神様の手違いで死んだ俺、チート能力を授かり異世界転生してスローライフを送りたかったのに想像の斜め上をいく展開になりました。

篠崎笙

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転生国王は神の使いを寵愛する

楽しい時間

 ……もう朝か。

 割れてしまったため、窓ガラスは無いが、鎧戸の内側にはガラス代わのスクロールカーテンのようなものがついている。
 魔法でそれを上げると、朝日が差し込んだ。

 久しぶりによく眠れた気がするのは、腕の中の、このぬくもりのおかげだろう。
 こうしていると、気持ちが落ち着くのは何故なのか。

 リンも、ちょうど目覚めたようだ。腰に回していた私の腕を動かそうとしている。


「おはよう。もうお目覚めかな?」
 声を掛けると。

 リンは振り向いて。驚きに目を大きく見開いていた。

 その視線は、私の顔から肩、腕。胸板へと異動し。
 頬を赤く染めた。


 *****


 ああ、そういえば。
 昨夜も、いつものように服をすべて脱いで寝てしまっていたようだ。

 流星が家で裸族だったせいもあるが。現在の生活でも、寝間着を脱ぐのも脱がされるのも面倒なので、普段は裸で寝ているのだ。

 貴族というのは面倒なもので、下着の着替えすら使用人にさせるのである。
 これも、ある程度の身分がないと就けない名誉職ではあるし、彼らの大切な仕事なので、恥ずかしいからといってやめさせるわけにもいかない。
 私は裸になるのは慣れているので、恥ずかしくはないが。

 リンは、自分が服を着ているかどうか確かめているようだ。
 寝間着を着ているのを見て、ほっとしていた。

 ……中身がどうであれ、私が10歳の子供に手を出すような人間に見えるのだろうか?

 リンのことは可愛らしく思うし、守ってやりたいと思っているが。
 さすがに10歳の子供相手に性的にどうこうしたい、というような衝動はわかないし、そんな極悪非道ではないつもりだが。

 しかし。この反応からして、とりあえず、ある程度は性的な知識を持っていると思っていいだろう。
 あまり性的に無防備すぎても、危険だからな。

 リズリーは遠い。
 私がずっと張り付いて、目を光らせておくことは難しい。ある程度自衛できることが望ましい。


 あらぬ方を見て。
 恥じらっている様子が可愛らしいので、少々からかってやりたくなった。

「ん? 顔が赤いな。熱でもあるのかな? ……どれ、」
 そっと、額を額にあてる。

 ふふ、鼓動が早まった。可愛いな。


「だ、だいじょうぶ。驚いただけ、」
 胸板を押し返された。


 *****


「ひぇ、」
 小さな悲鳴が上がった。

 熱を測るのに、上半身を起こしたため。見えてしまったようだ。
 朝勃ちした状態でもあるまいし。男同士だというのに、耳まで真っ赤になっている。

 ……男同士だと思うが。
 まさか、中身は男ではないのか? だとしたらとんだセクハラだな。

 特に嫌そうな様子でもないので、いいか。


 ベッドサイドのベルを鳴らし、使用人を呼ぶ。
 私はベッドから降り、使用人に着替えさせていたが。リンは恥ずかしがってベッドから出て来なかった。

 自分で着替えるというので、昨日スキート紹介で誂えた服を一式ベッドに置くと、上掛けから出てきた。


「ああ、安心して。昨日、君の着替えは私がしたから」
 にっこり微笑んで言うと、微妙な顔をされた。

 この反応は、微妙な年ごろなのか、それとも実は女の子なのか。区別がつかないな。


「では、着替え終わったら教えておくれ」
 あまりじっと見ていると変態のように思われそうなので、着替えが終わるまでは窓の外を見ていた。

 ああ、今日もいい天気だ。


 *****


 城壁に上がり、そこから予定地を見て。
 リンは、あっという間にコンクリート製の貯水池を作ってみせた。

 梯子がついているのは、万が一貯水池に落ちた時に上がれるように、だそうだ。
 ろ過装置もついていて、城内とは陶器製の水道で繋がっており、蛇口も作ったという。

 雨水は、砂とかを経由すると綺麗になる、という話は聞いたことがあるが。
 その仕組みをよく知っているようだ。土木関係者だったのだろうか。


 少々無茶振りをして、赤い塩湖が欲しいと望んだ。
 テレビの企画で行った、ウユニ湖の奥にある赤い塩湖をイメージしたのだが。リンは見事、そのイメージ通りの塩湖を作ってみせた。ヒマラヤ岩塩みたいなのかな、と呟いていたので、塩湖も知っていたようだ。

 この世界には塩湖は存在していなかったのだが。そろそろ、我が国の岩塩も掘り尽くされていたので、助かった。これで当分、塩に困ることはないだろう。海に面した土地の無いこの国では、地理的に、他に塩を得ることが困難である。景観も良いので、観光地にもなりそうだ。


 リズリーへは馬車ではなく、騎馬で向かうことにした。
 馬車は目立つ上に機動性に欠ける。もし途中で山賊などに襲われた場合、単騎のほうが対策しやすいからだ。

 それに、私の腕の中に納まっているリンがかわいい。ナムグンも上機嫌である。


 ……おや。
「あ、ここにも黒子ファイ発見」

 ちょい、と耳の裏をつついてみると、リンは声を上げ、びくっと身体を震わせた。敏感だ。
 かわいいなあ。

「ふふ、目の下の黒子って、色っぽいよね」
 目元の泣き黒子をつついてみたりして。

 んー、と子猫のような声を上げるのもかわいらしい。嫌がるようならやめようと思ったのだが。嫌そうではないので続行である。
 オズワルドとオーソンからは呆れたような視線を送られていたが。楽しいので気にしないことにする。

 あっという間にリズリーに着いてしまった。
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