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1章
1A-お披露目
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召喚は可能で帰還は不可能とは、これまた随分一方的な話だな。
「この召喚の儀式は単なる転送魔法とは異なる。ミューサ神の意思によって相応しいと判断された者達を、異世界から呼び寄越すものである。
そなたらが何処から来たのかも判らぬゆえに、この世界の転送魔法は使えぬ。再びそなた達の世界の者が何らかの魔法によってそなたらを召喚するなら別だが。」
なるほど。この世界には魔法があるのか。
魔法によって呼び出されたから、同じ魔法によって元の世界から呼び出されるしかないと。
真っ当な理屈ではあるが、魔法の無い世界から来た者にとっては、強制拉致に等しい。
「それは困る! 僕には両親の期待に応えて、立派な音楽家になるという使命があるんだ!」
「ぬぬぅ……それではもう小生はアニメが観れぬのでござるか?
それは困りましたぞ……。」
各々が至極当然に不平を口にするが、国王は焦ることなく応える。
「立派な音楽家にはここでなれば良かろう。ヴィシュガルド王国において音楽の功績を遺した者に、富と名声は尽きぬ。
特に最も優れた者には国王に次ぐ地位と名誉が与えられる。さらにその才能を後世に遺す為、望む者を望むだけ娶る事が出来る。」
なんだと!? つまりハーレムOK!?
これは童貞卒業どころか酒池肉林も夢じゃないってことか!
俄然やる気が出てきたぜ!
「しかして、その者の言うアニメとは……?」
恐らく初めて聞くであろう言葉に疑問を抱く国王に、オタクは悠々と応える。
「アニメとはこの上着に描かれた小生の嫁でござる!」
いやそんな自信満々に猫耳娘を見せつけても伝わらねえだろ……。
「なるほど。そこに描かれる獣人の娘がそなたの妻であったか。
それは残念な事であった。しかし、ヴィシュガルド王国にも美しい女人は大勢おる。勿論そなたの妻のような獣人の女も。
そなたが大いなる功績を遺した暁には、好きなだけ獣人の娘を娶るがよい。」
「小生精一杯音楽に励むでござる!!」
凄まじき速さの手のひら返し。
この世界には獣人もいるのか。亜人ってやつの類いだろうか。それは俺も一目見てみたいな。
いやいや決してやましい意味ではない。
ただ、少し見てみたいと思っただけだ。
「然るに、そなたらの音楽の腕前を拝見したいのだが、そなたらが持っておる楽器はなんであるか?」
国王が訊ねると、真っ先に小太りが応えた。
「これはドラムと言いまして、このスティックで叩いて演奏する楽器です。」
小太りは軽く叩きながらドラムについて説明する。
「ふむ。同じものが我が国にもあるな。どれ、演奏して見せよ。」
どうやらこの世界にもドラムはあるらしい。祭壇にもクラシックで使われるパーカッションのようなものが置かれている。
「本当は軽くウォーミングアップしておきたいところですが、まあ良いでしょう。」
多少の不満を漏らしつつも、小太りはスネアドラムを「スタタンッ」と叩き、軽快に演奏を始めた。
繊細なドラムロールが鳴り響く。
始めは静かに、そして徐々に大きく。
やがてスネアドラムの音が一体を包み込む程に大きくなったところでシンバルとバスドラムが弾ける。
すかさずビートに移る。
跳ねたシャッフルビートにジャズ調のフィルインが要所に盛り込まれる。
機械の如く正確に刻まれるハイハットに、絶妙な強弱で弾くスネアドラムがリズムをコントロールし、流れるようなタム回しが飾る。
ズシンとバスドラムが心地よく体に響く。
上手い、上手すぎるだろ。
ジャズには疎い奏太にも、小太りのドラムが相当に鍛練されたものであることが理解出来た。
まるで周りにいた群衆がこつ然と消え失せたかのように、ドラムソロが空間を支配した。
だが、
キモい、キモすぎる。
顔は愉悦の感情に歪み、汗は四方に飛び散っている。
皮膚はまるでとんこつラーメンのスープのようにテカっている。
いや確かに上手すぎるけど、それ以上にこの光景は酷くないか?
多少引きながら見ていると、ドラムソロはクライマックスに達した。
徐々に激しさが増し、シンバルが一段と大きく鳴り響いたところで演奏は終了した。
「ーーふう。ま、こんなものですかね。」
小太りは滝のように流れ落ちる汗をヌルッとぬぐいながら、息荒くキメ台詞を吐いた。
場にはしばらく沈黙が続いた。
確かに上手かったけど、あんだけキモい姿見せられたら流石にな…。
一応健闘を称えるか。
そう思い奏太が軽く拍手を送ろうとした瞬間、
「ワァーーーッ!」
突然、場は拍手喝采に包まれたーー
「この召喚の儀式は単なる転送魔法とは異なる。ミューサ神の意思によって相応しいと判断された者達を、異世界から呼び寄越すものである。
そなたらが何処から来たのかも判らぬゆえに、この世界の転送魔法は使えぬ。再びそなた達の世界の者が何らかの魔法によってそなたらを召喚するなら別だが。」
なるほど。この世界には魔法があるのか。
魔法によって呼び出されたから、同じ魔法によって元の世界から呼び出されるしかないと。
真っ当な理屈ではあるが、魔法の無い世界から来た者にとっては、強制拉致に等しい。
「それは困る! 僕には両親の期待に応えて、立派な音楽家になるという使命があるんだ!」
「ぬぬぅ……それではもう小生はアニメが観れぬのでござるか?
それは困りましたぞ……。」
各々が至極当然に不平を口にするが、国王は焦ることなく応える。
「立派な音楽家にはここでなれば良かろう。ヴィシュガルド王国において音楽の功績を遺した者に、富と名声は尽きぬ。
特に最も優れた者には国王に次ぐ地位と名誉が与えられる。さらにその才能を後世に遺す為、望む者を望むだけ娶る事が出来る。」
なんだと!? つまりハーレムOK!?
これは童貞卒業どころか酒池肉林も夢じゃないってことか!
俄然やる気が出てきたぜ!
「しかして、その者の言うアニメとは……?」
恐らく初めて聞くであろう言葉に疑問を抱く国王に、オタクは悠々と応える。
「アニメとはこの上着に描かれた小生の嫁でござる!」
いやそんな自信満々に猫耳娘を見せつけても伝わらねえだろ……。
「なるほど。そこに描かれる獣人の娘がそなたの妻であったか。
それは残念な事であった。しかし、ヴィシュガルド王国にも美しい女人は大勢おる。勿論そなたの妻のような獣人の女も。
そなたが大いなる功績を遺した暁には、好きなだけ獣人の娘を娶るがよい。」
「小生精一杯音楽に励むでござる!!」
凄まじき速さの手のひら返し。
この世界には獣人もいるのか。亜人ってやつの類いだろうか。それは俺も一目見てみたいな。
いやいや決してやましい意味ではない。
ただ、少し見てみたいと思っただけだ。
「然るに、そなたらの音楽の腕前を拝見したいのだが、そなたらが持っておる楽器はなんであるか?」
国王が訊ねると、真っ先に小太りが応えた。
「これはドラムと言いまして、このスティックで叩いて演奏する楽器です。」
小太りは軽く叩きながらドラムについて説明する。
「ふむ。同じものが我が国にもあるな。どれ、演奏して見せよ。」
どうやらこの世界にもドラムはあるらしい。祭壇にもクラシックで使われるパーカッションのようなものが置かれている。
「本当は軽くウォーミングアップしておきたいところですが、まあ良いでしょう。」
多少の不満を漏らしつつも、小太りはスネアドラムを「スタタンッ」と叩き、軽快に演奏を始めた。
繊細なドラムロールが鳴り響く。
始めは静かに、そして徐々に大きく。
やがてスネアドラムの音が一体を包み込む程に大きくなったところでシンバルとバスドラムが弾ける。
すかさずビートに移る。
跳ねたシャッフルビートにジャズ調のフィルインが要所に盛り込まれる。
機械の如く正確に刻まれるハイハットに、絶妙な強弱で弾くスネアドラムがリズムをコントロールし、流れるようなタム回しが飾る。
ズシンとバスドラムが心地よく体に響く。
上手い、上手すぎるだろ。
ジャズには疎い奏太にも、小太りのドラムが相当に鍛練されたものであることが理解出来た。
まるで周りにいた群衆がこつ然と消え失せたかのように、ドラムソロが空間を支配した。
だが、
キモい、キモすぎる。
顔は愉悦の感情に歪み、汗は四方に飛び散っている。
皮膚はまるでとんこつラーメンのスープのようにテカっている。
いや確かに上手すぎるけど、それ以上にこの光景は酷くないか?
多少引きながら見ていると、ドラムソロはクライマックスに達した。
徐々に激しさが増し、シンバルが一段と大きく鳴り響いたところで演奏は終了した。
「ーーふう。ま、こんなものですかね。」
小太りは滝のように流れ落ちる汗をヌルッとぬぐいながら、息荒くキメ台詞を吐いた。
場にはしばらく沈黙が続いた。
確かに上手かったけど、あんだけキモい姿見せられたら流石にな…。
一応健闘を称えるか。
そう思い奏太が軽く拍手を送ろうとした瞬間、
「ワァーーーッ!」
突然、場は拍手喝采に包まれたーー
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