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おまけ/国王陛下の戯れ

美貌の勇者兼近衛騎士へのご褒美

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何だかんだあって。

勇者にクラスチェンジした俺の元近衛騎士、アルベルト・フォン・ロイエンタール。
勇者アルベルトから、竜を倒した褒美として花嫁に望まれた。

前世はリョナラーで限界オタクだった俺は、事故で異世界に生まれ変わり。
ディートヘルム王国の国王クリスティアン・フォン・ローエンシュタイン=ディートヘルムとして。
勇者アルベルトと結婚式を挙げ、身も心も結ばれてしまったのだった。


*****


思えば遠くに来たもんだ。

29歳、童貞のまま死んで。
異世界に転生して、まさか男と結婚する羽目になるとはな。

まあそれはそれで、アルベルトからは滅茶苦茶愛されてるし。
エッチも気持ち良いし。

俺のためにいつでも必死なアルベルトを可愛く思えて。
俺も、アルベルトのことを愛しちゃったわけで。


結婚しても、なかなか近衛騎士癖が抜けないアルベルトに。
昼間は国王と臣下でいいけど、夜は夫婦でいようって提案したんだ。

そしたらダーリンスイッチ入ったアルベルトのエロいことエロいこと。


毎晩眠れないほど、抱かれまくってるんだけど。
何故か翌朝まで疲れが続かないんだよな。

アルベルトって回復魔法使えたんだっけ?

特にアルベルトの精液を中に出されると、めちゃくちゃ感度が上がるっていうか。
気持ち良くなって。もっと欲しくなっちゃう。


ほんと、何でだろう。
以前よりも肌とか、調子いいんだよな……。


*****


などとアルベルトとのエッチな新婚生活を回想していたら。


「ご機嫌麗しゅう、我が陛下」

イケオジな叔父上、ベルンハルト・フォン・ローエンシュタイン侯爵が恭しく傅いた。
相変わらず渋いオジサマである。

領地のことで報告しに来たらしいが。
そんなの、わざわざ城まで来なくても、報告書出すだけでいいのに。

「しばらくお目にかからぬうちに、またお美しくなられましたね。一段と艶を増し、輝くようです」
伴侶殿のお陰かな、と隣にいるアルベルトを見た。


アルベルトは勇者兼近衛騎士として、俺を護衛して。
近衛騎士の仕事だけじゃなく、常に俺の隣で王の仕事まで補佐してくれている。

もはやアルベルトがいないと各所に話が通らないほどである。

アルベルトはベルンハルト侯爵に向け、笑みを見せた。
艶然、ってこういうのを言うんだろう。

暴竜バルバルスとの戦いで、美しい顔に消えない傷を負ってしまったが。微かに残った爪痕は、アルベルトの美貌を損なうどころか、凄みを増している気がする。

ベルンハルト侯爵も、その笑みには頬を染め、言葉を忘れたように見惚れているくらいだ。


一見、誰彼構わず愛想を振りまいているように見えるが。
アルベルトはやたら嫉妬深いため、俺が誰かに見つめられるのが嫌なそうで。

それで、わざと自分に注目が集まるように振舞っていると言っていた。

自分の美貌に相当自信がなくちゃ言えないセリフだが。
アルベルト自身は、先祖の殺人鬼そっくりな自分の顔にコンプレックスを持っている、というちょっと複雑な性格なのだ。

でも、そんなアルベルトも愛しいと思う。


*****


ベルンハルト侯爵が退出した後。
アルベルトの声が聞こえた。

「また用もないのに陛下に色目を使って……消すか」

おいおい穏やかじゃねえな! 俺の叔父さんだぞ!?
俺の胡乱な視線に気づき。

冗談です、と微笑んだが。
腹の中は真っ黒でも、アルベルトのやることなすこと全部、俺のためなんだよな。


そんなアルベルトに、何かご褒美をあげたいところだが。
アルベルトは騎士の年俸をほぼ手つかずで取っておいてある上に、何かの特許を持ってるらしく。
かなりの金を貯め込んでいるし、華美なものを好まない。


陛下の傍にいられるだけで幸せです、とか真顔で言っちゃうし。

喜ぶことといえば……。
何だろう?


アルベルトには内緒でリーゼロッテに相談してみたら。

女近衛騎士も交えてやたら盛り上がり。
いくつかの方法を提案された。

最終的にどれにするかを決めたのは俺だが。
アルベルトに内緒で手に入れるのは至難の業だった。


結果、入手をリーゼロッテに頼むことになり。
何をするかを知られてしまい、からかわれて恥ずかしかった。

でも、それでアルベルトが喜ぶなら、いいか。


*****


仕事が終わり、部屋に戻る時間である。

二人一緒に部屋に帰るのだが。
俺が寝室に先に入って、10分したら来るように言って。

急いで服を着替える。


10分ジャスト。
ノックの音が聞こえた。

「入れ」
告げると、アルベルトがドアを開けた。

「失礼しま、」
「おかえりなさい、ご主人様」

アルベルトを、メイド服で出迎えた。

頭にはヘッドドレス、膨らんだ長い袖、白い襟。長いワンピーススカートは黒で、白のエプロン。白いストッキングに黒の革靴。スタンダードなメイド姿だ。

鏡で確認してみたが、我ながら可愛いメイドさんである。
さすが美少年だ。違和感がない。


アルベルトは、口をぽかんと開けたまま固まっている。

見張りの兵士にでも見つかったらアレなので。
呆然としているアルベルトを室内に引っ張り込んだ。


*****


ソファーに座らせて。
後ろに回り込んで、肩を揉んでやる。


「ご主人様、お疲れのようですね?」

着やせして見えるが、アルベルトの全身はしなやかな筋肉で覆われている。
ガチガチだな。緊張してるのか?

「!? ……な、と、とんでもない、陛下はそのような真似をならさずとも、」
ようやく正気を取り戻したらしいアルベルトは、焦った様子で振り返った。


「ええい黙って従え! 今日は私がおまえに”ご奉仕”すると決めたのだ!」
ヤケになって命令してみたり。

メイド服で偉ぶっても決まらないが。


御意ヤー陛下オイレマイェステートの仰せのままに」

もはや習性のようで。
近衛騎士だったアルベルトは、さっとソファーから降りて、跪いた。


全くもう。
「もう夜だ。ではないだろう?」

二人きりの夜は、夫婦の時間だ。
国王陛下と勇者ではなく。


「そうでした。……私の可愛いディーンストメートヒェン、クリス」
俺の旦那様は苦笑したように笑って。

愛おしそうに、頬を撫でられた。
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