82 / 83
おまけ
第一回コスプレ大会 Ⅱ
しおりを挟む
コスプレのネタ元は、ここルミエール王国はオートンヌ地方に伝わる英雄伝説らしい。
とある村にメリュジーヌという蛇の化け物が現れ。
十年に一度、村で一番若く美しい娘の生き血と心臓を捧げれば村を滅ぼさないと言われ、それ以来百年ほど生贄を捧げていた。
ある日、通りがかった旅人が生贄に選ばれた乙女に一目惚れをし、二人は恋に落ちた。
旅人はメリュジーヌを倒すかわりに彼女を自分の嫁に欲しいと言い、親である村長はそれを許可した。
メリュジーヌは目を見た者を石化させる能力を持っていたが、鏡の盾で反射させて倒した。
旅人とは仮の姿。その正体はルミエール王国の王様だった。
乙女は王の妃になり、二人は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
突っ込みたいところがいくつかあるが。
とにかく、そんな話だった。
*****
「俺が旅人、アンリが乙女、アンドレにはメデューサ……じゃなかったメリュジーヌの衣裳を着てもらう」
あ、やっぱメデューサの話を思い出すよな。
話が被るの、神様が同じだからかな?
っていうか、アンドレが悪役とかかわいそうじゃないか? 本物の王子様だったのに。まあいいか。
『決まった衣装とかあるの?』
「いや、口伝だから、そういうのは無かったな。国の印章くらいじゃないか? なので退治のシーンをイメージしてデザインしてみた」
と、デザイン画を見せられた。
羽ペンでこれだけサラサラ描けるの凄いな。
まず、メデューサっぽい化け物のイラスト。特殊メイク必要じゃね? これをアンドレに着せるの?
次、何故か旅をしていた国王。勇者様みたいな衣装だ。ロロが着たら映えるだろう。
ラスト、生贄の乙女。
何で花嫁みたいなドレスなの? お妃さまだから?
『うん……、まあ、いいんじゃない?』
絵心のない俺には口出しできない。
「これでいいのか? じゃあ、デザイン画を渡してくる」
ロロがダッシュでデザイン画を渡しに行った。
ちなみに衣装代は、国庫からでなく、ロロの個人資産から出すそうだ。
愛が重い。
*****
王宮付き裁縫師の本気を見た。
メドゥーサ……じゃなかったメリュジーヌの髪は、布で作ったにしてはやたらリアルな蛇で。
それを魔法でうねうね動かすもんだから怖すぎる。子供見たら泣くぞこれ。
でもってその怖すぎるカツラの着用者であるアンドレがまたイケメンなので、シュール過ぎる光景に。
衣装は貞子みたいな白いワンピースで靴は木靴だった。
ロロが着る勇者兼王様の衣装もやたら凝ってた。
鎧はいぶし銀のような色合いで、めちゃくちゃカッコイイ。鏡の盾も、鎧も剣も本物だ。もうこれコスプレじゃないじゃん。
生成りの布で鎧や剣を隠し、最初は旅人の姿で、途中で赤いマントを羽織るそうだ。
何でかって、メリュジーヌの返り血で赤く染まるから。怖いよ!
俺の着る生贄の乙女の衣装は、一見地味な灰色のフード付きのローブだけど。
仮止めしてある糸を引き抜くとウエディングドレスに早変わりする。何度かテストしてたのを見た。
その無駄に凝ったギミックは、浄瑠璃やスーパー歌舞伎の早着替えで覚えたとか。
*****
衣装部の職人達がロロのことを絶賛する訳だよ。
こんなの初めて見るだろうし。まるで魔法みたいだもん。
この世界、着替えのための魔法はないんだよな。
まだ開発されてないだけかもしれないけど。
移動魔法を応用すれば一瞬で素っ裸になるのは可能かな?
でも、着る方はどうしようもない。
仮面舞踏会はまだ先だっていうのに、城内ではもうすでに盛り上がってる。
斬新な服も楽しみにされてるけど。
王佐が王に、王様が姫になるっていうアイデアが面白いんだって。
今まで、そういう発想自体無かったのか。
娯楽の少ないこの世界では、ただの仮面舞踏会ですら新鮮に見えるんだろうな。
最初からこんなかっ飛ばしちゃって大丈夫かね?
ハードル上がっちゃわない?
まあ、みんなが楽しんでくれればいいか。
とある村にメリュジーヌという蛇の化け物が現れ。
十年に一度、村で一番若く美しい娘の生き血と心臓を捧げれば村を滅ぼさないと言われ、それ以来百年ほど生贄を捧げていた。
ある日、通りがかった旅人が生贄に選ばれた乙女に一目惚れをし、二人は恋に落ちた。
旅人はメリュジーヌを倒すかわりに彼女を自分の嫁に欲しいと言い、親である村長はそれを許可した。
メリュジーヌは目を見た者を石化させる能力を持っていたが、鏡の盾で反射させて倒した。
旅人とは仮の姿。その正体はルミエール王国の王様だった。
乙女は王の妃になり、二人は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
突っ込みたいところがいくつかあるが。
とにかく、そんな話だった。
*****
「俺が旅人、アンリが乙女、アンドレにはメデューサ……じゃなかったメリュジーヌの衣裳を着てもらう」
あ、やっぱメデューサの話を思い出すよな。
話が被るの、神様が同じだからかな?
っていうか、アンドレが悪役とかかわいそうじゃないか? 本物の王子様だったのに。まあいいか。
『決まった衣装とかあるの?』
「いや、口伝だから、そういうのは無かったな。国の印章くらいじゃないか? なので退治のシーンをイメージしてデザインしてみた」
と、デザイン画を見せられた。
羽ペンでこれだけサラサラ描けるの凄いな。
まず、メデューサっぽい化け物のイラスト。特殊メイク必要じゃね? これをアンドレに着せるの?
次、何故か旅をしていた国王。勇者様みたいな衣装だ。ロロが着たら映えるだろう。
ラスト、生贄の乙女。
何で花嫁みたいなドレスなの? お妃さまだから?
『うん……、まあ、いいんじゃない?』
絵心のない俺には口出しできない。
「これでいいのか? じゃあ、デザイン画を渡してくる」
ロロがダッシュでデザイン画を渡しに行った。
ちなみに衣装代は、国庫からでなく、ロロの個人資産から出すそうだ。
愛が重い。
*****
王宮付き裁縫師の本気を見た。
メドゥーサ……じゃなかったメリュジーヌの髪は、布で作ったにしてはやたらリアルな蛇で。
それを魔法でうねうね動かすもんだから怖すぎる。子供見たら泣くぞこれ。
でもってその怖すぎるカツラの着用者であるアンドレがまたイケメンなので、シュール過ぎる光景に。
衣装は貞子みたいな白いワンピースで靴は木靴だった。
ロロが着る勇者兼王様の衣装もやたら凝ってた。
鎧はいぶし銀のような色合いで、めちゃくちゃカッコイイ。鏡の盾も、鎧も剣も本物だ。もうこれコスプレじゃないじゃん。
生成りの布で鎧や剣を隠し、最初は旅人の姿で、途中で赤いマントを羽織るそうだ。
何でかって、メリュジーヌの返り血で赤く染まるから。怖いよ!
俺の着る生贄の乙女の衣装は、一見地味な灰色のフード付きのローブだけど。
仮止めしてある糸を引き抜くとウエディングドレスに早変わりする。何度かテストしてたのを見た。
その無駄に凝ったギミックは、浄瑠璃やスーパー歌舞伎の早着替えで覚えたとか。
*****
衣装部の職人達がロロのことを絶賛する訳だよ。
こんなの初めて見るだろうし。まるで魔法みたいだもん。
この世界、着替えのための魔法はないんだよな。
まだ開発されてないだけかもしれないけど。
移動魔法を応用すれば一瞬で素っ裸になるのは可能かな?
でも、着る方はどうしようもない。
仮面舞踏会はまだ先だっていうのに、城内ではもうすでに盛り上がってる。
斬新な服も楽しみにされてるけど。
王佐が王に、王様が姫になるっていうアイデアが面白いんだって。
今まで、そういう発想自体無かったのか。
娯楽の少ないこの世界では、ただの仮面舞踏会ですら新鮮に見えるんだろうな。
最初からこんなかっ飛ばしちゃって大丈夫かね?
ハードル上がっちゃわない?
まあ、みんなが楽しんでくれればいいか。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
363
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる