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華麗なる少年王の半生

限界オタク王と腹黒勇者

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「浅ましくも私は、陛下に対し、肉欲を抱くようになり。どうしても欲しいと。全てを擲っても手に入れたいと思いました。しかし、私は長年臣下として仕えてきた身。私などに求婚され、花嫁にと望まれればお気を病まれ、世を儚むかと、あのような……」


ああ。
それで、求婚を断れば周囲の者を殺すとか言って脅して、拘束するという暴走に至ったのか。

俺を、死なせたくなかったから。


でも、想定と違って。俺は、普通の王族メンタルじゃなかった。
異世界での知識とかもあったし。それほど嫌でもなかったっていうか。

何より一度、事故死しているからな。
せっかく与えられた新しい人生を、ちゃんとやり直したいと願っている。


*****


立派な……とはまだ言えないが。
国王として、国民を幸福にしたいと思う。

それには、俺一人じゃ力不足で。
優秀な近衛騎士が定位置にいないと落ち着かないことも知った。


何よりも。
美貌にも能力にも恵まれた完璧超人のくせに。

めちゃくちゃな方法で、こんな必死に俺のことが好きだと伝えてくるアルベルトが。
不覚にも。

可愛いとか、思ってしまったのだ。


「アルベルト。……これからも私の傍で、私を支えて欲しい」
手を差し出した。

「はい、我が主マインヘア。御心のままに」
アルベルトは泣き笑いのような表情をして。

俺の手の甲に、恭しくキスをした。


「っ、」
アルベルトが、また前屈みになった。

勃ってしまったので、股間が痛むようだ。
控え室で、外したままにしときゃ良かったのに。わざわざちんこカバー装着し直すから……。ドMか。

慌ててカバーを外して、安堵の息を吐いている。


「言っておくが。他人のに触れるのも、お前が初めてだぞ?」

窮屈なカバーから解放され、自由になったアルベルトジュニアの先端を撫でてやる。
ほんとでかいな……。

「私もです」
嬉しそうに、抱き寄せられた。


*****


片方の手で俺の背を支え。
もう片方は俺の尻を撫で回している。

手つきはいやらしいのに。
何キラキラ爽やかな笑顔浮かべてんだお前。ポーカーフェイスにもほどがあるだろ。


何度かアルベルトのガチ勃起ちんこ見ておいて、何だが。

こいつも普通にエロいっていうか。
人並みの性欲があったんだなあ、と感心してしまう。人並み以上かもしれない。

やに下がった顔でもしてればわかりやすいんだが。
涼しい顔してるから、下半身見ないと、興奮してるのかどうかわからないんだよな。


あ、よく見てみれば。
アルベルトの藤色っぽい青い目は、興奮すると赤みが強くなるというか、紫っぽくなるようだ。
これは新発見だ。

「……この目の色。気に入ってるから。潰れなくて良かった」
アルベルトの目元の傷痕に触れて言った。


ちょっとずれていたら、危なかった。

ドラゴンの爪の呪いは強力だ。
眼球が再生不可能だったかもしれない。

内臓まで損傷していた身体の傷が完治したのは、分厚い鎧に阻まれ、直接ドラゴンの爪には触れていなかったからだ。
フルフェイスのマスクは、戦っているうちに吹っ飛ばされたんだろう。


「この瞳の色は、先祖返りのようです。実家では、悪魔の生まれ変わりと疎んじられていたのですが。お気に召されたなら嬉しいです」
アルベルトは少し寂しそうに微笑んだ。

そういや他の家族皆は、青い目だったっけ。


*****


アルベルトが言うには。
家の恥になるので公にはされていないが、ロイエンタール家には先祖に青髭のような殺人鬼がいて。
そいつはアルベルトのような美しい顔で、同じ目の色をしていたそうだ。

少年趣味ショタなとこは似てるかもしれないぞ☆ とか。
さすがに冗談でも言えないな……。


アルベルトが、16歳で騎士になってからずっと家を出たままなのは、それもあったのか?
結婚祝いに来た時は、家族とは普通に笑顔で会話してたのに。

いい加減、誤解が解けたとか?
なんてったって、世界を救った勇者様だからな。


「そういった生活が当たり前な環境で育ったのならともかく。性質までは遺伝しないのだ。気にするな、お前はお前だ。今や救世の勇者なのだから。今度言われたら、国王の好きな色を悪く言うのは不敬罪だと言い返してやるがいい」
背を叩いてやる。

アルベルトは、ふっと笑い。
俺の顔を覗き込んできた。

「陛下の瞳は碧玉スマラクトよりも美しいですね。……前世ではどのようなお色だったのですか?」


前世とか言うな。
実際、前世なんだけど。

「髪も目も黒い、今の顔とは似ても似つかない、陰気で地味な顔だったぞ?」


前のままの顔だったら、間違いなく俺に惚れたりしないだろうし。
リョナスキーで限界オタクだった俺の真の姿を知れば、百年の恋も醒めるんじゃないか?


*****


「……私は貴方の見た目ではなく、に惹かれたのですよ。誰よりも努力家で思慮深く公平であり、国民思いで心優しい貴方の御心に……」

ずっと傍で見ていたから。
良い国王になるべく、どれだけ頑張ってきたかも良く知っている、とか言われて。

愛おしそうに、キスをされた。


やめろよ。
キュンときちゃっただろ。

生前は、褒められることなんて滅多になかったし。
俺は他人から認められることに弱い、チョロいオタクなんだ。



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