。いっぽうの美波さんはというと明らかに緊張している。先程俺が怒られるかもしれないと言ったせいだろうか。今なら少し気にし過ぎていただけだと思えてくる。
「新しい高校の制服可愛いわね。今日は体調も良さそうで先生安心するわ」
「はい……えっと……お日柄もよろしく……」
自ら先生と言った彼女はとても友好的だったが、美波さんは緊張したまま訳の分からない返答をしている。この子は俺以外とまともにコミュニケーションをとることができないのか……?
「高校生になったからってそんなに突然大人になろうとしなくても大丈夫よ。今日はどうしたの?」
「えっと……ちょっと母校が懐かしく思えまして……その……」
もごもごと歯切れの悪い言葉を紡ぐ美波さんだったが、先生は何かを察したかのようにパッと明るい表情になる。
「そうね。卒業式も出られなかったものね。せっかくだから少し学校歩いてみる? せっかく元気になったんだものね」
「あ、はい。お言葉に甘えさせていただきます」
「相変わらず丁寧ね。おいで。……えっとそっちの子は高校の同級生?」
先生は話が決まるとようやく俺の存在に疑問を持った。流石に卒業生でもない人がいると何も聞かない訳にはいかないだろう。怪しいものではないとは制服を着ているおかげで思われないだろうし、何より俺の見た目は誰の目から見てもごく普通の高校生のはずだ。
「はい。クラスが一緒で友達になりました」
俺がすぐにそう答えると先生はまたしても嬉しそうに笑った。本当に優しそうな先生だ。
「そう。美波さんも高校ではちゃんと友達ができて良かったわね。中学の時は病気であまり学校に来られなくて寂しい想いしてたんじゃないかと心配してたから」
今は健康体にしか見えない分、信じられない思いだったが、美波さんが病気というのは紛れもない事実だったようだ。美波さんの病気……。直接何の病気だったかは聞いていないが、あまり学校に来られないほどの大病だったのだろうか……。それなら部活に入っていないというのも仕方のないことなのかもしれない。
「せっかくだし、三年生の時の教室で少しお話しましょうかね」
先生はそう言うと踵を返してゆっくりと歩き始めた。それに付いて行くように足を踏み出す俺。そして俺に付いてくるようにして歩く美波さん。できることなら美波さんには俺より前を歩いて欲しいところだけれど、見ていた限りだと先生ともあまりコミュニケーションを取りたそうにしていないし、諦めた方がよさそうだ。
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