3 / 65
キノコマスター、修行する。
黒衣の騎士との出会い
しおりを挟む
散々な目に遭って、途方に暮れていた俺の前に、謎のイケメンが現れた。
胞子のせいで、目がかすんでいたのに。その姿は何故か、くっきりと見えた。
金色の髪に、蒼い目。色白で、彫像みたいに整った顔立ち。黒い、騎士みたいな全身鎧を身に着けていて。黒いマントを羽織っていた。腰には剣。
イケメンは、俺を見て。驚いたように、目を見開いていた。……と思ったら、さっといなくなって。
またすぐに戻って来た。
たまたま通りかかったところで、胞子を浴びて全身胞子まみれ上、涙で顔面ぐしゃぐしゃ、キノコもぐしゃぐしゃ、という悲惨な状態だった俺を、見るに見かねたのかもしれない。
どこからかキノコを持って来て、渡してくれたのだ。
これを持っていけ、って感じで、微笑みながら頭を撫でられたので、たぶん小さい子供だと思われたのだろう。
実際、この世界では俺の身長は小学校低学年の子供並みのようだし。
そのキノコは、かなり稀少なものだったらしく。
その晩は、村人も大喜びで迎えてくれた。
*****
次の日になって。再びキノコ狩りにチャレンジしようと森へ行った。
そしたら、黒衣のイケメンが現れて。俺に、にこっと微笑みかけた。
美形の笑みは、男でもドキッとしてしまうのだと知った。危うく別の世界の扉が開くところだったぜ。今異世界にいるんだけど。
にこやかに俺に何か言ったけど。さっぱりわからなかった。
困って、首を傾げてみせたら、俺が言葉がわからないことを察してくれたようだ。
それからしばらく、イケメンは身振り手振りで、俺に歩くキノコの倒し方を教えてくれた。
後ろで見守ってくれて。
うっかりレベルの高いやつに手を出してしまって危ない時は、フォローもしてくれた。
ネトゲとかでよくある、初心者を育てるのが趣味な人か、それとも子供だと思って親切にしてくれているのか?
何でここまで親切にしてくれるのか、疑問だったが。正直、ありがたかった。
異世界で初めて、人の優しさに触れた感じだ。ぶっちゃけ理不尽な扱いされててやさぐれてたし。
でも、歩くキノコくらいなら余裕で倒せるようになった頃。
イケメンは、姿を見せなくなってしまった。
荷物は持ってなかったから、てっきり近所に住んでる人だろうと思ってたけど。
もしかしたら、旅の途中だったのかもしれない。
それを、あんまり俺が情けないから、せめて歩くキノコくらい倒せるようになるまでは留まって、面倒見てくれてたのかも。
そういえば、あの人の名前も、職業も知らないことに気づいた。
また会えると思ってたから。
全身鎧にマント、腰に剣を装備してたし。たぶん、職業は剣士か騎士だろう。
鎧なのに、音も無く移動してたから、忍者かも。なんてな。
お別れの言葉くらい、覚えておけばよかった。もし、言われてたとしても、わからなかったから。
またどこかで会えるといいけど。
それには、一人で旅立てるほど強くならなくちゃいけない。
*****
歩くキノコはもう食べ飽きた、と。
いい加減うんざりした様子の村人に言われて。
次は、レベルアップして”這い寄るキノコ”にチャレンジしてみた。
村の近くの森には、キノコくらいしか倒せる敵がいないのだ。
回復の薬草だって安いものじゃないし。凄まじく苦いし。そうそう無茶な真似はできない。
這い寄るキノコを発見して。
とりあえず、棍棒で思いっきり殴ったらオーバーキルだったようで、破裂してしまった。
力加減が難しい。
2.3個叩いている内に手加減を覚え、ほぼ無傷で狩ることができた。
売る場合は、傷が少ないほうが高く売れるからな。
這い寄るキノコはわりと美味しいらしく、しばらくの間は好評だった。
そうして、様々なキノコ狩りをしつつ。
レベルをじわじわ上げていって。
ついに今日。
全てのキノコを倒し、キノコマスターになった訳だ。やったぜ。
旅の魔法使いは、レベルアップしたらファンファーレでわかるようにしてくれたようなんだけど。
ついでに言葉もわかるようにしてほしかったな……。
キノコマスターになってわかったことがあった。
黒衣のイケメンと初めて会った時、ひょいと気軽に寄越してくれたあのキノコ。
小さいのに物凄く素早くて強い、高レベルの稀少キノコ、”チャンピニョン”だったんだ。
あのイケメン、相当強い剣士か騎士だったんだな。
さっと行ってあれを狩って、さっと戻って来たんだから。
腰の剣も高級そうで、切れ味も良さそうだったっけ。
あれくらいの装備があれば、俺ももうちょっとはなあ、と、無いものねだりをしてもしょうがないので。
日々地道にキノコを狩るのだった。
*****
キノコを倒しまくり。
村に入れる生活費から余った金で、剣を買った。
それと、急所を覆うプレートアーマー。薬草も少々。
安物だが、剣の切れ味はそこそこだ。
これからは、剣の練習もしなくちゃ。
せめて剣道部とかならまだ良かったんだろうが。俺、背が高いからって勧誘されたバレーボール部では顔面ブロッカーだったし。頭もよくないし。
その辺に転がってるような、いたって普通の男子高校生だっていうのに。
何でこんな俺が勇者なんかに選ばれたんだ? って未だに疑問だ。
人選ミスじゃね?
早く、元の世界に帰りたいよ。
胞子のせいで、目がかすんでいたのに。その姿は何故か、くっきりと見えた。
金色の髪に、蒼い目。色白で、彫像みたいに整った顔立ち。黒い、騎士みたいな全身鎧を身に着けていて。黒いマントを羽織っていた。腰には剣。
イケメンは、俺を見て。驚いたように、目を見開いていた。……と思ったら、さっといなくなって。
またすぐに戻って来た。
たまたま通りかかったところで、胞子を浴びて全身胞子まみれ上、涙で顔面ぐしゃぐしゃ、キノコもぐしゃぐしゃ、という悲惨な状態だった俺を、見るに見かねたのかもしれない。
どこからかキノコを持って来て、渡してくれたのだ。
これを持っていけ、って感じで、微笑みながら頭を撫でられたので、たぶん小さい子供だと思われたのだろう。
実際、この世界では俺の身長は小学校低学年の子供並みのようだし。
そのキノコは、かなり稀少なものだったらしく。
その晩は、村人も大喜びで迎えてくれた。
*****
次の日になって。再びキノコ狩りにチャレンジしようと森へ行った。
そしたら、黒衣のイケメンが現れて。俺に、にこっと微笑みかけた。
美形の笑みは、男でもドキッとしてしまうのだと知った。危うく別の世界の扉が開くところだったぜ。今異世界にいるんだけど。
にこやかに俺に何か言ったけど。さっぱりわからなかった。
困って、首を傾げてみせたら、俺が言葉がわからないことを察してくれたようだ。
それからしばらく、イケメンは身振り手振りで、俺に歩くキノコの倒し方を教えてくれた。
後ろで見守ってくれて。
うっかりレベルの高いやつに手を出してしまって危ない時は、フォローもしてくれた。
ネトゲとかでよくある、初心者を育てるのが趣味な人か、それとも子供だと思って親切にしてくれているのか?
何でここまで親切にしてくれるのか、疑問だったが。正直、ありがたかった。
異世界で初めて、人の優しさに触れた感じだ。ぶっちゃけ理不尽な扱いされててやさぐれてたし。
でも、歩くキノコくらいなら余裕で倒せるようになった頃。
イケメンは、姿を見せなくなってしまった。
荷物は持ってなかったから、てっきり近所に住んでる人だろうと思ってたけど。
もしかしたら、旅の途中だったのかもしれない。
それを、あんまり俺が情けないから、せめて歩くキノコくらい倒せるようになるまでは留まって、面倒見てくれてたのかも。
そういえば、あの人の名前も、職業も知らないことに気づいた。
また会えると思ってたから。
全身鎧にマント、腰に剣を装備してたし。たぶん、職業は剣士か騎士だろう。
鎧なのに、音も無く移動してたから、忍者かも。なんてな。
お別れの言葉くらい、覚えておけばよかった。もし、言われてたとしても、わからなかったから。
またどこかで会えるといいけど。
それには、一人で旅立てるほど強くならなくちゃいけない。
*****
歩くキノコはもう食べ飽きた、と。
いい加減うんざりした様子の村人に言われて。
次は、レベルアップして”這い寄るキノコ”にチャレンジしてみた。
村の近くの森には、キノコくらいしか倒せる敵がいないのだ。
回復の薬草だって安いものじゃないし。凄まじく苦いし。そうそう無茶な真似はできない。
這い寄るキノコを発見して。
とりあえず、棍棒で思いっきり殴ったらオーバーキルだったようで、破裂してしまった。
力加減が難しい。
2.3個叩いている内に手加減を覚え、ほぼ無傷で狩ることができた。
売る場合は、傷が少ないほうが高く売れるからな。
這い寄るキノコはわりと美味しいらしく、しばらくの間は好評だった。
そうして、様々なキノコ狩りをしつつ。
レベルをじわじわ上げていって。
ついに今日。
全てのキノコを倒し、キノコマスターになった訳だ。やったぜ。
旅の魔法使いは、レベルアップしたらファンファーレでわかるようにしてくれたようなんだけど。
ついでに言葉もわかるようにしてほしかったな……。
キノコマスターになってわかったことがあった。
黒衣のイケメンと初めて会った時、ひょいと気軽に寄越してくれたあのキノコ。
小さいのに物凄く素早くて強い、高レベルの稀少キノコ、”チャンピニョン”だったんだ。
あのイケメン、相当強い剣士か騎士だったんだな。
さっと行ってあれを狩って、さっと戻って来たんだから。
腰の剣も高級そうで、切れ味も良さそうだったっけ。
あれくらいの装備があれば、俺ももうちょっとはなあ、と、無いものねだりをしてもしょうがないので。
日々地道にキノコを狩るのだった。
*****
キノコを倒しまくり。
村に入れる生活費から余った金で、剣を買った。
それと、急所を覆うプレートアーマー。薬草も少々。
安物だが、剣の切れ味はそこそこだ。
これからは、剣の練習もしなくちゃ。
せめて剣道部とかならまだ良かったんだろうが。俺、背が高いからって勧誘されたバレーボール部では顔面ブロッカーだったし。頭もよくないし。
その辺に転がってるような、いたって普通の男子高校生だっていうのに。
何でこんな俺が勇者なんかに選ばれたんだ? って未だに疑問だ。
人選ミスじゃね?
早く、元の世界に帰りたいよ。
45
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
公爵子息だったけど勘違いが恥ずかしいので逃走します
市之川めい
BL
魔王を倒した英雄によって建国されたグレンロシェ王国。その後は現在までに二人、王家の血を引く者から英雄が現れている。
四大公爵家嫡男、容姿端麗、成績優秀と全てにおいて恵まれているジルベールは、いつか自分も英雄になると思い、周りには貴公子然とした態度で接しながらも裏では使用人の息子、レオンに対して傲慢に振る舞い性的な関係まで強要していた。
だが、魔王の襲来時に平民であるはずのレオンが英雄になった。
自分とレオンの出生の秘密を知ったジルベールは恥ずかしくなって逃走することにしたが、レオンが迎えに来て……。
※性描写あり。他サイトにも掲載しています。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
救世の神子として異世界に召喚されたと思ったら呪い解除の回復アイテムだった上にイケメン竜騎士のツガイにされてしまいました。
篠崎笙
BL
剣崎勝利の家は古武道で名を馳せていた。ある日突然異世界に召喚される。勇者としてではなく、竜騎士たちの呪いを解く道具として。竜騎士ゲオルギオスは、勝利をツガイにして、その体液で呪いを解いた。勝利と竜騎士たちは悪神討伐の旅へ向かったが……。
BLゲームのモブに転生したので壁になろうと思います
雪
BL
前世の記憶を持ったまま異世界に転生!
しかも転生先が前世で死ぬ直前に買ったBLゲームの世界で....!?
モブだったので安心して壁になろうとしたのだが....?
ゆっくり更新です。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
【完結】召喚された勇者は贄として、魔王に美味しく頂かれました
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
BL
美しき異形の魔王×勇者の名目で召喚された生贄、執着激しいヤンデレの愛の行方は?
最初から贄として召喚するなんて、ひどいんじゃないか?
人生に何の不満もなく生きてきた俺は、突然異世界に召喚された。
よくある話なのか? 正直帰りたい。勇者として呼ばれたのに、碌な装備もないまま魔王を鎮める贄として差し出され、美味しく頂かれてしまった。美しい異形の魔王はなぜか俺に執着し、閉じ込めて溺愛し始める。ひたすら優しい魔王に、徐々に俺も絆されていく。もういっか、帰れなくても……。
ハッピーエンド確定
※は性的描写あり
【完結】2021/10/31
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、エブリスタ
2021/10/03 エブリスタ、BLカテゴリー 1位
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる