過労死社畜は悪役令嬢に転生して経済革命を起こす

色部耀

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火の王国編

え、私声に出しちゃってた?

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「ベンネスとグランメイズの国境警備によるとそれらしき人物は通っていないとのこと。おそらくは火の国へと逃げたのではと」

 土の国と接する国は水の国と火の国の2つ。しかし火の国か……。

「火の国はすでに王都が滅びており、現在そのほとんどが闇の国の支配下にあります」

 私がこの世界に来てから作ったロードマップ。そこには火の国に行くのは最後となっている。世界をぐるっと一周回って最後に足を踏み入れるのが火の国だから。
 各国の王子たちのエピソードをクリアして力をつけてから訪れる地だから。
 しかし、彼らを野放しにして本来のシナリオの順番通りに進むべきなのかは悩みどころ……。それにミラという名前……。不安要素でしかない。早めに手を打つべきか……。

「グランメイズの兵も火の国に向かっているようですが、なにせ闇の勢力下です。見つかるかどうか……」

 だからといって私たちが行ってどうなるのか……。ゲームでも火の国には隠し通路を使って滅びた王宮に向かい、生き残りの火の王子から剣のエンブレムを貰って終わり。もし闇の国の兵や魔物と戦闘になったらどうなるか分からない。

「でもそれならアレクサンダーとミラもどうなるのか分からないよね?」
「闇の勢力でなければ……ですね」

 そっか……。ミラが何者か分からない限り何ができるかも分からないわけで……。

「行きましょう。火の国に」

 私の直感が放っておくと大変なことになると告げる。もし2人を捕まえることができなかったとしても状況や目的を探ることはできるかもしれない。
 何か悪事を企てているなら対策を打てるかもしれない。それに火の国にも安全な場所もある。

「火の国には温泉街があるらしいから、そこで情報収集しましょ」

 不死鳥が守る街。聖なる水が湧き出る街。魔物も闇の国の者も近寄らない街。そこなら心配はない。ゲームだとそこから地下道を通って王宮に向かうことになる。
 しかし私の提案を聞いてメアリーとクロードは目の色を曇らせた。

「はあ……。レジーナ様はやはりレジーナ様ですね」
「火の国の温泉……有名ですからね……」
「え、待って。違うから。ちゃんと考えてるから温泉入りたいって理由だけじゃないから」
「温泉に入りたいというのは間違いないのですね」
「あ……」

 墓穴を掘った。言葉には何かしら本心が現れるというけど、私の場合は本心がダダ漏れなのかもしれない。
 いや、だって温泉入りたいじゃん。不死鳥の温泉卵食べたいじゃん。

「不死鳥の温泉卵が食べたいのですか?」
「え、温泉卵食べたいって声に出てた?」
「声には出ていません」
「2人して私のこと馬鹿にしてない?!」

 なんだかちょっぴりいじめられた気もするけど、次の目的地は火の国に決定した。こうなったら温泉楽しみまくるし、温泉卵食べまくるもん。
 待ってろ火の国。
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