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ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェの人生
Je serai toujours avec toi.(あなたにずっとついていく)
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英司の遺灰は、残らず自分の身に取り込んだ。
会社や結社へ、私が居なくなっても問題ないよう、遺書をしたため。
本国から数人の”到達者”を呼んだ。
私の魂を取り出し、英司の魂が向かった先へ送る魔術を託したのだ。
もし、ヘンリー ・ドイルとしての記憶の総てを失ったとしても。
英司と出逢えば、わかるはずだ。
私と英司は魂の絆で結ばれた、”運命の相手”なのだから。
*****
……総てを、思い出した。
ヘンリー ・ドイルとしての”私”も。
ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェとしての”俺”も。
どちらの記憶も、欠けることなく保持している。
この世界に対して、ずっと”俺”が抱いていた違和感。
それは。異世界の記憶によるものだったんだ。
アンリが、魔法を展開している。治療魔法だ。
その手を掴んで、魔法を中断させる。
「え?」
『もう一度言って? 今の、英語だったよね?』
起き上がって。
驚いたように目を瞬かせているアンリの肩を掴み、英語で訊いた。
『貴方は、この世界に生まれる前の記憶がある?』
「え? ストップ、ストップ!」
ストップ、と言った。
これもまた発音が平坦だったが。
今のは、確かに英語だったよな?
[どうしよう……、]
アンリは困ったように、日本語で呟いた。
『今、日本語で言ったよね? 君は日本人だよね?』
英語で問うと。
[ジャパニーズ? そうだよ。日本から出たことないから日本語しかわかりませんが何か!?]
自棄になったように、日本語で言った。
え? 英語がわからないだって? 嘘だろ?
確か日本では、英語は必須科目ではなかったか?
まあいい。
幸い、俺は前世で日本語を勉強していたからな。
[……貴方には、この世界に生まれ変わる前の記憶があるのですか?]
日本語に切り替えて。先程言った質問を問いかけた。
*****
[ええと、その。……日本語、上手ですね?]
アンリは何故か敬語で答えた。
[ありがとうございます。私は前世ではヘンリー ・ドイルという名のイギリス人でした。ヘンリーはフランス語読みではアンリになるんですよ。運命を感じますね。こちらの言葉はフランス語に酷似していますが、どういった言語の進化をしたのか興味があります。日本語は、オタクカルチャーを学ぶため覚えました]
驚きのせいかガチガチに固くなっているようなので、気が紛れるよう雑談をしてみたが。
[そうですか……]
またしても、敬語だ。
アンリというか、英司は元々こういう話し方だったのだろうか?
俺が習ったのは仕事用の会話なので、わりと固い日本語になっているそうだが。
[念のため、確認しますが。前世での貴方は日本人で、名は榎本英司。事故に遭った当時、41歳で間違いありませんね?]
[なんで俺の名前を!?]
弾かれたように、俺の顔を見上げる。
[間違いなく、ご本人ですね?]
[……ああ、間違いない。こっちに生まれ変わる前の俺は榎本英司って名前の日本人で、41歳だった]
真剣な顔で、頷いた。
これが英司の本来の話し方のようだ。
[事故って。まさか……]
あの時の記憶もあるようだ。
[実は……前世の貴方を殺してしまったのは、わたしなのです]
*****
あの日起こった、英司が覚えてると思われる時までの出来事を説明した。
[ああ、あの時。上からなんか聞こえたの、あんたの声だったんだ……]
英司は英語がわからなかっため、前世での俺……ヘンリーが注意を促す言葉を理解してなかったのだ。
咄嗟だったので、日本語が出なかったなんて言い訳にもならない。
[本当に、申し訳ないことをしました。あの時、わたしが下を見ようとしなければ。声など掛けなければ、貴方はあの場で立ち止まったりせず、落石で頭を打たずに済んだでしょうに……]
あの日、言えなかった謝罪を伝えたが。
会社や結社へ、私が居なくなっても問題ないよう、遺書をしたため。
本国から数人の”到達者”を呼んだ。
私の魂を取り出し、英司の魂が向かった先へ送る魔術を託したのだ。
もし、ヘンリー ・ドイルとしての記憶の総てを失ったとしても。
英司と出逢えば、わかるはずだ。
私と英司は魂の絆で結ばれた、”運命の相手”なのだから。
*****
……総てを、思い出した。
ヘンリー ・ドイルとしての”私”も。
ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェとしての”俺”も。
どちらの記憶も、欠けることなく保持している。
この世界に対して、ずっと”俺”が抱いていた違和感。
それは。異世界の記憶によるものだったんだ。
アンリが、魔法を展開している。治療魔法だ。
その手を掴んで、魔法を中断させる。
「え?」
『もう一度言って? 今の、英語だったよね?』
起き上がって。
驚いたように目を瞬かせているアンリの肩を掴み、英語で訊いた。
『貴方は、この世界に生まれる前の記憶がある?』
「え? ストップ、ストップ!」
ストップ、と言った。
これもまた発音が平坦だったが。
今のは、確かに英語だったよな?
[どうしよう……、]
アンリは困ったように、日本語で呟いた。
『今、日本語で言ったよね? 君は日本人だよね?』
英語で問うと。
[ジャパニーズ? そうだよ。日本から出たことないから日本語しかわかりませんが何か!?]
自棄になったように、日本語で言った。
え? 英語がわからないだって? 嘘だろ?
確か日本では、英語は必須科目ではなかったか?
まあいい。
幸い、俺は前世で日本語を勉強していたからな。
[……貴方には、この世界に生まれ変わる前の記憶があるのですか?]
日本語に切り替えて。先程言った質問を問いかけた。
*****
[ええと、その。……日本語、上手ですね?]
アンリは何故か敬語で答えた。
[ありがとうございます。私は前世ではヘンリー ・ドイルという名のイギリス人でした。ヘンリーはフランス語読みではアンリになるんですよ。運命を感じますね。こちらの言葉はフランス語に酷似していますが、どういった言語の進化をしたのか興味があります。日本語は、オタクカルチャーを学ぶため覚えました]
驚きのせいかガチガチに固くなっているようなので、気が紛れるよう雑談をしてみたが。
[そうですか……]
またしても、敬語だ。
アンリというか、英司は元々こういう話し方だったのだろうか?
俺が習ったのは仕事用の会話なので、わりと固い日本語になっているそうだが。
[念のため、確認しますが。前世での貴方は日本人で、名は榎本英司。事故に遭った当時、41歳で間違いありませんね?]
[なんで俺の名前を!?]
弾かれたように、俺の顔を見上げる。
[間違いなく、ご本人ですね?]
[……ああ、間違いない。こっちに生まれ変わる前の俺は榎本英司って名前の日本人で、41歳だった]
真剣な顔で、頷いた。
これが英司の本来の話し方のようだ。
[事故って。まさか……]
あの時の記憶もあるようだ。
[実は……前世の貴方を殺してしまったのは、わたしなのです]
*****
あの日起こった、英司が覚えてると思われる時までの出来事を説明した。
[ああ、あの時。上からなんか聞こえたの、あんたの声だったんだ……]
英司は英語がわからなかっため、前世での俺……ヘンリーが注意を促す言葉を理解してなかったのだ。
咄嗟だったので、日本語が出なかったなんて言い訳にもならない。
[本当に、申し訳ないことをしました。あの時、わたしが下を見ようとしなければ。声など掛けなければ、貴方はあの場で立ち止まったりせず、落石で頭を打たずに済んだでしょうに……]
あの日、言えなかった謝罪を伝えたが。
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