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転生国王は神の使いを寵愛する
リンの秘密
「あっ、またしても、食べ尽くしてしまいました……」
メイヤー師は、すっかり空っぽになった皿を見て、残念そうな声を漏らした。
もう料理が無くなったのを悲しんでいるわけではなく、リンの分を残すのを忘れたため、罪悪感を覚えているようだ。
「リンの分を残そうとか思わないのか、お前たちは」
オーソンとオズワルドを睥睨し、偉そうに言ったものの。私も、ついつい夢中になって食べてしまった一人なのだが。
「申し訳ない……」
「面目ない」
オーソンとオズワルドは肩を落とした。
今、リンが作っているのは、主食のようだ。
次こそリンがテーブルにつくのを待とう、と決め。
勝手に飲んで、と言われていた酒を飲みつつ、待つことにした。
……この瓶、とある発砲日本酒にそっくりなのだが……。さすがに名前までは入っていないが。味もそっくりに思える。
いやしかし、やたらと日本酒に詳しい外国人もいた。
まだ、リンが日本人だと決めつけるには早い。
*****
「この器は何でしょう? 銅のようですが」
タンブラーを手に、メイヤー師が悩んでいた。
「タンブラーだ。麦酒を入れて飲むと良いそうだ」
「ああ、本当ですね。泡立ちが違います」
リンは酒の知識もかなりあるようだ。ビールも多種あり、どれも美味だった。
樽に入ったウィスキーの味もしっかりしていた。
器に関しての知識も豊富なようだ。日本酒を飲むのにはうすはりグラス、ビールは銅製のタンブラー。
これらを記憶から”創造”したとすると、さすがに中身は未成年ではないだろう。
「ウィルー、」
リンが呼んでいるが。まだメインは出来ていないようだ。
「ああ、今行く」
共に腰を上げかけたオーソンとオズワルドを制し、キッチンへ向かう。
「メインが出来るまで、これ食べて待ってて。もうちょっとだから。熱いから気をつけてね」
と、大きな器を渡された。
アヒージョか。
具は、エビとマッシュルーム、プチトマトとブロッコリー。旨そうだ。
「ありがとう。どれも美味しかったよ」
声を掛けたが。
リンは料理に集中していて、聞こえていない様子である。
見たところ、メインはクリームシチューと大皿料理のようだ。
4人分の変わった大皿と、一回りサイズの小さい皿。ワンプレートディッシュか?
楽しみだ。
「もう少しかかるので、これを食べながら待っていて欲しいそうだ」
運んできたアヒージョの器を渡す。
「これ、何ですか?」
「アヒージョだ。グラティアムとナムマンプートでグンフォイなどの具を煮込む料理らしい」
リンから特に説明は無かったが。
アヒージョくらいは知っていたので、代わりに説明しておく。具材もこの世界に存在するものなので、見ればわかる。
「では、ありがたくいただきましょう……あっつ!」
早速エビに齧りついたメイヤー師は、口の中を火傷しそうになっていた。
「熱いから、気を付けるようにと言っていた」
「注意が遅いです……」
だからがっつくなというに。
*****
「ウィル、メインできたよー」
「待ってました!」
何故オズワルドが返事をする……。
また、全員で行くと。
自分の大皿と、スープ皿を持っていくように言われた。
……これは。
ハンバーグの下にナポリタン。フライドポテト。仕切りはレタス。エビフライが添えられたオムライスにはケチャップがかかっている。デザートはイチゴだ。
まるでお子様ランチの大人版のようだ。
そして。
オムライスには、ケチャップで名前が書かれていた。
日本語……ひらがなで。
これはもう、間違いないだろう。
お子様ランチのメニューといい、家のこと。様々な知識。
総合的に考えて。
リンは、日本人の転生者だ。
*****
リンは、自分用の少し小さめな皿とスープ皿を手に、こちらに来た。
「お疲れ様。大変だったろう」
リンの手から皿を受け取り、テーブルへ置き。椅子を引いてやる。
「ありがと、」
ほんのり頬を染め、礼を言われた。
ああ、この奥ゆかしさは、日本人だからだったのか。
愛らしく、料理上手。是非とも嫁に欲しい。……あと5年か。長いな。
「えー、愛らしき御使いリン様のご降臨ならびに新居完成、そして、これらの最高に美味しいお料理に、」
メイヤー師は、ビールの入ったタンブラーを掲げた。相当気に入ったようだ。
この味を知ってしまったら、普段飲んでいる、気の抜けたようなエールでは物足りなくなるだろう。
「この料理の名前は何です?」
「大人様ランチ。冷めないうちにどうぞ」
料理名を訊いたオズワルドに、リンが答えた。
やはり、お子様ランチの大人版で正解だったようだ。
すぐにでもリンを問いただしたいところだったが。せっかくの料理が冷めてしまう。
シチューは、これだけでも充分メインになるような品だった。
実際、最初はその予定だったのだろう。
前菜のなくなる速度を見、私たちがかなり食欲旺盛であるとみて、他に、メインとしてこの大人版お子様ランチを作ってくれたのだ。
この皿に乗った料理の一品一品、手を抜かず、丁寧に作られているのがわかる。
デザートも、ただの苺をそのまま出したのではなく、凍らせた苺の中をくり抜き、練乳が入っている。
味もさることながら、短時間でさっと副菜を作れる技量。手際も良かった。大人数への提供に馴れているようだ。
生前は、有名ホテルのシェフだったのだろうか?
メイヤー師は、すっかり空っぽになった皿を見て、残念そうな声を漏らした。
もう料理が無くなったのを悲しんでいるわけではなく、リンの分を残すのを忘れたため、罪悪感を覚えているようだ。
「リンの分を残そうとか思わないのか、お前たちは」
オーソンとオズワルドを睥睨し、偉そうに言ったものの。私も、ついつい夢中になって食べてしまった一人なのだが。
「申し訳ない……」
「面目ない」
オーソンとオズワルドは肩を落とした。
今、リンが作っているのは、主食のようだ。
次こそリンがテーブルにつくのを待とう、と決め。
勝手に飲んで、と言われていた酒を飲みつつ、待つことにした。
……この瓶、とある発砲日本酒にそっくりなのだが……。さすがに名前までは入っていないが。味もそっくりに思える。
いやしかし、やたらと日本酒に詳しい外国人もいた。
まだ、リンが日本人だと決めつけるには早い。
*****
「この器は何でしょう? 銅のようですが」
タンブラーを手に、メイヤー師が悩んでいた。
「タンブラーだ。麦酒を入れて飲むと良いそうだ」
「ああ、本当ですね。泡立ちが違います」
リンは酒の知識もかなりあるようだ。ビールも多種あり、どれも美味だった。
樽に入ったウィスキーの味もしっかりしていた。
器に関しての知識も豊富なようだ。日本酒を飲むのにはうすはりグラス、ビールは銅製のタンブラー。
これらを記憶から”創造”したとすると、さすがに中身は未成年ではないだろう。
「ウィルー、」
リンが呼んでいるが。まだメインは出来ていないようだ。
「ああ、今行く」
共に腰を上げかけたオーソンとオズワルドを制し、キッチンへ向かう。
「メインが出来るまで、これ食べて待ってて。もうちょっとだから。熱いから気をつけてね」
と、大きな器を渡された。
アヒージョか。
具は、エビとマッシュルーム、プチトマトとブロッコリー。旨そうだ。
「ありがとう。どれも美味しかったよ」
声を掛けたが。
リンは料理に集中していて、聞こえていない様子である。
見たところ、メインはクリームシチューと大皿料理のようだ。
4人分の変わった大皿と、一回りサイズの小さい皿。ワンプレートディッシュか?
楽しみだ。
「もう少しかかるので、これを食べながら待っていて欲しいそうだ」
運んできたアヒージョの器を渡す。
「これ、何ですか?」
「アヒージョだ。グラティアムとナムマンプートでグンフォイなどの具を煮込む料理らしい」
リンから特に説明は無かったが。
アヒージョくらいは知っていたので、代わりに説明しておく。具材もこの世界に存在するものなので、見ればわかる。
「では、ありがたくいただきましょう……あっつ!」
早速エビに齧りついたメイヤー師は、口の中を火傷しそうになっていた。
「熱いから、気を付けるようにと言っていた」
「注意が遅いです……」
だからがっつくなというに。
*****
「ウィル、メインできたよー」
「待ってました!」
何故オズワルドが返事をする……。
また、全員で行くと。
自分の大皿と、スープ皿を持っていくように言われた。
……これは。
ハンバーグの下にナポリタン。フライドポテト。仕切りはレタス。エビフライが添えられたオムライスにはケチャップがかかっている。デザートはイチゴだ。
まるでお子様ランチの大人版のようだ。
そして。
オムライスには、ケチャップで名前が書かれていた。
日本語……ひらがなで。
これはもう、間違いないだろう。
お子様ランチのメニューといい、家のこと。様々な知識。
総合的に考えて。
リンは、日本人の転生者だ。
*****
リンは、自分用の少し小さめな皿とスープ皿を手に、こちらに来た。
「お疲れ様。大変だったろう」
リンの手から皿を受け取り、テーブルへ置き。椅子を引いてやる。
「ありがと、」
ほんのり頬を染め、礼を言われた。
ああ、この奥ゆかしさは、日本人だからだったのか。
愛らしく、料理上手。是非とも嫁に欲しい。……あと5年か。長いな。
「えー、愛らしき御使いリン様のご降臨ならびに新居完成、そして、これらの最高に美味しいお料理に、」
メイヤー師は、ビールの入ったタンブラーを掲げた。相当気に入ったようだ。
この味を知ってしまったら、普段飲んでいる、気の抜けたようなエールでは物足りなくなるだろう。
「この料理の名前は何です?」
「大人様ランチ。冷めないうちにどうぞ」
料理名を訊いたオズワルドに、リンが答えた。
やはり、お子様ランチの大人版で正解だったようだ。
すぐにでもリンを問いただしたいところだったが。せっかくの料理が冷めてしまう。
シチューは、これだけでも充分メインになるような品だった。
実際、最初はその予定だったのだろう。
前菜のなくなる速度を見、私たちがかなり食欲旺盛であるとみて、他に、メインとしてこの大人版お子様ランチを作ってくれたのだ。
この皿に乗った料理の一品一品、手を抜かず、丁寧に作られているのがわかる。
デザートも、ただの苺をそのまま出したのではなく、凍らせた苺の中をくり抜き、練乳が入っている。
味もさることながら、短時間でさっと副菜を作れる技量。手際も良かった。大人数への提供に馴れているようだ。
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