底辺オタクがチート性能ガチ盛りなフタナリ美形に転生~魔法王国の王様に俺はなる!

篠崎笙

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美しき国王、祝福する

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広く声を届けるための拡声器的役割をする魔法の球体に向け、挨拶をする。
危うくテステス、とか言いそうになった。

あんまり口上が長いと、朝礼みたいに貧血で倒れる人が出ちゃうので、短めに。


「私が、ルミエール王国の王となったアンリ・アントワーヌ・ガブリエル・ド・ジュスタンである。まだ未熟だが。皆にとってよき国王となるよう、見守ってくれ」
そう言って、手を振ると。

耳が割れんばかりの盛大な拍手と、新国王を称える祝いの言葉。
期待されてるんだ。頑張らないと。


そこで再び、ロロが手を上げた。
「本日は、国王戴冠の他に、皆に、報せがある」

俺が”完全体エルマフロディト”であったことを発表したら。
城の前に集まっていた国民たちだけでなく、貴族たちもざわざわしている。


このことを知ってたら、ヴェルソー侯派も、俺の暗殺を狙ったりしなかっただろうな。
”完全体”なら、男でも女でも結婚できるわけだから。

その代わり、違う意味で襲われて、妊娠させられたり。酷い目にあわされそうだけど。

だからこそ、前国王オーレリアンとアンドレは、ずっと俺が”完全体”であることを秘匿し続けてくれたんだ。
二人には、本当に感謝しないと。


*****


歴史上初めてである、”完全体”の国王を祝う声が上がっている。

大方の反応は、予想していたよりも好意的なものだった。
俺の華奢な容姿からして、そうじゃないかとは言われてたって? ああそう。


これから王佐であるロロと結婚して、結婚式を挙げるのだと言ったら。
途端に、怒号のような、嘆きの声が。

なんでそんなに悲しんでるんだ? 祝ってもらえないのか、としょんぼりしてたら。


ロロが、結婚式の様子を魔法石で中継する、と言った途端。
一転して、喜びの声が上がった。

どういうことだ。


まあいいか。
とりあえず、国民へ”祝福”の魔法をかけて。国王就任の挨拶は終わりである。


「わが国民に、祝福を」
青空に、大きな魔方円を描いて。

「félicitation」


魔法円から、祝福の光が舞い降りる。
キラキラした光の粒だ。

これに当たると、病気や怪我が治ったり、幸運が舞い込むという。


*****


毎年、年の初めとこういった記念日などにやる、恒例行事のようなもので。
むしろこれが、この国の王様がしなくちゃならない、一番大切な仕事である。


この国の人間にとって、魔素の多さが何よりも優先されるかという理由は、すべてこの魔法のためだ。
奇跡魔法に分類されるこの魔法は、膨大な魔力を必要とするため、国王になる者は”祝福”を一年に何回か、それを何十年も使い続けることが可能な魔力を持っていないといけない。

前王は年々魔力の衰えを感じていて。もうそろそろこの魔法を使えなくなりそうだと判断し、退位を決意したそうだ。


皆、言葉もなく、大空の魔法円から降り注ぐ光の粒を見上げている。

そういえば、俺はこういった行事の日はいつもお城に招待されて部屋でお茶飲んでたから、見たことなかったんだよな。
一回くらい、見ておけば良かったかも。


この光、自分でやって自分で当たっても効果あるのかな?
まあ怪我くらいなら、治癒魔法で事足りるんだけど。

「ここまで大規模な”祝福”は、歴史上、初めてでしょうね」
アンドレが空を見上げて言った。

ロロは俺の横で苦笑してる。
だいたい、いつもは城に一番近い人だけしか掛からないので、早い者勝ちみたいなものだったという。


「まずかったか?」
俺はできるだけ多くの人に”祝福”を与えたかったから、大きく展開させてみたんだけど。


「いいえ。これでアンリ様……いえ、陛下の偉大なる御力を皆に知らしめることができたと思います」

の魔法円を見上げて。
アンドレは、誇らしげだった。
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