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冬の国
シベリアンハスキー、可愛いよね。
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……寒い。
気温は完全に冬なのに。
夏の格好してるんだから、当然だよね。
っていうか。
何で俺、こんなとこにいるの?
雪だよ、雪。
いきなり、一面の雪原だよ!?
何? また飛ばされちゃったの?
夏、春ときて、次は冬の国です、ってか?
秋じゃないのかよ!? 飛ばすなよ! いろんな意味で!
何なんだよ、いったい。
何が原因なのか、教えてくれよ。
せめて、アナウンスをくれよ! 今から移動しますって!
◆◇◆
……お別れの挨拶くらい、したかった。
ラグナルは。
俺がいついなくなるかわかんないってのは、理解してたようだけど。
それでも。
もう少しだけでも。一緒にいたかった。
優しくて、寂しがりやな王様。
……あれ?
俺の手の、赤い紋章、消えてない……。
どういうこと?
額の印は……ない、な。
何でだ?
クゥ~ン。
って。犬の鳴き声がした気が。
振り向いたら。
おおっと、シベリアンハスキー!! それも、青と茶色のオッドアイ!
「大好き!!!!」
思わず抱きつく。
なんか通常のハスキーより大きい気がするけど。
あったかいからいいや。
ああ、心まで暖まるようだよ。犬毛よ、ありがとう。……ん? もふもふされて気持ちいいのか? ぶんぶんしっぽ振っちゃって。愛いヤツ。
むしろ愛してる。ラブ。
『ダーフィがそんなに懐くとは。おまえ、何者だ?』
人の声に、振り返ったら。
黒髪に黒目、色黒の。超絶美形が立っていた。
冬の重装備。あったかそうなボア付きの黒いコートを着用してる。
いいなあ。
『そんな軽装で、寒くないのか?』
「超絶寒いです……」
だよな、と言われた。
ああ、そりゃ寒いですよ。
夏服だもん、これ。
◆◇◆
男は、ザラームと名乗った。
ここは、やっぱり”冬の国”らしい。雪景色だもんな。
ただし、端っこ。
ザラームは、犬ぞりで国を周る旅をしている最中だったそうだ。中学生が夏休みに自転車で北海道とか行くノリだろうか?
で。
ここらで休もうか、と天幕を張っていたところ。
突如、どこからともなく俺が現れたというわけで。
「ご親切に、ありがとうございます……」
『なに、困った時はお互い様だ。ダーフィも懐いてたから、悪い人じゃないだろうしさ』
ザラームは、見ず知らずの俺に、着る物一式とあたたかい飲み物を出してくれた。その上、テントに泊まっていいとまで。
ザラームマジ天使。
あったかいシナモンティーが目にしみるぜ。
『その手の印……”春の国”后妃の紋章に似ている気がするけど……赤……?』
首を傾げて俺の手を見ている。
何か知ってそうなので。
包み隠さず、説明してしまうことにした。
異世界から”夏の国”に飛ばされたこと。
それから、過去の”春の国”に行って、ラグナルという王と、発明品開発を手伝っていたことを。
◆◇◆
ザラームは目を瞠って。
『ラグナルって……赤の発明王のことか! あんた、マジでラグナル王の后妃だったってのか!?』
「知ってるの!?」
『知ってるも何も、超有名人だぜ? この世界で、あの人の名を知らねえやつは皆無だ。発明王のおかげで、世界は変わったんだ。もちろん、良い風にな』
春の国の国王、ラグナル。
無償で技術を提供し、その知識を惜しみなく伝え、世の中の発展のために生きた、偉大なる、赤の発明王。
あやかって、子供にラグナルという名をつけた親も多いという。
ザラームは、いたわしい、という顔をして。
『惜しかったな。一昨年に、病気で亡くなったそうだ。だいぶご高齢だったらしいからな』
「そうか……」
でも。高齢、ということは。
長生きしたんだ。この世界の人間は、生きる気力が無いと早死にするっていうのに。
長生きしてくれたんだ。良かった。
オッドアイについて、聞いてみたら。
『オッドアイ? 左右で目の色が違うことか? ああ、幸運のあかしだっていうよな。ダーフィもそうだったろ?』
だから、旅に連れて来たという。
『やっぱり、幸運を連れて来るんだな。お陰で貴重な話が聞けた。……自動人形の試作品か。くっそ、俺も見てみたかったなァ』
オッドアイは、幸福のあかし。
「そっか。……良かった。変えてみせたんだ。ほんとに、世の中を」
ほんとに、すごいよ。
頑張ったんだな。ラグナル。
◆◇◆
『ってことは。あんたが”イチ”か?』
「え、何で俺の名前……」
ザラームは指をパチン、と鳴らした。
『やった! 何て幸運だ! ……あのな、赤の発明王は、遺言を残してるんだ』
”赤の后妃の印を持った者が現れたら、墓前に連れて来て欲しい。后妃イチに、伝えたいことがある”
と。
『それ聞いた時は意味不明だったけど。これでわかった。あんたが、この先の未来で、どっかに出現するってこと、わかってたんだ!』
ラグナル。
胸を、ぎゅうっと握りこまれるような。
切ない気持ちでいっぱいになる。
『連れてってやるよ。”春の国”に。っていうか、俺もすげえ見たい!』
手を差し出されて。
「ありがとう、ザラーム」
握手を交わした。
『こちらこそ!』
◆◇◆
もう遅い時間なので、その日は天幕で一泊することになった。
ザラームは好奇心が強くて、色々と聞かれた。
異世界のことや、ラグナルのこと。
”夏の国”のことも。
『紫ねえ。……まだ、生まれてないぜ。もっと先の未来なんじゃないかな?』
もっと、先か。
『あ、後で氷菓子のこと詳しく教えてくれよ。儲かりそう!』
あ、今まで無かったんだ。
アイスクリーム。
ということは。
……俺から、伝わったのか?
っていうか、これから俺が、冬の国に伝えるの?
だから、何だか懐かしいような味がしたのかな?
時系列どうなってんだよ!?
こうなるのは、あらかじめ決められてた運命だったのか?
色々と、不思議すぎる。
気温は完全に冬なのに。
夏の格好してるんだから、当然だよね。
っていうか。
何で俺、こんなとこにいるの?
雪だよ、雪。
いきなり、一面の雪原だよ!?
何? また飛ばされちゃったの?
夏、春ときて、次は冬の国です、ってか?
秋じゃないのかよ!? 飛ばすなよ! いろんな意味で!
何なんだよ、いったい。
何が原因なのか、教えてくれよ。
せめて、アナウンスをくれよ! 今から移動しますって!
◆◇◆
……お別れの挨拶くらい、したかった。
ラグナルは。
俺がいついなくなるかわかんないってのは、理解してたようだけど。
それでも。
もう少しだけでも。一緒にいたかった。
優しくて、寂しがりやな王様。
……あれ?
俺の手の、赤い紋章、消えてない……。
どういうこと?
額の印は……ない、な。
何でだ?
クゥ~ン。
って。犬の鳴き声がした気が。
振り向いたら。
おおっと、シベリアンハスキー!! それも、青と茶色のオッドアイ!
「大好き!!!!」
思わず抱きつく。
なんか通常のハスキーより大きい気がするけど。
あったかいからいいや。
ああ、心まで暖まるようだよ。犬毛よ、ありがとう。……ん? もふもふされて気持ちいいのか? ぶんぶんしっぽ振っちゃって。愛いヤツ。
むしろ愛してる。ラブ。
『ダーフィがそんなに懐くとは。おまえ、何者だ?』
人の声に、振り返ったら。
黒髪に黒目、色黒の。超絶美形が立っていた。
冬の重装備。あったかそうなボア付きの黒いコートを着用してる。
いいなあ。
『そんな軽装で、寒くないのか?』
「超絶寒いです……」
だよな、と言われた。
ああ、そりゃ寒いですよ。
夏服だもん、これ。
◆◇◆
男は、ザラームと名乗った。
ここは、やっぱり”冬の国”らしい。雪景色だもんな。
ただし、端っこ。
ザラームは、犬ぞりで国を周る旅をしている最中だったそうだ。中学生が夏休みに自転車で北海道とか行くノリだろうか?
で。
ここらで休もうか、と天幕を張っていたところ。
突如、どこからともなく俺が現れたというわけで。
「ご親切に、ありがとうございます……」
『なに、困った時はお互い様だ。ダーフィも懐いてたから、悪い人じゃないだろうしさ』
ザラームは、見ず知らずの俺に、着る物一式とあたたかい飲み物を出してくれた。その上、テントに泊まっていいとまで。
ザラームマジ天使。
あったかいシナモンティーが目にしみるぜ。
『その手の印……”春の国”后妃の紋章に似ている気がするけど……赤……?』
首を傾げて俺の手を見ている。
何か知ってそうなので。
包み隠さず、説明してしまうことにした。
異世界から”夏の国”に飛ばされたこと。
それから、過去の”春の国”に行って、ラグナルという王と、発明品開発を手伝っていたことを。
◆◇◆
ザラームは目を瞠って。
『ラグナルって……赤の発明王のことか! あんた、マジでラグナル王の后妃だったってのか!?』
「知ってるの!?」
『知ってるも何も、超有名人だぜ? この世界で、あの人の名を知らねえやつは皆無だ。発明王のおかげで、世界は変わったんだ。もちろん、良い風にな』
春の国の国王、ラグナル。
無償で技術を提供し、その知識を惜しみなく伝え、世の中の発展のために生きた、偉大なる、赤の発明王。
あやかって、子供にラグナルという名をつけた親も多いという。
ザラームは、いたわしい、という顔をして。
『惜しかったな。一昨年に、病気で亡くなったそうだ。だいぶご高齢だったらしいからな』
「そうか……」
でも。高齢、ということは。
長生きしたんだ。この世界の人間は、生きる気力が無いと早死にするっていうのに。
長生きしてくれたんだ。良かった。
オッドアイについて、聞いてみたら。
『オッドアイ? 左右で目の色が違うことか? ああ、幸運のあかしだっていうよな。ダーフィもそうだったろ?』
だから、旅に連れて来たという。
『やっぱり、幸運を連れて来るんだな。お陰で貴重な話が聞けた。……自動人形の試作品か。くっそ、俺も見てみたかったなァ』
オッドアイは、幸福のあかし。
「そっか。……良かった。変えてみせたんだ。ほんとに、世の中を」
ほんとに、すごいよ。
頑張ったんだな。ラグナル。
◆◇◆
『ってことは。あんたが”イチ”か?』
「え、何で俺の名前……」
ザラームは指をパチン、と鳴らした。
『やった! 何て幸運だ! ……あのな、赤の発明王は、遺言を残してるんだ』
”赤の后妃の印を持った者が現れたら、墓前に連れて来て欲しい。后妃イチに、伝えたいことがある”
と。
『それ聞いた時は意味不明だったけど。これでわかった。あんたが、この先の未来で、どっかに出現するってこと、わかってたんだ!』
ラグナル。
胸を、ぎゅうっと握りこまれるような。
切ない気持ちでいっぱいになる。
『連れてってやるよ。”春の国”に。っていうか、俺もすげえ見たい!』
手を差し出されて。
「ありがとう、ザラーム」
握手を交わした。
『こちらこそ!』
◆◇◆
もう遅い時間なので、その日は天幕で一泊することになった。
ザラームは好奇心が強くて、色々と聞かれた。
異世界のことや、ラグナルのこと。
”夏の国”のことも。
『紫ねえ。……まだ、生まれてないぜ。もっと先の未来なんじゃないかな?』
もっと、先か。
『あ、後で氷菓子のこと詳しく教えてくれよ。儲かりそう!』
あ、今まで無かったんだ。
アイスクリーム。
ということは。
……俺から、伝わったのか?
っていうか、これから俺が、冬の国に伝えるの?
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