58 / 61
近衛騎士、勇者になる
我が花嫁に人生を捧ぐ
しおりを挟む
「……は、あ、んっ、やぁ、」
花嫁は、私が腰を突き上げる度に、可愛い鳴き声を上げている。
もうすっかり、行為に慣れたようだ。
内部はかなり蕩けてきた。これなら、そろそろ私の全てを収めても大丈夫だろう。
腰を掴み、引き寄せると。
腰に、やわらかな尻肉が当たるのを感じる。
ようやく、根元まで。
私の全てを、受け入れてもらえたのだ。
*****
「全部、入りましたよ。……凄い。こんな細い腰で、小さいところに……、」
そっと結合部を撫でてみる。
慎ましく閉ざされていた蕾が開き切り、襞がなくなるほど私の形に添い、限界まで拡がっている。
「ほら、ご自分で確かめてみてください」
「わ、」
花嫁の手を、そこに導き。
私が根元まで入っているということを確かめていただく。
「本当だ……、」
こわごわと触れている。
その声に、嫌悪の色は無い。
花嫁の、筋肉の少なく薄い腹を撫で。耳元で囁く。
「ここまで入ってるの、わかりますか?」
小さな身体だ。
胃の辺りまで犯していることだろう。
花嫁はうっとりした様子で。
こくこくと頷いた。
「分かる、……オッキイノ、ハイッテル……」
途中から異世界語になっているのに、気付いているのか。
無意識だろうか?
安堵故か。
ならば、すっかり心を許されたようで嬉しい。
*****
ようやく挿入に慣れたそこを、夢中になって擦り上げた。
抜き差しする度に、放った精液と香油が溢れ出てくる。
もっと奥に注ぎ込んでしまいたい。
私の精を孕んでいて欲しい。
私の精で、腹を満たして。
私でいっぱいになるといい。
私の、私だけの愛おしい花嫁、クリス。
「……クリスのこのような姿を。愛らしい声を聴くことが出来るのは、私だけですね?」
試すように訊いた私に。
「当たり前……っ、」
睨むように、私を見据えて。
「こんな恥ずかしいこと、お前しか、許さない」
光栄なことに。
唯一、私だけだと仰っていただけた。
私は、クリスの”特別”になったのだ。
「アル、……気持ち良い、か?」
自分ばかりが気持ち良くなって、そちらは大丈夫なのかと心配されたが。
気持ち良くなければ、このように何度も射精しない。
そもそも何回も勃起しないのだが。
私はあまり感情が顔に出ないので、わかりにくいのだろう。
今度からはなるべく口に出そうと決意する。
「ええ、とても。愛する人との営みは、こんなにも満たされるものなのですね……」
微笑んでみせると。花嫁も花開くような笑みを浮かべた。
包み込むような愛情を感じる。
心身共に受け入れられたのだとわかった。
何と幸せなことだろう。
愛し、愛される喜びに打ち震える。
*****
「”キモチイイ”、”シンジャウ”というのはどういった意味でしょう」
きらきらと輝く花嫁の髪を弄びながら訊いてみる。
「……何だと思う?」
「そうですね。恐らく、”イイ”という言葉は”良い”という単語でしょう。クリスの悦い場所を突いた時に何度か”イイ”及び”キモチイイ”と口にされていたので、”気持ち良い”……ですか?」
正解だったようだ。
拗ねたように、胸板を叩かれた。
といっても、仔猫にじゃれつかれたようなものである。とても可愛らしい。
しかし、”シンジャウ”の意味だけは教えていただけなかった。
あまり良い意味の言葉ではないのだろう。
何となく、想像はついたが。話したくないのなら、無理に聞き出すまい。
「あちらの言葉では、”好き”や”愛している”はどのように言うのですか?」
花嫁からも「好き、愛している」と言って欲しい、という下心もあるが。
異世界語をもっと覚えたかった。
「少しでも、共有したいのです。かつてクリス・ショータであった貴方の記憶も。そして、もっと貴方を理解したい。今の貴方だけでなく、過去の貴方も、全て」
愛らしい花嫁の手を取り、口づけて告げると。
花嫁は、泣きそうな顔で笑った。
ああ、やはり。
過去の記憶の事で、かなり悩んでこられたのだろう。
これからは、私も背負いたい。
背負わせて欲しい。
*****
「”チュー”は覚えましたよ?」
恐らく、音からくる言葉なのだろう。
ちゅっちゅっ、と。わざと音を立てて口づけた。
すると。
顔を引き寄せられ。
「……一度しか言わないからな?」
怒ったような顔をして。
耳元で、二つの単語を囁かれた。
花嫁は恥ずかしがりなのであった。
そこがまた、愛らしいのだが。
『好き』
すぐに口に出して言えば、くすぐったそうに笑う。
『愛してる』
囁けば、照れた顔を向けられる。
異世界の言葉を覚え、話すことでこんなに喜ぶ顔が見られるのなら。
もっとたくさんの言葉を覚え。
何度でも言おう。
貴方だけを『愛してる』、と。
二人、寝台で戯れて。
このように幸せでいいのだろうか?
許されるなら、いつまでもこうしていたい。
私の愛しいクリス。
愛しています。
*****
私は灰色がかった金髪に藤青色の瞳、比類なき美貌を持ち生まれたが故に。
魔物の血を濃く継いだ殺人鬼、アズナヴール・フォン・ロイエンタール公爵の生まれ変わりと言われ、一族からは疎まれてきた。
3歳であったクリスティアン殿下と運命的に出逢い、惹かれ、騎士となり。
それが恋であるという自覚もなく、お傍に仕えてきた。
精通の事実を隠匿し、眠る殿下に口淫を続けてきた秘密を抱え。
殿下が陛下にお成りあそばせてもそれを続けていた。
暴竜バルバルスとの戦いで死に瀕し、陛下から心配され。
この想いが恋であると。
陛下を愛していたことを自覚した。
国王陛下と近衛騎士……元、ではあるが。
本来成就するはずなど有り得ない、赦されぬこの想いが。
紆余曲折あったものの、こうして受け入れていただけたのは。
異世界でクリス・ショータとしての人生を過ごしてきた故でもあるのだろう。
この奇跡に。
クリスをこの世界に送り届けた神に、前王ベルトラート陛下に感謝を捧げる。
クリスが願うのであれば、私は愛しいクリス……クリスティアン陛下の夫として、名誉近衛騎士兼勇者として。
生涯この国と国民を守り、幸福に導くことを約束しよう。
ただし。
一番の愛情は、我が花嫁クリスに捧ぐが。
おわり
花嫁は、私が腰を突き上げる度に、可愛い鳴き声を上げている。
もうすっかり、行為に慣れたようだ。
内部はかなり蕩けてきた。これなら、そろそろ私の全てを収めても大丈夫だろう。
腰を掴み、引き寄せると。
腰に、やわらかな尻肉が当たるのを感じる。
ようやく、根元まで。
私の全てを、受け入れてもらえたのだ。
*****
「全部、入りましたよ。……凄い。こんな細い腰で、小さいところに……、」
そっと結合部を撫でてみる。
慎ましく閉ざされていた蕾が開き切り、襞がなくなるほど私の形に添い、限界まで拡がっている。
「ほら、ご自分で確かめてみてください」
「わ、」
花嫁の手を、そこに導き。
私が根元まで入っているということを確かめていただく。
「本当だ……、」
こわごわと触れている。
その声に、嫌悪の色は無い。
花嫁の、筋肉の少なく薄い腹を撫で。耳元で囁く。
「ここまで入ってるの、わかりますか?」
小さな身体だ。
胃の辺りまで犯していることだろう。
花嫁はうっとりした様子で。
こくこくと頷いた。
「分かる、……オッキイノ、ハイッテル……」
途中から異世界語になっているのに、気付いているのか。
無意識だろうか?
安堵故か。
ならば、すっかり心を許されたようで嬉しい。
*****
ようやく挿入に慣れたそこを、夢中になって擦り上げた。
抜き差しする度に、放った精液と香油が溢れ出てくる。
もっと奥に注ぎ込んでしまいたい。
私の精を孕んでいて欲しい。
私の精で、腹を満たして。
私でいっぱいになるといい。
私の、私だけの愛おしい花嫁、クリス。
「……クリスのこのような姿を。愛らしい声を聴くことが出来るのは、私だけですね?」
試すように訊いた私に。
「当たり前……っ、」
睨むように、私を見据えて。
「こんな恥ずかしいこと、お前しか、許さない」
光栄なことに。
唯一、私だけだと仰っていただけた。
私は、クリスの”特別”になったのだ。
「アル、……気持ち良い、か?」
自分ばかりが気持ち良くなって、そちらは大丈夫なのかと心配されたが。
気持ち良くなければ、このように何度も射精しない。
そもそも何回も勃起しないのだが。
私はあまり感情が顔に出ないので、わかりにくいのだろう。
今度からはなるべく口に出そうと決意する。
「ええ、とても。愛する人との営みは、こんなにも満たされるものなのですね……」
微笑んでみせると。花嫁も花開くような笑みを浮かべた。
包み込むような愛情を感じる。
心身共に受け入れられたのだとわかった。
何と幸せなことだろう。
愛し、愛される喜びに打ち震える。
*****
「”キモチイイ”、”シンジャウ”というのはどういった意味でしょう」
きらきらと輝く花嫁の髪を弄びながら訊いてみる。
「……何だと思う?」
「そうですね。恐らく、”イイ”という言葉は”良い”という単語でしょう。クリスの悦い場所を突いた時に何度か”イイ”及び”キモチイイ”と口にされていたので、”気持ち良い”……ですか?」
正解だったようだ。
拗ねたように、胸板を叩かれた。
といっても、仔猫にじゃれつかれたようなものである。とても可愛らしい。
しかし、”シンジャウ”の意味だけは教えていただけなかった。
あまり良い意味の言葉ではないのだろう。
何となく、想像はついたが。話したくないのなら、無理に聞き出すまい。
「あちらの言葉では、”好き”や”愛している”はどのように言うのですか?」
花嫁からも「好き、愛している」と言って欲しい、という下心もあるが。
異世界語をもっと覚えたかった。
「少しでも、共有したいのです。かつてクリス・ショータであった貴方の記憶も。そして、もっと貴方を理解したい。今の貴方だけでなく、過去の貴方も、全て」
愛らしい花嫁の手を取り、口づけて告げると。
花嫁は、泣きそうな顔で笑った。
ああ、やはり。
過去の記憶の事で、かなり悩んでこられたのだろう。
これからは、私も背負いたい。
背負わせて欲しい。
*****
「”チュー”は覚えましたよ?」
恐らく、音からくる言葉なのだろう。
ちゅっちゅっ、と。わざと音を立てて口づけた。
すると。
顔を引き寄せられ。
「……一度しか言わないからな?」
怒ったような顔をして。
耳元で、二つの単語を囁かれた。
花嫁は恥ずかしがりなのであった。
そこがまた、愛らしいのだが。
『好き』
すぐに口に出して言えば、くすぐったそうに笑う。
『愛してる』
囁けば、照れた顔を向けられる。
異世界の言葉を覚え、話すことでこんなに喜ぶ顔が見られるのなら。
もっとたくさんの言葉を覚え。
何度でも言おう。
貴方だけを『愛してる』、と。
二人、寝台で戯れて。
このように幸せでいいのだろうか?
許されるなら、いつまでもこうしていたい。
私の愛しいクリス。
愛しています。
*****
私は灰色がかった金髪に藤青色の瞳、比類なき美貌を持ち生まれたが故に。
魔物の血を濃く継いだ殺人鬼、アズナヴール・フォン・ロイエンタール公爵の生まれ変わりと言われ、一族からは疎まれてきた。
3歳であったクリスティアン殿下と運命的に出逢い、惹かれ、騎士となり。
それが恋であるという自覚もなく、お傍に仕えてきた。
精通の事実を隠匿し、眠る殿下に口淫を続けてきた秘密を抱え。
殿下が陛下にお成りあそばせてもそれを続けていた。
暴竜バルバルスとの戦いで死に瀕し、陛下から心配され。
この想いが恋であると。
陛下を愛していたことを自覚した。
国王陛下と近衛騎士……元、ではあるが。
本来成就するはずなど有り得ない、赦されぬこの想いが。
紆余曲折あったものの、こうして受け入れていただけたのは。
異世界でクリス・ショータとしての人生を過ごしてきた故でもあるのだろう。
この奇跡に。
クリスをこの世界に送り届けた神に、前王ベルトラート陛下に感謝を捧げる。
クリスが願うのであれば、私は愛しいクリス……クリスティアン陛下の夫として、名誉近衛騎士兼勇者として。
生涯この国と国民を守り、幸福に導くことを約束しよう。
ただし。
一番の愛情は、我が花嫁クリスに捧ぐが。
おわり
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
671
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる