異世界の天使~鳥は二度羽搏く

篠崎笙

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レティシアにて

イザヤ:小鳥

小鳥を拾った。
黒い髪、黒い瞳の小鳥だ。


顔立ちは、特に際立って綺麗、というわけではない。普通なのだが。

大きな黒い瞳でじっと見られると、落ち着かない気持ちになる。腰の辺りがざわざわする。
妙に、色気があるのだ。


捕まえて、衣服を毟り取って。押し倒し。めちゃくちゃにしてしまいたくなる。
その衝動を押し殺すのは、大変な苦労が必要だった。


一度、その味を知ってしまったのだから。


◆◇◆


子供が娼館で売られている、という噂を耳にしたのは、半年前のことだ。


辺境の街ウェンデルは、”暗黒の時代”の影響で荒れ果てていた。
流れ者が住み着き、よろしくない商売を行っているとの噂が絶えない。

いい加減、どうにかしなければいけないことはわかっていたが。
何か、きっかけが必要だった。

辺境に兵を差し向けるのも一苦労だ。

噂だけで動かせば、民から顰蹙を買う。
子供とうたいながら、15歳どころが30歳以上の者を出している店も多々あったので。


部下を何人か送り込み、情報を得た。

本当に小さく、10歳以下の子供のようだったという。
言葉は全く通じないようだが、声が出ないわけではない。

そして、その子供は性器を切り取られていたと。


部下はその子を抱いたようだ。
金だけを握らせておけばいいものを。

私も娼館へ赴き。
眼帯をつけた女衒の男、ダミアンに合言葉を告げた。

少なくない金を握らせると、その子のもとへ案内された。

その子は一番特別な少年なので。
誰かの紹介で、合言葉を言わないと抱けないのだと恩着せがましく言った。


その子はイニスと呼ばれているようだ。


◆◇◆


イニスは本当に、子供だった。

7歳くらいだろうか?
まだ、あどけなさの残る頬。黒い髪に、黒い瞳。顔立ちは平凡、というか、地味であったが。
よく見れば、愛嬌のある顔立ちかもしれない。

黒目がちの目は大きく、潤んでいるように見える。

薄い布だけをまとった白い肌は、やけになまめかしく見えた。
色の薄い乳首が、薄い布から透けて見えていて。

私は生唾を飲み込んだ。


小さな子供に欲情するような特殊な趣味はない。ないはずだが。
この色気は、何なのだ。

子供は、私に向け、ぱかりと足を開いてみせた。

薄く縫合痕の残る股間は、無毛でつるりとしていて。
尿道だろう、小さな孔だけがある。
その奥に、慎ましやかな蕾があった。色は綺麗だった。


……私は、話を聞きに来たのだ。

なのに。子供のつるっとした股間から、目が離せない。
その白い太股に、その間の丘に触れたくて。


子供は、私の股間を探ると。
私のものを掴んで、ぱくりと口に入れた。
潤んだような黒い大きな目が、私を見上げた。


その途端、理性が限界を越えた。


◆◇◆


気付けば私は、子供の腰を掴み、めちゃくちゃに犯していた。

中は熱く、きゅうきゅうと締め付け。
内壁は精を一滴残らず絞り尽くそうとするかのように蠕動している。

こんな凄まじい快感は、初めてだった。
固くなった乳首を弄ってやると、さらに締め付けを増して。


相手は、かわいそうな子供なのだ。

親に売られたか、さらわれたか。
自分の意思でこんな商売をしているのではないだろう。

いけないことだとわかっているのに。止められなかった。
これでは部下を責められない。


「ヤァ……ッ、イヤァ、ソコ、ヤダァ、」
異国の言葉だろうか。
かわいらしい声で鳴いていた。

もっと聞きたくなり、乱暴に腰を突き動かした。


中に欲望を放つと。
美味そうに、嬉しそうに。もっと寄越せとばかりに締めつけてくる。

これは、たまらない。
高い金を払ってでも、抱きたくなる気もわからなくはなかった。


……だが、もう。
こんなことは二度とさせない。

だから。今だけは。
鳴かせてしまうのを、許しておくれ。可愛い小鳥。


◆◇◆


騎士団を率い、ウェンデルに攻め込んだ。

いかがわしい店は全て破壊し、責任者は逮捕、または処分した。
店にいた客も身元を確認し、追って相応の罰を通達する。


私はダミアンを斬った。
まだ小さな子供に、あんな惨い真似をしたのだ。生かしては置けない。

店には同じように性器を切られた元少年たちがいたので、更生施設に送った。


イニスは、変わらずにあの部屋で客を待っていた。
私を見て。
嬉しそうな顔をした気がした。

たまらず抱き上げて、部屋から連れ出した。
その身体は、とても軽かった。

本当に、鳥のようだと思った。


「もう、あんなひどいところにいなくていいんだ。君は自由だよ」

イニスは首を傾げている。
本当に、言葉がわからないのか。

最低半年は店にいたのなら、異国の者でも片言くらいは理解できるようになっていてもおかしくないはずだが。
知能が足りないのだろうか?

「かわいそうに……何かの術で、成長を止められたのか?」

だが、その瞳は。白痴ではないことを示していた。
知性の光りがある。


「……もしかしたら、」


◆◇◆


唇を押し付け、舌を差し込み。我が国に伝わる、秘伝の術をかけた。
異世界の人間に、こちらの言葉を使えるようにする術を。


「私の言葉がわかる?」
聞いてみると。

イニスは驚いたように目を見開いて、私を見た。


確信した。
時々、異世界より物や人間が流れてくることがあるという。
実際に目にしたのは初めてだが。


「やはりそうだったのか。君は、異世界から来たのだね?」

彼は頷いた。
涙を流しながら。何度も。

「そうか。言葉も通じずに、辛かっただろう……」


この世界に来て。
言葉も何もわからない状態で。

女衒に捕まって、男ではない身体にされて。
わけのわからないまま、客を取らされていたのだ。

あまりに惨い。
こんな子供に、何の罪があるというのだ。


私がその身を保護しよう。
これからは、誰からも傷つけられないように。


◆◇◆


屋敷に連れ帰り、風呂に入れてやった。

彼は嬉しそうに風呂を眺めていた。
ウェンデルに風呂はなく、身体を拭くくらいだったらしい。

そんな劣悪な環境で客を取らされていたのか。かわいそうに。


「君は、何歳なんだい?」

聞くと、15歳だという。これには驚いた。
まさか、成人を迎えていたとは。

なのに、こんなに小さいとは。どういうことだ。
術などで成長を止められているわけではないようなのに。

異世界人だからだろうか?


「名前は?」

首を横に振った。
覚えてないのか、名乗りたくないのか。

イニスでいい、と言う。


そうして。
私は小鳥を拾ったのだ。
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