神様の手違いで死んだ俺、チート能力を授かり異世界転生してスローライフを送りたかったのに想像の斜め上をいく展開になりました。

篠崎笙

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異世界で、魔力のテストをする

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 スキルは、さっき言った”創造”しかない、とウィリアムに言うと。

 急遽、冒険者としてのテストを受けることになった。
 武器を使用しての実戦試験は、さすがに危ないからと止められた。高校の時に授業で剣道を習ったくらいなので、それは助かる。

 どの魔法の属性が一番強いか、調べるそうだ。


 この世界の人は、15歳になると教会でスキルの他に、魔法能力を授けられる。
 火、水、風、土、雷、闇、光などの属性魔法があって、大体の人が持っているのはその中の一つか、多くても三つほどらしい。全属性持ちはいないのか。
 プレストンが持ってる浄化や回復魔法は光の属性魔法になるという。神職は光魔法が得意なのか。確かにそれっぽい。

「水の適正がある人は、ここではかなり貴重なんだ。……まあ、君には関係ない話だろうけどね」
 苦笑してる。

 なにせ”創造”だからな。ある意味、何でもアリだ。

「ウィリアムさんは、何の魔法が得意なの?」
「ウィル、」
 そう呼んでくれないと返事しないよ、などと言ってる。子供か。

 まあいいか、ここは俺が譲ろう。

「……ウィル、は。何の魔法が得意なの?」
 訊くと、にっこり笑って。
「雷が一番で、次に光と闇。少しだけ、火と土も使えるよ」

 おお。普通は多くても三種類くらいなのに、そんなに使えるのか。すごいんだな。


 *****


 ここにはその人の持つ魔法属性を計測できる、特別な石があるそうだ。
 その石に手をかざすと、持っている属性によって石の色が変わるという。とても貴重なものらしい。

 ウィリアムは、このテストはできれば人の耳目のないところでしたい、と言ったので、応接室へ通されて。
 組合の人が、わざわざ応接室まで属性テストをする石を持ってきてくれた。ちょっと重そうだからか、熊耳っぽい男性だった。


 室内から組合の人が出て行って、人払いされた後。

「こうするんだよ」
 まずはお手本、という風に。火魔法が得意だというオズワルドが、大きな白い石に手をかざしてみせると。

 石は、赤い色に明るく光った。
 少し、緑色も見える。これは風魔法の色らしい。火と風、二種類使えるのか。風は火を大きくできるから、相性良さそう。

「石がこのくらい光るのは、かなり魔力が強いという証です」
 オーソンが補足してくれる。

「わあ。……ウィリア……ウィルは?」
「さっき言ったとおりだよ。ほら」
 ウィリアムが石に手をかざす。

 眩しいくらいの紫の光に、次いで白と黒の光。赤と茶が少し。火は赤、風は緑だっていうのはさっき見せてもらった。土は茶色、闇が黒で光は白。滅多に見ないけど、水属性は青色だそうだ。
 えっ、雷って紫色なのか……。まあ紫電ともいうしな。


 次はいよいよ、俺の番だ。
 ちょっとわくわくしながら、石に手をかざしてみる。

 ……光らないな。

 あれ? 遠かったかな?

「あれ?」
 触れるギリギリまで近づけても、光らないんだけど。

 壊れたのかな? と思ったが、ウィリアムが再び手をかざしたら、さっきと同じに光った。
 故障ではないようだ。

「おかしいな。少なくとも、水魔法は確実に使えるだろうに」
 ウィリアムも不思議そうだ。

 ”創造”の力だけで、特に属性は無いってことかな、としょんぼりしていたら。


「いかがなさいました?」
 組合所属だという、魔法使いの人が顔を出した。

 濃い紫色のフード付きローブ姿で木の杖を持った、いかにも魔法使いといった感じの人だ。
 ローブの胸と背中には、剣と杖でデザインされた組合のマークが入っている。


「あ、副組合長……、」
 応接室のドアを遮るように立っていたオズワルドとオーソンが左右に移動して、その人を室内に招き入れた。

 え? 偉い人?


 *****


「魔法は使えるのに、石が反応しない? ……もしかしたら、無属性なのかもしれませんね」
「ああ、なるほど。その可能性があったな」
 副組合長の言葉に同意するように、ウイリアムが頷いた。

 無属性というのは、どれも使えない、という意味ではなく。全種類の魔法が使える、とても貴重な人のことらしい。レア? レア能力?


 じゃあちょっと試しに、的に向けて魔法を撃ってみましょう、と言われて。
 ちゃんと人払いした練習場まで連れて行かれて。

「あの色のついた的に、それぞれの魔法を放ってください」
 その属性の魔法でないとダメージ判定が出ないようだ。おお、異世界の謎技術……!

 まず、副組合長やウィリアムたちが見本にやってくれた。ウィリアムの放った雷の矢は、かなりの威力だったみたいだ。

「それでは、火の矢を出してみてください」
「はい。……ลูกศรไฟ火の矢
 やってみたら、ちゃんと火でできた矢が出た。おお。


 結局、全種類の魔法が出せた。

 全種類の魔法が使えるなんて珍しい、冒険者協同組合に所属して賢者になりませんか、と熱心に誘われてしまったが。
 今日は登録だけなので結構、とウィリアムが笑顔で断った。

 笑顔で威圧するとか、やっぱりウィリアムは実は腹黒だな? よし! と思わず拳を握る俺だった。


 *****


 組合員の証として、赤い宝石のような石のついた金属製の腕輪を渡された。魔石だそうで。これに今日記述したりテストをした情報が入ってるらしい。
 おお、異世界の技術だ。

 この魔石は国民全員が持っている身分証明書みたいなもので。
 冒険者組合に入っていれば、他の国へ行く時など、関所でこれを提示すれば入国税を払わなくて済むそうだ。犯罪歴のある人は門でチェックに引っ掛かって、入国を断られたりすることもあるとか。

 次にロチェスターに入る時、これを提示すれば無料になる、だって?

 ここって本来、入るのにお金がかかる地域だったのか……。観光地みたいなもの? ウィリアム達と一緒だったので顔パスだったから、わからなかった。
 王様の住む城がある街だし。無料にして誰でも入れるようにすると、犯罪者とかも入りやすくなるからだろうか。


「君は一生、免税だよ」
 後で魔石に情報を追加しておく、と言われた。

 いや、そんな特別扱いはしなくていいから……。というか、そんな権力があるのは王族だけなのでは? ただの騎士だとか言ってたのに。隠す気あるのか?
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