底辺オタクがチート性能ガチ盛りなフタナリ美形に転生~魔法王国の王様に俺はなる!

篠崎笙

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ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェの人生

traversée du désert.(雌伏の時)

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知り合ってから、三日と開けずベリエ領へ通った。

表向き、国王の座を目指していると言ったため、両親は喜んでいたが。
同じく国王候補であるアンリのところへ通っていることを知ると、弱点を探れ、だの追い落とせだの言いだした。

俺はアンリを何よりも大切に思っていて、もし彼に手出しをしたら、肉親であろうが骨も残さず消滅させると宣言した。


この国では、男同士の結婚も許されているが。その多くは魔素の薄い嫡子以外の者である。
魔素の濃い貴族の男同士での結婚は許されない。これが魔素の濃い男女であれば、歓迎されるのだが。
だが、彼の傍にいたい。彼の望みを叶えたい。

だから彼を国王にし、その王佐の座を狙っているのだと。


この宣言に、甘い蜜を吸うためにすり寄って来ていた者は離れたが。
賛同者も現れた。従者のページ・ダントンを筆頭に、アンリを国王にし、俺がその王佐になるための計画に協力する者が増えていった。
無欲なる献身、純愛だと思われ、感動したようだ。


純粋な欲であり、無欲では決してなかったのだが。


*****


アンリは、最初の頃こそ迷惑そうな素振りをしていたが。

俺が顔を見せると、微かに笑みを浮かべるようになった。手土産のお菓子のおかげかもしれないが。
俺の訪問を歓迎していると思うのは、気のせいではないだろう。

その証拠に、他の誰が訪問しても、門前払いだというが。
俺の場合は裏門を経由し、庭から直接会いに行くような礼を欠いた訪問でも、衛士が門を開けてくれるのだから。


アンリの口から「ロロ」と呼ばれると、幸福に包まれる。
あの甘い声で、愛称で名を呼ばれる幸福を知る者は、現在俺しかいないのだから。


アンリの肉親は、城にいない。
おそらく魔素の低い平民から、奇跡のように魔素が高い子が生まれたのだろう、と言われている。

そういうことは、稀にある。
魔素の少ない者をのはそのためだと言っていた。
多少魔素の量が多く生まれたからといって、神にでもなったつもりか。おこがましい。

ともあれ平民が突然貴族の身内になったところで、その暮らしに対応できるはずもない。
アンリの両親は、乳児だったアンリを国王の元に届け、報奨金を受け取って国外へ逃げたという。

以来、赤子の頃からの世話係であるアンドレ・ジャン=バティストだけを傍に置いて暮らしているそうだ。

通常、貴族であれば乳母や世話係は数人おり、成長するにつれて何人か替わるものなのだが。アンリの世話係は乳児の頃からずっとアンドレ一人だけだという。
アンドレ以外、着替えの支度も手伝わせないという徹底ぶりだ。


このアンドレという男、ただの世話係には見えなかった。
かなり剣の腕も立つし、その見た目からは考えられないような魔力を感じる。
おそらく、髪か肌の色を薄く見せている。

魔素の多い者が下町へ行くと大騒ぎになるので、薄くして娼館へ通う者も少なくないというが。
アンドレの場合は、襲撃者などを油断させるためだろう。


アンリを守護するための番犬として、国王から派遣された騎士だろうか?
体格、年齢差はあれど、魔素の多い俺と互角に渡り合える剣の腕を持つなど、そうでなければありえない。

しかし、アンリはそのことに気づいていないようだ。
アンリの前では、ただの世話焼きでしかないように見えるからな。


*****


しばらく通っているうちに、アンリには、心を許せるような相手がいないのだと感じた。
世話係のアンドレの前ですら、気を抜いていない印象を受けた。

その生い立ちのせいだろうか?
アンリは滅多に感情を表に出さない。そのように気を付けている、と感じた。

まるで、感情を露わにしたら罰せられると思っているような。
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