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Ⅴ
異世界で、念願の
目が覚めたら、二階の寝室で寝ていた。
しかも、またしても、すっぽんぽんのウィリアムの腕の中で。
うう……、全裸の男に抱きしめられたまま寝ていたというのに。少しも嫌悪感が無いのがかえってこわい。それどころか、ぐっすり安眠してしまったくらいだ。
これがイケメンの包容力、抱かれたい芸能人ナンバーワン常連の実力というものか……! って、ちょっと意味が違う気がするけど。
まあいいか。
いやよくない。いくら異世界だからって、俺の常識が次元の向こうへ行ってしまうのはダメだろう。
「……何で裸で寝てるの?」
ジト目で見ると。
「服を着たままだと締め付けられるのが嫌で、よく眠れなくてね」
ウィリアムは、悪びれた様子もなく言った。
そんなんで魔物と戦ってた時は野営とか大丈夫だったのかと思ったら。むしろ服を着たままだとよく眠れないのは、それはそれで便利だったそうだ。
じゃあ、ぐっすり眠れるならいいか……などと思ってしまう俺は多分どうかしてる。
「風呂に入れてあげたかったけど、私もさすがに眠かったので、”浄化”して着替えさせただけで寝てしまった。ごめんね」
風呂に入らないでそのまま寝たのに、さっぱりしてるのはそれでか。いや、お風呂に入れてくれなくて結構です。自分で入るし。
ウィリアムはお酒飲んでたんだし、お風呂に入っちゃダメだからな?
「ちゃんと、お口の中も”浄化”しておいたからね?」
と、指先で唇をつつかれる。
何でこの男、いちいち仕草やセリフが性的というか、フェロモン全開なのだろうか。おのれ、元トップアイドルの王子様め……! 美形がそれやったら、シャレにならないだろうが!
いや、俺がいちいち反応して照れてるから、面白がってからかわれるのだろう。
平常心、平常心。
「あ、忘れてた」
起き上がってベッドから降りたウィリアムが、こっちへ戻って。
「おはよう、可愛い人」
目元に軽く。
ちゅっ、と。キスをされた。
そこは。
泣き黒子のある位置だ。
*****
朝ご飯を作るので、テラスで待っているように言って、ウィリアムの背中を追いやった。
朝は和食がいいとのリクエストなので。
ワカメと豆腐、油揚げとネギの入った味噌汁にご飯、焼き魚は紅シャケ。目玉焼きと、ちょっとした生野菜サラダ。好みで焼き海苔、梅干し、お漬物というメニューにしておいた。
俺は納豆と冷ややっこも好きだけど。イソフラボン過多になるかな、と自重した。
「ああ、こんな朝食は前世振りだ。ウィリアムにとっては初めてになるね。……うん、今まで飲んだ中で一番美味しい味噌汁だ。しみるなあ」
ウィリアムは味噌汁をすすりながら、しみじみと呟いた。
「出汁は鰹節と昆布、味噌は白と赤の合わせ味噌にしたけど、大丈夫?」
どこで育ったかによって、口に合わなかったりするからな。俺的に甘い味噌汁はちょっと……。
「ごちそうさまでした」
手を合わせて。
「片づけは私がやろう。といっても、”浄化”を使うくらいだけどね」
と、食器を手早く片付けた。
昨日あんまり動かなかったのは、部下やプレストンが見てるから、立場上、動けなかったようだ。
立場のある身分の人って、色々大変なんだな。
「……ん?」
庭の方から、何か聞こえたような。犬の鳴き声?
*****
ウッドデッキに出てみると。
池の傍に、真っ白な毛玉がいて。こっちに気づくと、コロコロ転がって来た。……いや、転がるように走ってきている。
あれだ。前に動画で見た、マラミュートの子犬。この子は真っ白だけど。
どう見てもマラミュートそっくりな、もふもふの子犬が。きゅんきゅん鳴きながらこちらへ駆け寄ってきている。敷地内に入るのを許可してないのに何で、とかもうどうでもいいくらいかわいい。
ぽて、と転びそうになってるのもかわいい。
かわいい! あざといくらい可愛すぎる!
「おいで、」
手を差し伸べたら、ぴょこんと飛び込んできた。まんまるで、ふわふわのもふもふだ。
うわあ、めちゃくちゃしっぽ振って喜んでる。可愛いし、懐っこいな。
「……狛犬様?」
グラスに入れたリンゴジュースを手に、ウィリアムが戻ってきていた。
「え? この子、知ってる犬なの?」
「この世界ではこの子犬にそっくりな像が、神の眷属として崇められている。教会の神の像の両側に……日本でいえば、神社や寺の入り口には狐や狛犬が飾られているだろう? そのような存在だ」
おお、そんな凄い存在なのか。こんなにフワモフで可愛いのに。
「っ、ちょっと待った。……来た」
ウィリアムが険しい顔をして、額を押さえた。何? 電波でも受信したの?
「神託だ。……”良さげなのを探していたが、ちょうどよく神獣の狛犬に仔が生まれたので、中でも賢いのを送った”……とのことだ。その子はここの番犬にするといい」
「ええっ⁉」
*****
プレストンほどレベルは高くないけど。ウィリアムも神託のスキル持ちなんだそうだ。
ちょっと嫌そうな顔をしてるのは、あんまり俺のことをからかうんじゃない、とお叱りを受けたかららしい。
……神様、過保護すぎじゃない?
確かに、番犬を飼いたいとは言ったけど。
まさか神様が犬まで用意してくれるとは思わなかった。それも、神獣だって?
「この子、神獣なんだよね? 俺の番犬にしちゃっていいの?」
「良いのも何も。そのためにここへ送られてきたのだから、有難く受け取っておけばいい。最強の番犬になるだろう」
本当にいいのかなあ。可愛いし、嬉しいけど。
しかも、またしても、すっぽんぽんのウィリアムの腕の中で。
うう……、全裸の男に抱きしめられたまま寝ていたというのに。少しも嫌悪感が無いのがかえってこわい。それどころか、ぐっすり安眠してしまったくらいだ。
これがイケメンの包容力、抱かれたい芸能人ナンバーワン常連の実力というものか……! って、ちょっと意味が違う気がするけど。
まあいいか。
いやよくない。いくら異世界だからって、俺の常識が次元の向こうへ行ってしまうのはダメだろう。
「……何で裸で寝てるの?」
ジト目で見ると。
「服を着たままだと締め付けられるのが嫌で、よく眠れなくてね」
ウィリアムは、悪びれた様子もなく言った。
そんなんで魔物と戦ってた時は野営とか大丈夫だったのかと思ったら。むしろ服を着たままだとよく眠れないのは、それはそれで便利だったそうだ。
じゃあ、ぐっすり眠れるならいいか……などと思ってしまう俺は多分どうかしてる。
「風呂に入れてあげたかったけど、私もさすがに眠かったので、”浄化”して着替えさせただけで寝てしまった。ごめんね」
風呂に入らないでそのまま寝たのに、さっぱりしてるのはそれでか。いや、お風呂に入れてくれなくて結構です。自分で入るし。
ウィリアムはお酒飲んでたんだし、お風呂に入っちゃダメだからな?
「ちゃんと、お口の中も”浄化”しておいたからね?」
と、指先で唇をつつかれる。
何でこの男、いちいち仕草やセリフが性的というか、フェロモン全開なのだろうか。おのれ、元トップアイドルの王子様め……! 美形がそれやったら、シャレにならないだろうが!
いや、俺がいちいち反応して照れてるから、面白がってからかわれるのだろう。
平常心、平常心。
「あ、忘れてた」
起き上がってベッドから降りたウィリアムが、こっちへ戻って。
「おはよう、可愛い人」
目元に軽く。
ちゅっ、と。キスをされた。
そこは。
泣き黒子のある位置だ。
*****
朝ご飯を作るので、テラスで待っているように言って、ウィリアムの背中を追いやった。
朝は和食がいいとのリクエストなので。
ワカメと豆腐、油揚げとネギの入った味噌汁にご飯、焼き魚は紅シャケ。目玉焼きと、ちょっとした生野菜サラダ。好みで焼き海苔、梅干し、お漬物というメニューにしておいた。
俺は納豆と冷ややっこも好きだけど。イソフラボン過多になるかな、と自重した。
「ああ、こんな朝食は前世振りだ。ウィリアムにとっては初めてになるね。……うん、今まで飲んだ中で一番美味しい味噌汁だ。しみるなあ」
ウィリアムは味噌汁をすすりながら、しみじみと呟いた。
「出汁は鰹節と昆布、味噌は白と赤の合わせ味噌にしたけど、大丈夫?」
どこで育ったかによって、口に合わなかったりするからな。俺的に甘い味噌汁はちょっと……。
「ごちそうさまでした」
手を合わせて。
「片づけは私がやろう。といっても、”浄化”を使うくらいだけどね」
と、食器を手早く片付けた。
昨日あんまり動かなかったのは、部下やプレストンが見てるから、立場上、動けなかったようだ。
立場のある身分の人って、色々大変なんだな。
「……ん?」
庭の方から、何か聞こえたような。犬の鳴き声?
*****
ウッドデッキに出てみると。
池の傍に、真っ白な毛玉がいて。こっちに気づくと、コロコロ転がって来た。……いや、転がるように走ってきている。
あれだ。前に動画で見た、マラミュートの子犬。この子は真っ白だけど。
どう見てもマラミュートそっくりな、もふもふの子犬が。きゅんきゅん鳴きながらこちらへ駆け寄ってきている。敷地内に入るのを許可してないのに何で、とかもうどうでもいいくらいかわいい。
ぽて、と転びそうになってるのもかわいい。
かわいい! あざといくらい可愛すぎる!
「おいで、」
手を差し伸べたら、ぴょこんと飛び込んできた。まんまるで、ふわふわのもふもふだ。
うわあ、めちゃくちゃしっぽ振って喜んでる。可愛いし、懐っこいな。
「……狛犬様?」
グラスに入れたリンゴジュースを手に、ウィリアムが戻ってきていた。
「え? この子、知ってる犬なの?」
「この世界ではこの子犬にそっくりな像が、神の眷属として崇められている。教会の神の像の両側に……日本でいえば、神社や寺の入り口には狐や狛犬が飾られているだろう? そのような存在だ」
おお、そんな凄い存在なのか。こんなにフワモフで可愛いのに。
「っ、ちょっと待った。……来た」
ウィリアムが険しい顔をして、額を押さえた。何? 電波でも受信したの?
「神託だ。……”良さげなのを探していたが、ちょうどよく神獣の狛犬に仔が生まれたので、中でも賢いのを送った”……とのことだ。その子はここの番犬にするといい」
「ええっ⁉」
*****
プレストンほどレベルは高くないけど。ウィリアムも神託のスキル持ちなんだそうだ。
ちょっと嫌そうな顔をしてるのは、あんまり俺のことをからかうんじゃない、とお叱りを受けたかららしい。
……神様、過保護すぎじゃない?
確かに、番犬を飼いたいとは言ったけど。
まさか神様が犬まで用意してくれるとは思わなかった。それも、神獣だって?
「この子、神獣なんだよね? 俺の番犬にしちゃっていいの?」
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本当にいいのかなあ。可愛いし、嬉しいけど。
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