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美しき伯爵、溺れる

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何が怖いって。
ロロのやつ、心に決めた人がいるからと、性指南は受けなかった、とか言ってたことだ。


ええ……。ドン引きなんですけど。

童貞であのテクってどうなの?
お前も実は生まれ変わりで、前世はテクニシャンだったの?

そうだったとしても、納得してしまいそうだ。
だって。こうして、という前例もあるわけだし。


*****


誰にも触れさせたくない、と言っていた通り。

朝晩の着替えも、寝る前にブーツを脱がして足を洗うのも。
世話係であるアンドレの代わりに、全てロロがやるようになった。

有言実行の男である。許可したの俺だけど。

仕事の大半をぶん取られたアンドレはガチ泣きしていた。
あんた本当に王子なのかと問いたい。


以来、ロロとの剣の訓練は鬼の形相で臨み、練習というより本気の斬り合いを見ているようでこわい。
毎日遠くまで、剣戟の音が響いている。

俺は念のために治療魔法を展開しつつ、それを見守っていた。

お互い、ストレス解消になってるようだし。
ロロの元気が有り余ってると主に俺が大変なので、少しは疲れてくれると良いな、と思ってたんだけど。

全然疲れてくれないんですが! 有り余る元気もとい性欲をどうにかして欲しいんですが!


見守っているといえば。
メイドたちの視線が、完全に男同士のカップルを生暖かく見守ってる感じで。

何も無かったときはハハハ妄想乙、なんて笑っていたけど。
実際にそういう関係になっちゃっただけに、何とも言えない気持ちである。

毎日シーツを交換して洗うの、彼女たちの仕事だもんな! ははは!
もう笑うしかない。


毎晩ロロが俺を掻っ攫うみたいに抱えて寝室に入っていくのも知られているし。
その翌朝には、シーツはドロドロになってるし。

ナニをしていたか、バレバレなわけで。


減った香油とか、いつの間にか補充されてたりして。
つらみMAXなんですけど!


*****


アンドレも加えた話し合いの結果。
俺が”完全体エルマフロディト”であること、俺とロロの結婚して王佐兼王配になる等の発表は。全て、国王の座を継いでから行うことになった。


今まで、”完全体”が国王になったという前例はないが。
俺がその初めての例になり、歴史を塗り替えるのも面白いだろう、ということで。

それまでは、ロロは候補から辞退して俺を国王に推し、自分は王佐になるために動いている、と周囲に吹聴するんだとか。


すっかり俺が国王になることが確定しているようだ。

アレクサンドル陣営は、周囲の人間だけがアレクサンドルを国王にしようと熱心だが。アレクサンドル自身は乗り気でないとのこと。
国王選定前に開かれたパーティーで挨拶した時、本人が困ったように言っていた。

それなのに、身内から暗殺未遂犯を出してしまい、罰として領地縮小の上、国王からもお叱りを受けたとか。かわいそうだな。


パーティーといえば。
いよいよ選抜が近くなり、暗殺を警戒したアンドレとロロが俺を挟むようにぴったりくっついてるもんだから。先日のパーティーの時は、目立つことこの上なかった。

世話係という立場のままだと会場内に入れないので、アンドレが髪の色を元に戻したせいもあっただろう。
第七王子だってバレてたし。

すっかり俺の世話焼きママみたいになっているのも驚かれていた。残念ながら世話焼きはほぼロロに阻止されてたが。


ロロはロロで、「皆が見ていたのは、あんたが色っぽくて綺麗になったせいだ」とか「そんな目で俺のアンリを見るな」って怒ってた。

一番で俺のことを見てるのはお前だろ、と言いたい。視線がエロいんだよ!
視姦って、こういうのを言うんだろうなあ、と理解できた。


完全に色ボケです、本当にありがとうございます。
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