限界オタクだった俺が異世界に転生して王様になったら、何故か聖剣を抜いて勇者にクラスチェンジした元近衛騎士に娶られました。

篠崎笙

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華麗なる少年王の半生

美貌の勇者、思いの丈を語る

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以来、アルベルトはずっと俺のストーキング……じゃなかった警護をしてきたが。


時々俺は一人になると、不思議な言葉を話すので。
いったいそこれはどこの言葉なのか、ずっと疑問に思っていたようだ。

少なくともこの世界の言葉ではないことは、調べたらしい。


そんなこんなで。
様々な謎を持つクリスティアン王子に疑問を抱きつつ、傍で仕え。

今に至る、ということだ。


*****


「……29年、別の世界で生きてこられたのなら、そういった知識があるのも致し方ありません。しかし……先日、口づけも初めての御様子でしたが。あれは、演技だったのですか?」

ひいっ!?
再び暗黒オーラが!

ちょ、いもしない前世の相手にまで嫉妬しないで!?
エッチの相手なんて、二次元での妄想以外、微粒子レベルでも存在しないけどな!


「いや、生前も今生も、他人に対しそういう行為をしたこともされたこともない! キモオタだったから、チューどころか、女性と手を握ったこともなかった!」
必死に弁解すると。
アルベルトは目をぱちくりさせた。

「キモオタとは? 終身を清らかに過ごさねばならない職業なのですか?」

キモオタは、そんな崇高なものではない。
もっと邪悪な何かだ。


当たり前だが。オタクって、こっちには無い言葉だった。
現在はオタクマネー目当てにすり寄られてるが。宅八郎とか女児誘拐殺害事件とか、マスメディアによってオタクという存在は、叩いてもいい社会悪として迫害されてきた歴史がある。

オタクから犯罪者が出たのは事実だが。
オタクじゃなくたって猟奇殺人犯は山ほどいるし、リアル犯罪行為に手を染める奴はむしろオタクの敵である。

ロリは愛でるもの。
YESロリータ、NOタッチが原則だ。


そういえばこっちには同人誌即売会とかないんだよな。
自費出版はあるようだが。

最近、貴族の間で”我が半生”とかいう自伝本が流行っているようで。名刺代わりに配って回ってる。
実際に文章を書いてるのは、ほぼゴーストライターだろうけど。

語り口は”私”なのに、自分に敬称付けちゃってるし。
中には、ポルノまがいのものもあるようだが。

俺に渡されるものはアルベルトの検閲済みで、問題のある箇所はすべてベタ塗りされた状態だ。
戦後の教科書か!


*****


キモオタとは、世間から気持ち悪いと言われるオタクのことである。
詳しく語ると長くなるので、端折ったが。

だいたいのオタクという概念は伝わっただろう。


「チューというのは? 交際の事ですか?」
手を握る、と対で出したので、関係ということは予測できたようだ。

「チューは、その、……口づけのことだ」

「そうだったのですか。……陛下がそこまで大切にされていた唇を、私はいたずらに奪ってしまったのですね」
寝顔があまりにも可愛かったので、度々チューしてたらしい。


お前なあ。
合意なしで触れるのはセクハラ、犯罪行為だぞ。今更だが。


「まあいい。どうせ以後もお前しかしない」

敬い仕えるべき国王、王子に対してそんな不敬で不埒な真似をする騎士なんて。
これから先も、唯一、アルベルトくらいだろう。


「ああ……、陛下……」

アルベルトにまた手を握られて。
今度は、呪いの指輪にキスをしている。


「私は近衛騎士の身分のまま、生涯仕えようと思っていたのです。そんな私に身の程知らずにも貴方の全てを手に入れたいと願う欲を抱かせたのは、貴方のせいですよ」

え!? 俺のせいなの!?


どこまで許されるものか。
機を見て、あちこち触れてみたという。

一度でも、無礼者と言われて、手を振り払われれば諦めようと思っていたようだ。

いや、別に無礼者とか思ったことなんてないし。
外国人って気安いなあ、とは思ったけど。

公爵の息子である自分をえこひいきしないで、他の騎士と同様に扱ったり。
この美しい顔ではなく、能力を認めてもらえたのが嬉しかったとか。

マゾかな?


*****


「陛下が少々私の事を疎んじておられたことも気付いておりました……」
アルベルトは視線を下に落とした。


あらヤダ、バレてた。

そうだね!
まあ完璧超人のリア充爆発しろ、くらいは思ってた!


聖剣チャレンジしたのは。
色々な意味で自分が俺のことを守りたかった、というのが一番の理由だが。

勇者になり、竜を斃して国を救えば、見直してもらえるだろうか、という下心もあったという。


「しかし、陛下は一番に私の身を案じて声を御掛けくださった。好奇の目から私を隠し、御自ら回復をされて。そして、傷が残っても男前だと微笑んでくださったのです。……疎まれていたはずの私を、心から心配し、労わってくださった」
アルベルトは、震える声で言った。

「その時。私は気付いたのです。騎士としてではなく、一人の男として、貴方を愛していると」


おいおいお前。
寝顔にチューしたり、毎日夜這いしてフェラまでしておいて。自分の気持ちに気付いてなかったのかよ!

あの時やっとかよ!?
俺も鈍いけど。お前も相当だぞ!?

と突っ込むのは心の中だけにしておいた。
あまりに真剣なので。

「思えば、私が何かをしたいと願ったのは、騎士になり、御身にお仕えしたいと思ったのが初めてでした。この身命に換えてもお護りしたいと思ったのも」


アルベルトの胸を飾る、たくさんの褒章。
次期国王である俺を狙った暗殺者やスパイを始末した褒美がほとんどだったようだ。

暴竜のこともあるけど。
それもあって、父上もアルベルトを俺から遠ざけることはしなかったんだ。まさに苦渋の決断だ。
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