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Ⅲ
異世界で、色々作ってみる
ライ麦パンと目玉焼き、ベーコンだけというシンプルな朝ごはんをいただいてから。
石でできた、これまたシンプルな階段を上がり。
城門の上から、貯水池を作る予定の場所を確認させてもらう。
石造りの 壁高欄は50㎝くらいの高さしかないので、ちょっと……いやかなり怖い。よろけたら、真っ逆さまに落ちてしまいそうだ。
この城門、10mはありそうなんだが。
下が見えると、どうしても腰が引けてしまうが。他の人たちは皆、普通に歩いてる。すごい。さすが、常日頃魔物との戦いに身を投じているだけある。
え? 落ちても風魔法でどうにかするから怖くない? そうなのか……。
以前はこの城内に、国を見渡すことが出来るような高い塔があったが、例の魔物大発生の時に、飛竜が来て壊されてしまったそうだ。残念だ。
建て直しはしないのかな?
*****
「じゃあ、ここから試してみます」
昨日、最新の地図を囲みながら話し合って決めた、貯水池の設置予定地へ手を向け。
目を閉じて、頭の中に完成された貯水池を思い浮かべる。
保水のために、貯水池の周囲はコンクリートで覆うが。椀状の溜池では子供が落ちたりした時に這い上がれず、悲しい事故が起きたりもする。点検用にも梯子が必要だろう。
水の安全も、子供らには必要なので。研修で、浄水場に行ったりもした。ろ過装置もつけよう。お土産にもらった”東京都の水”は、普通に水の味だったっけ。カルキ臭くはなかった。
陶器製の土管でできた水路は城壁の下をくぐって、新たな井戸を作る。
手動では大変だから、蛇口にしよう。5つほどで足りるかな? 足りなければ増やせばいいか。
蛇口から出てくるのは、ろ過された飲料用水だ。
……よし、イメージ終了。
「อ่างเก็บน้ำ」
呪文を唱え、目を開けると。
綺麗な水を湛えた貯水池と、ろ過装置。城壁内には井戸が完成していた。
改めてすごいな。”創造”のスキル。
見張りの兵が突如現れたそれらに驚いて、城壁から落ちそうになってた。……やっぱり手摺りつけちゃ駄目かな? シンプルすぎる階段にもつけたいんだが。降りる時に俺が怖いからつけちゃうね。いらなかったら外すから。
「いや、これ、”貯水池”の範囲で出来るものではないよね? ろ過装置と水道まで作っている」
あ、ウィリアムはろ過装置ってわかったんだ。この世界にもあるのか。
しかし、ろ過自体は知っていても、水場が近くになければどうしようもないからな。
「あとは、リズリーに森と湖を作りますね」
風すさぶ城壁からさっさと降りようとしたら。
「あ、この辺に塩湖を作ってくれないかな?」
ウィリアムが地図を取り出して、指差した。ここからも目視できる距離だった。
「できれば、景観の良い湖がいいな。薄い赤の」
おお、ぐいぐい注文するなあ。
薄い赤……ピンク色の岩塩といえば、ヒマラヤ岩塩みたいなのかな? ミネラルが豊富なんだよね。アスタキサンチンは鮭の身やフラミンゴの羽色を赤くする色素だ。抗酸化作用があるらしい。
塩湖は前、テレビで見たことがあるから大丈夫だろう。絶景で有名なウユニ塩湖の奥にある、ラグーナ・コロラダみたいな感じで良いかな?
オズワルドとオーソンは、塩湖? 赤い塩? と、不思議そうな様子だ。
この世界には、塩湖も赤い塩も存在しないようだ。
あれ? じゃあ何でウィリアムは知ってるんだろう。
……まあいいか。さっさと作っちゃおう。
リズリーに早く行きたいし。
「ทะเลสาบเกลือ」
「おお……、」
青い空に、ピンク色の湖。幻想的な光景に、皆が見惚れている。
「凄い。想像した通りだ」
ウィリアムは大喜びだ。
これまでこの国で採掘されていた岩塩は、実はもうほぼ掘り尽くされていて、枯渇寸前だったらしい。内緒だよ、と囁いてウイリアムがウインクした。
そりゃ良かった。お役に立てれば何よりだ。でも耳元で囁くのはやめて欲しい。
*****
何故か馬車ではなく、馬でリズリーへ向かうことになった。
ナムグン可愛いからいいけど。
「あ、ここにも 黒子発見」
「ひぐぁ、」
突然耳の裏をつつかれて、おかしな声を出してしまった。
……身体を震わせて。笑うのを我慢しているのが丸わかりなんだが。
「ふふ、目の下の黒子って、色っぽいよね」
男に色気を感じられても嬉しくない。ホクロをつつくな。
「あ~あ、懐かれちゃいましたね……」
並走していたオズワルドが、呆れたように言った。
「その人、拗ねると厄介なので、適度にかまってあげてくださいね?」
ええ……。
オーソンまで、こちらに同情めいた視線を……。
保育園の調理師だった頃は、空いた時間に園児と遊んだりもしていたが。
今、俺は10歳児だ。押し付けられても困るんだが。
*****
そんなこんなで、いつの間にかリズリーに到着していた。
見渡す限りの荒野。
これ、魔物の血で呪われてこうなったのかと思うと、なんかこわいな。
じゃ、とっとと森を復活させよう。
城門から見て、だいたいの植生も確認したし。図鑑にあった動物や植物は、地球のものとあまり変わらなかったから、難しく考えなくて大丈夫そうだ。
違うのは、魔物がいることくらいかな? 魔物の図鑑は冒険者組合で貸してもらったのを見たから大丈夫、と。
「ป่าลึก」
目を閉じて。
深い森と、森の動物たちをイメージする。
草食動物だけでなく、危険な肉食動物もいないと生態系が狂う。
生い茂る草と。
「ทะเลสาบ」
動物たちに、水場も必要だろう。
琵琶湖……は大きすぎるな。向こう岸が見える程度の大きな湖。
水草、魚や小エビなどの水生生物。……シャケ食べたい。
目を開くと。
深い森と、緑に包まれた巨大な湖ができていた。少々邪念が入った気がするが。
それと。道沿いだと野盗に目を付けられそうなので、ちょっと道よりも奥に入ったところに家を作ろう。
念願の! 風呂付一戸建て!
私欲まみれだった。
石でできた、これまたシンプルな階段を上がり。
城門の上から、貯水池を作る予定の場所を確認させてもらう。
石造りの 壁高欄は50㎝くらいの高さしかないので、ちょっと……いやかなり怖い。よろけたら、真っ逆さまに落ちてしまいそうだ。
この城門、10mはありそうなんだが。
下が見えると、どうしても腰が引けてしまうが。他の人たちは皆、普通に歩いてる。すごい。さすが、常日頃魔物との戦いに身を投じているだけある。
え? 落ちても風魔法でどうにかするから怖くない? そうなのか……。
以前はこの城内に、国を見渡すことが出来るような高い塔があったが、例の魔物大発生の時に、飛竜が来て壊されてしまったそうだ。残念だ。
建て直しはしないのかな?
*****
「じゃあ、ここから試してみます」
昨日、最新の地図を囲みながら話し合って決めた、貯水池の設置予定地へ手を向け。
目を閉じて、頭の中に完成された貯水池を思い浮かべる。
保水のために、貯水池の周囲はコンクリートで覆うが。椀状の溜池では子供が落ちたりした時に這い上がれず、悲しい事故が起きたりもする。点検用にも梯子が必要だろう。
水の安全も、子供らには必要なので。研修で、浄水場に行ったりもした。ろ過装置もつけよう。お土産にもらった”東京都の水”は、普通に水の味だったっけ。カルキ臭くはなかった。
陶器製の土管でできた水路は城壁の下をくぐって、新たな井戸を作る。
手動では大変だから、蛇口にしよう。5つほどで足りるかな? 足りなければ増やせばいいか。
蛇口から出てくるのは、ろ過された飲料用水だ。
……よし、イメージ終了。
「อ่างเก็บน้ำ」
呪文を唱え、目を開けると。
綺麗な水を湛えた貯水池と、ろ過装置。城壁内には井戸が完成していた。
改めてすごいな。”創造”のスキル。
見張りの兵が突如現れたそれらに驚いて、城壁から落ちそうになってた。……やっぱり手摺りつけちゃ駄目かな? シンプルすぎる階段にもつけたいんだが。降りる時に俺が怖いからつけちゃうね。いらなかったら外すから。
「いや、これ、”貯水池”の範囲で出来るものではないよね? ろ過装置と水道まで作っている」
あ、ウィリアムはろ過装置ってわかったんだ。この世界にもあるのか。
しかし、ろ過自体は知っていても、水場が近くになければどうしようもないからな。
「あとは、リズリーに森と湖を作りますね」
風すさぶ城壁からさっさと降りようとしたら。
「あ、この辺に塩湖を作ってくれないかな?」
ウィリアムが地図を取り出して、指差した。ここからも目視できる距離だった。
「できれば、景観の良い湖がいいな。薄い赤の」
おお、ぐいぐい注文するなあ。
薄い赤……ピンク色の岩塩といえば、ヒマラヤ岩塩みたいなのかな? ミネラルが豊富なんだよね。アスタキサンチンは鮭の身やフラミンゴの羽色を赤くする色素だ。抗酸化作用があるらしい。
塩湖は前、テレビで見たことがあるから大丈夫だろう。絶景で有名なウユニ塩湖の奥にある、ラグーナ・コロラダみたいな感じで良いかな?
オズワルドとオーソンは、塩湖? 赤い塩? と、不思議そうな様子だ。
この世界には、塩湖も赤い塩も存在しないようだ。
あれ? じゃあ何でウィリアムは知ってるんだろう。
……まあいいか。さっさと作っちゃおう。
リズリーに早く行きたいし。
「ทะเลสาบเกลือ」
「おお……、」
青い空に、ピンク色の湖。幻想的な光景に、皆が見惚れている。
「凄い。想像した通りだ」
ウィリアムは大喜びだ。
これまでこの国で採掘されていた岩塩は、実はもうほぼ掘り尽くされていて、枯渇寸前だったらしい。内緒だよ、と囁いてウイリアムがウインクした。
そりゃ良かった。お役に立てれば何よりだ。でも耳元で囁くのはやめて欲しい。
*****
何故か馬車ではなく、馬でリズリーへ向かうことになった。
ナムグン可愛いからいいけど。
「あ、ここにも 黒子発見」
「ひぐぁ、」
突然耳の裏をつつかれて、おかしな声を出してしまった。
……身体を震わせて。笑うのを我慢しているのが丸わかりなんだが。
「ふふ、目の下の黒子って、色っぽいよね」
男に色気を感じられても嬉しくない。ホクロをつつくな。
「あ~あ、懐かれちゃいましたね……」
並走していたオズワルドが、呆れたように言った。
「その人、拗ねると厄介なので、適度にかまってあげてくださいね?」
ええ……。
オーソンまで、こちらに同情めいた視線を……。
保育園の調理師だった頃は、空いた時間に園児と遊んだりもしていたが。
今、俺は10歳児だ。押し付けられても困るんだが。
*****
そんなこんなで、いつの間にかリズリーに到着していた。
見渡す限りの荒野。
これ、魔物の血で呪われてこうなったのかと思うと、なんかこわいな。
じゃ、とっとと森を復活させよう。
城門から見て、だいたいの植生も確認したし。図鑑にあった動物や植物は、地球のものとあまり変わらなかったから、難しく考えなくて大丈夫そうだ。
違うのは、魔物がいることくらいかな? 魔物の図鑑は冒険者組合で貸してもらったのを見たから大丈夫、と。
「ป่าลึก」
目を閉じて。
深い森と、森の動物たちをイメージする。
草食動物だけでなく、危険な肉食動物もいないと生態系が狂う。
生い茂る草と。
「ทะเลสาบ」
動物たちに、水場も必要だろう。
琵琶湖……は大きすぎるな。向こう岸が見える程度の大きな湖。
水草、魚や小エビなどの水生生物。……シャケ食べたい。
目を開くと。
深い森と、緑に包まれた巨大な湖ができていた。少々邪念が入った気がするが。
それと。道沿いだと野盗に目を付けられそうなので、ちょっと道よりも奥に入ったところに家を作ろう。
念願の! 風呂付一戸建て!
私欲まみれだった。
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