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1章
1B-嘲笑
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なんだ。この世界にもギターはあるのか。なら話は早いと思っているとーー
周りの群衆がクスクスと笑みを浮かべている。
なんだ? こいつらは何がおかしいんだ?
「一体どのような才能を見せてくれるかと思えば、低俗なギターなどとは。」
「農夫や冒険者が気休めに興じるものを、崇高な芸術と同等に扱える筈もない。」
「いっそ農夫になった方がその者の身の丈に合っているのでは?」
皆が一様に嘲笑の言葉を投げる。
全く理解が追い付かない。
何故ギターがここまで馬鹿にされなければならないのか。
ギターと言えばバンドの花形、ロックスターは誰もが憧れる存在ではないのか?
奏太は圧倒的な価値観の違いを突き付けられたショックと、自分が信じてきたものを嘲笑された事への怒りに言葉も出ず、ただ呆然と立ち尽くした。
「まあよい。ミューサ神の選定に楽器の優劣はない。ゆえに時折その者のように、我らの意向にそぐわぬ者も召喚される。
人には向き不向きもあるゆえ、他の道に進むもよかろう。どれ、冒険者の適性があるか、そなたの魔力を見てやろう。」
国王は群衆をなだめるように場を鎮めると、演奏を再開させるでもなく、別の話に舵を切り替え始めた。
「……ざけるな。」
「ん? 何か申したかな?」
「ふざけるな! 俺はギターを信じてここまで必死に打ち込んで来たんだ!
それを低俗だなんだと好き勝手言いやがって!」
奏太が突然上げた怒声に、場は騒然と静まり返る。
「それについてはこちらの無礼を詫びよう。皆の者も我らの常識で召喚者を誹謗するでない。余も、そなたの信ずるものを卑下するつもりは毛頭ない。
しかしながら、それは我が国の意向にそぐわぬのもまた事実。ゆえに別の道を示した訳であるが。」
国王は粛々と群衆の非を諭し、自身の心中を語った。
その姿には国王の聡明な見識が垣間見えるが、常に沈着と語る様子はやや冷酷にも映る。
しかし、国王のなだめにも奏太の怒りは収まらなかった。
「勝手に才能を買って一方的に召喚しておいて、自分達が望む人間じゃなければ不良品扱いで、元の世界にも戻せないだとか、そんな無茶苦茶な話があるかよ!」
「確かにそなたの言い分は最もであるが、そもそもそなたらが選ばれたのにはもう一つ大きな要因がある。」
なんだよもう一つの要因って。音楽の才能を買われて召喚されたんじゃなかったのかよ。
「ミューサ神によって選ばれ召喚された者は、皆共通して元居た世界に強い不満を抱いておる。その不満に呼応し、ミューサ神の慈悲により、我々の世界へと導かれるのだ。
そなたも元の世界には何か強い不満を感じていたのではあるまいか?」
ドキリとした。
確かに奏太はどれだけバンドを頑張っても、見た目でモテない、もとい評価されない現状に不平を漏らしていた。だがーー
「だ、だからと言って勝手に連れてこられて納得出来るかよ!」
「それには我々にもやむにやまれぬ事情があるのだ。理解してくれとは言わぬ。
ただ我々もそなたらを一方的に召喚したからには、その才能を開花し、我が国に大きな利益をもたらせば、それ相応の待遇を用意する。
そして本来はそれが叶うであろう人物を、ミューサ神の選定によって召喚しておるのだ。
勿論そなたのように、たとえ我々の望みに叶わぬ者だったとしても、その者がここで生きるに足るだけの道を、我々は指し示すつもりである。」
それが農夫や冒険者ってことか。
要するに俺は滅多に出ないハズレクジだったわけだ。
滅多にハズレは出ないから、滅多に不満が出るような状況にもならない。
そうやってこの国は正常に回り、弾かれた者が他の道を歩む。
どこの世界でも同じだ。
結局世界が変わろうが、奏太の置かれる状況は何も変わらなかった。
世界が変わっても何も変わらなかった男が、一体どうやって音楽で世界を変えるというのか。
全く、泣けてくるぜ。
「一つよろしいでござるか?」
奏太が打ちのめされているのを他所に、オタクが空気を読まず手を挙げたーー
周りの群衆がクスクスと笑みを浮かべている。
なんだ? こいつらは何がおかしいんだ?
「一体どのような才能を見せてくれるかと思えば、低俗なギターなどとは。」
「農夫や冒険者が気休めに興じるものを、崇高な芸術と同等に扱える筈もない。」
「いっそ農夫になった方がその者の身の丈に合っているのでは?」
皆が一様に嘲笑の言葉を投げる。
全く理解が追い付かない。
何故ギターがここまで馬鹿にされなければならないのか。
ギターと言えばバンドの花形、ロックスターは誰もが憧れる存在ではないのか?
奏太は圧倒的な価値観の違いを突き付けられたショックと、自分が信じてきたものを嘲笑された事への怒りに言葉も出ず、ただ呆然と立ち尽くした。
「まあよい。ミューサ神の選定に楽器の優劣はない。ゆえに時折その者のように、我らの意向にそぐわぬ者も召喚される。
人には向き不向きもあるゆえ、他の道に進むもよかろう。どれ、冒険者の適性があるか、そなたの魔力を見てやろう。」
国王は群衆をなだめるように場を鎮めると、演奏を再開させるでもなく、別の話に舵を切り替え始めた。
「……ざけるな。」
「ん? 何か申したかな?」
「ふざけるな! 俺はギターを信じてここまで必死に打ち込んで来たんだ!
それを低俗だなんだと好き勝手言いやがって!」
奏太が突然上げた怒声に、場は騒然と静まり返る。
「それについてはこちらの無礼を詫びよう。皆の者も我らの常識で召喚者を誹謗するでない。余も、そなたの信ずるものを卑下するつもりは毛頭ない。
しかしながら、それは我が国の意向にそぐわぬのもまた事実。ゆえに別の道を示した訳であるが。」
国王は粛々と群衆の非を諭し、自身の心中を語った。
その姿には国王の聡明な見識が垣間見えるが、常に沈着と語る様子はやや冷酷にも映る。
しかし、国王のなだめにも奏太の怒りは収まらなかった。
「勝手に才能を買って一方的に召喚しておいて、自分達が望む人間じゃなければ不良品扱いで、元の世界にも戻せないだとか、そんな無茶苦茶な話があるかよ!」
「確かにそなたの言い分は最もであるが、そもそもそなたらが選ばれたのにはもう一つ大きな要因がある。」
なんだよもう一つの要因って。音楽の才能を買われて召喚されたんじゃなかったのかよ。
「ミューサ神によって選ばれ召喚された者は、皆共通して元居た世界に強い不満を抱いておる。その不満に呼応し、ミューサ神の慈悲により、我々の世界へと導かれるのだ。
そなたも元の世界には何か強い不満を感じていたのではあるまいか?」
ドキリとした。
確かに奏太はどれだけバンドを頑張っても、見た目でモテない、もとい評価されない現状に不平を漏らしていた。だがーー
「だ、だからと言って勝手に連れてこられて納得出来るかよ!」
「それには我々にもやむにやまれぬ事情があるのだ。理解してくれとは言わぬ。
ただ我々もそなたらを一方的に召喚したからには、その才能を開花し、我が国に大きな利益をもたらせば、それ相応の待遇を用意する。
そして本来はそれが叶うであろう人物を、ミューサ神の選定によって召喚しておるのだ。
勿論そなたのように、たとえ我々の望みに叶わぬ者だったとしても、その者がここで生きるに足るだけの道を、我々は指し示すつもりである。」
それが農夫や冒険者ってことか。
要するに俺は滅多に出ないハズレクジだったわけだ。
滅多にハズレは出ないから、滅多に不満が出るような状況にもならない。
そうやってこの国は正常に回り、弾かれた者が他の道を歩む。
どこの世界でも同じだ。
結局世界が変わろうが、奏太の置かれる状況は何も変わらなかった。
世界が変わっても何も変わらなかった男が、一体どうやって音楽で世界を変えるというのか。
全く、泣けてくるぜ。
「一つよろしいでござるか?」
奏太が打ちのめされているのを他所に、オタクが空気を読まず手を挙げたーー
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