巨人の国に勇者として召喚されたけどメチャクチャ弱いのでキノコ狩りからはじめました。

篠崎笙

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キノコマスター、求婚される。

先生は世界一

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「私が最も得意とするのは、変身魔法だ」
と言うなり。

バルの姿が、陽炎みたいに揺らいだ、と思ったら。
……黒いドラゴンに変身した!


「うわ、すごい! かっこいい!」

5メートル以上はありそうな天井に頭がつきそうなくらい、大きなドラゴン。
お寺とかの天井画にある長細い龍じゃなくて、西洋のドラゴンだ。目はバルの蒼。鋭い爪に、太いしっぽ。黒いウロコがカッコイイ。

ああ、黒い鎧を、ウロコに変えてるんだ。
触ってみたら、ガチガチに固い。細胞の組成から、完全にドラゴンになってるよ。

魔術師なのに、騎士みたいな鎧を着けてるのは、これに使うって理由もあったのかも。


剣の腕も一流だけど。
相当高レベルの魔法だとわかる。

さすが世界一!


*****


「大きさも自在に変えられるぞ。室内なので小型にしたが」
あ、得意げな顔してる。

ドラゴンなのに、表情ってわかるもんなんだ。っていうか、ドラゴンんいなってもイケメンだなあ。


コウモリみたいな翼は生えてるけど。これはバランスを取るためのもので、この翼では飛べないみたいだ。
鳥になって、自分で翼を動かして飛ぶ感覚も面白かったな。俺も羽ばたくっていうか、方向を変えるだけだったけど。

でもあれ、魂を飛ばす、危険な魔法だっていうし。
すごく疲れた……。

まずは、MPの最大値を増やさないとだ。


「そういえば、国境の防壁、すごい魔法だよね。あれ、どうやって維持させてるの?」
俺じゃ、小さい壁でも魔力が尽きそう。

バルは、これは機密事項だぞ? と言って。
「光合成のようなものだな。壁面が日光に当たることで魔力に変換させ、防護壁を維持している」

おお……。
太陽光発電か。エコだね……。

じゃあ、長い間曇りだと破れちゃいそうだな、と思ったら。
魔力は蓄積するし、日光は雲くらい貫通して届くから大丈夫だそうだ。

それで千年近く保ってるって、すごい。


「……陛下、何をされてるんです? 改めて求婚しに行ったのでは?」

様子を見に来たエリアスが。
呆れたように、ドラゴンになってるバルを見上げた。


*****


「それはそれは、おめでとうございます。お互いに誤解のあったままでは、式を挙げられませんので。安心しました」

やり直し求婚成功、と聞くと。
エリアスは、微笑みを浮かべて。恭しく礼をした。


エリアスは、端から見ていても俺達が両想いなことは確信してたので、結婚が中止になることはないだろう、と考えていたけど。
まさか俺がバルから求婚されていたことに、全く気付いてなかったとは思わなかったそうだ。

わけのわからないまま結婚式、にならなくて良かった。
あれをプロポーズだと知ってたとしても、結局は受け取っちゃうような気もするけど。


俺も、ひと目で惹かれてたんだと思う。

俺が困ってた時に、どこからともなく現れて。助けてくれた。見たことがないくらい綺麗な顔をした、黒衣の騎士。
実際は千年以上生きている世界一の魔術師だったっていう、歩くびっくり箱みたいなバルに。


……乙女かよ! って突っ込みたくなるけど。
好きになっちゃったもんは仕方ない。


*****


「異世界で、常識が違うことを忘れそうになるけど。俺がおかしなことしたら、バルもエリアスも遠慮なく指摘してよ。俺も、疑問に思ったらなるべく聞くようにする」

俺がおかしなことをしでかしたら、恥をかくのはパートナーであるバルだ。
バルは一国の国王でもあるんだし、責任重大だ。

軽はずみな行動をしないように気をつけないと。

「ああ、お互いの幸せのためにそうしよう」
「了解いたしました」

バルは頷いて、エリアスは礼をした。


もうすぐ、本物の魔王が来るのか。
これからも魔法や剣の修行をして、地道にレベルアップを目指すのは変わらないけど。

好きになったのが、バルで良かった。
何があってもバルと一緒なら大丈夫だ、って安心感があるもんな。

元の世界だと、背が大きいからって頼られることも多かったけど。
無理してたのかもしれない。


……あれ?
魔王のこと、エリアスには言わないのかな? 混乱を避けるため、まだ内密にするとか?

まあいいや、後で聞こう。


*****


夕食の後は、実践じゃなく魔術理論の勉強だった。

俺は理論的思考じゃなく、感覚派なんだと思い知った。
色々考えるのは苦手だとは知ってたけど。

今まで何となくイメージでやってた、と言ったら驚かれた。


通常、魔方陣に魔力を流すことで、魔法が発動するらしい。
慣れないうちは地面や紙に陣を書いて、呪文を詠唱して、陣に魔力を流す、という方法で魔法を発動させるんだけど。

バルは脳内で一連の動作を終了させるから、詠唱もしないで魔法が使えるんだそうだ。
バルってば、頭もいいんだなあ。

あんな複雑な図形を全部頭に叩き込んでるとか、凄すぎる。
さすが、世界一の魔術師だ。憧れてしまう。


ヤバイ。
知れば知るほど、どんどんバルのことを好きになっていってしまう。

これで、ラブ度がMAXになってしまったら。いったい俺は、どうなってしまうんだろう?
今は、想像もつかないけど。

きっと。悪いことではなさそうだ。
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