28 / 65
キノコマスター、結婚する。
おあずけ
しおりを挟む
「完全無欠と思われた陛下も、一人の男だった、というわけですなあ」
アダンは腹を揺らして笑った。
「しかし、少々安心しました。陛下をそこまでさせるような方が現れるとは」
よく見れば、アダンの目の色は、バルと同じだ。
痩せれば意外とイケメンかもしれない。
バルの家族の誰かが血筋を残して、今もバルのことを支えているんだな、としみじみと思った。
「確かに。浮いた噂もなく、今まで国のことを一番に考えてやってきたのですから。初めての恋に舞い上がって、少々血迷ってしまっても仕方ないことなのかもしれませんね」
エリアスも苦笑してる。
え、初めて!?
こんなモテそうな美形が!?
驚いてバルを見ると。
耳まで真っ赤になってる。
「……悪いか?」
拗ねたように言われて。思わず、首をぶんぶん横に振った。
全然、悪くないです。
むしろ、光栄です。だって。
「俺も、そうだし……」
「優輝もか。……嬉しいよ」
バルは、蕩けそうに微笑んだ。
「まさか、うぶな少年のように赤面する陛下を拝めるとは。明日は雹でも降りそうですなあ、ははは」
「……明日は快晴に決まっているだろう。私と優輝の結婚式なのだからな」
アダンにからかわれたバルは、拗ねたようにコップの酒を飲み干した。
そうだね。
晴れるといいな。
バルなら、豪雨でも力技で晴れさせそうだけど。
*****
でも、やっぱり寝室は同じなんだ……。
今更別々の部屋に寝るのも寂しいからいいけどさ。
「君のすべてを我が物にしたかったが。しばらくはお預けのようだ」
ベッドに横になったバルは、残念そうに言って。
ちゅっ、と額にキスをされた。
それがくすぐったくて、笑ってしまう。
「……しばらくは、ここで我慢だね?」
太ももを指差す。
「君は、それでいいのか?」
「うん、俺も、気持ちよかったし……。でも、明日は早いし、今日はもう寝よう?」
「……そうだな、おやすみ」
そんなあからさまに残念そうな顔をして。
可愛いな、と思ってしまう。
でも、無理にしてこないあたり、愛されてるなあと感じる。
大好きなバルに、あんまり我慢を強いるのは申し訳ないし。
俺も、怖いけど。
受け入れたいと思ってる。
頑張って、レベルを上げて。魔王を封じるから。
それまで、待っててくれよな?
*****
「優輝様、よくお似合いですよ」
教会の一室。”花嫁の控え室”で。
エリアスが襟を直しながら、言ってくれた。
エリアスが着るのを手伝ってくれた、王族用の結婚式の正装は、軍服みたいな感じの上下白い衣装だ。マントは短めで、腰のあたりまで。凝った模様の入った、膝まである革のブーツ。
金色の飾り紐とか、ボタンの作りも凝っていて、やたらかっこいいデザインだった。
長剣は持たないけど、何故か懐剣を持たされた。
もしも結婚前に花婿が無体な真似をしてきたらこれで喉を掻き切れ、というシロモノらしい。
何そのこわい決まり。異世界ルール意味わかんねえ。
とりあえず。
このかっこいい服の効果で、俺も少しはかっこよく見えるかも? ……なんてな。
一世一代の晴れ姿ってやつだ。
両親や祖母ちゃんにも見せたかったけど。
異世界の王様と結婚する、なんて聞いたら、みんな腰抜かすだろうな。
しかも、相手が現実離れした絶世の美男ときた。
ミラクルすぎる。
”花嫁”って名称だから、まさか女装でもさせられるんじゃないかと内心ヒヤヒヤしてたけど。さすがにこの俺にそんな妙な格好をさせるようなチャレンジャーではなかったようで、ホッとした。
似合わなすぎて、笑いは取れるだろうけど。バルに恥をかかせたくないしな。
*****
「準備はできたかな?」
同じく王族の正装を身に着けたバルが、黒いマントをはためかせながら入ってきた。
こっちのマントは、足首までありそうなくらい長い。
うわあ。
滅茶苦茶格好良すぎる……!
バルは頭が小さくて頭身の高いモデル体型だから何を着ても似合うし、決まってる。
ただでさえ見惚れちゃうほどイケメンだってのに。
花婿姿がまた、ものすごく格好良くて。思わず、ぽかんと口を上げて見惚れてしまう。
この衣装、俺は白で、バルが黒の、色違いなんだよな……。
同じデザインだと、足の長さとか、スタイルの格差が残酷に表れすぎない? 比較対象にすらならないけど。
「優輝、君の素直な心を表すような純白の衣装がとても良く似合っているよ。その姿を永遠に、この目に焼き付けてしまいたいほどだ」
蕩けるような微笑みでそんなことを言われて、照れてしまう。
「私の花嫁は世界一だと自慢して回りたいのに、腕の中に隠してしまいたくもある……。どうやら君に関してだけは、私はかなり心が狭くなっているようだ」
どんな分厚いフィルターがかかってるのか。
相変わらず、バルの俺を見る目はどうかしてると思うよ!
……エリアス。笑いたかったら、笑ってもいいんだよ?
小刻みに震えながら自分の手を思いっきりつねって笑いを堪えるのはやめて欲しい。
痛そうだし。
「で、では、お先に教会に行ってますので、」
と、エリアスはかなり早足で、控え室から出て行った。
アダンは腹を揺らして笑った。
「しかし、少々安心しました。陛下をそこまでさせるような方が現れるとは」
よく見れば、アダンの目の色は、バルと同じだ。
痩せれば意外とイケメンかもしれない。
バルの家族の誰かが血筋を残して、今もバルのことを支えているんだな、としみじみと思った。
「確かに。浮いた噂もなく、今まで国のことを一番に考えてやってきたのですから。初めての恋に舞い上がって、少々血迷ってしまっても仕方ないことなのかもしれませんね」
エリアスも苦笑してる。
え、初めて!?
こんなモテそうな美形が!?
驚いてバルを見ると。
耳まで真っ赤になってる。
「……悪いか?」
拗ねたように言われて。思わず、首をぶんぶん横に振った。
全然、悪くないです。
むしろ、光栄です。だって。
「俺も、そうだし……」
「優輝もか。……嬉しいよ」
バルは、蕩けそうに微笑んだ。
「まさか、うぶな少年のように赤面する陛下を拝めるとは。明日は雹でも降りそうですなあ、ははは」
「……明日は快晴に決まっているだろう。私と優輝の結婚式なのだからな」
アダンにからかわれたバルは、拗ねたようにコップの酒を飲み干した。
そうだね。
晴れるといいな。
バルなら、豪雨でも力技で晴れさせそうだけど。
*****
でも、やっぱり寝室は同じなんだ……。
今更別々の部屋に寝るのも寂しいからいいけどさ。
「君のすべてを我が物にしたかったが。しばらくはお預けのようだ」
ベッドに横になったバルは、残念そうに言って。
ちゅっ、と額にキスをされた。
それがくすぐったくて、笑ってしまう。
「……しばらくは、ここで我慢だね?」
太ももを指差す。
「君は、それでいいのか?」
「うん、俺も、気持ちよかったし……。でも、明日は早いし、今日はもう寝よう?」
「……そうだな、おやすみ」
そんなあからさまに残念そうな顔をして。
可愛いな、と思ってしまう。
でも、無理にしてこないあたり、愛されてるなあと感じる。
大好きなバルに、あんまり我慢を強いるのは申し訳ないし。
俺も、怖いけど。
受け入れたいと思ってる。
頑張って、レベルを上げて。魔王を封じるから。
それまで、待っててくれよな?
*****
「優輝様、よくお似合いですよ」
教会の一室。”花嫁の控え室”で。
エリアスが襟を直しながら、言ってくれた。
エリアスが着るのを手伝ってくれた、王族用の結婚式の正装は、軍服みたいな感じの上下白い衣装だ。マントは短めで、腰のあたりまで。凝った模様の入った、膝まである革のブーツ。
金色の飾り紐とか、ボタンの作りも凝っていて、やたらかっこいいデザインだった。
長剣は持たないけど、何故か懐剣を持たされた。
もしも結婚前に花婿が無体な真似をしてきたらこれで喉を掻き切れ、というシロモノらしい。
何そのこわい決まり。異世界ルール意味わかんねえ。
とりあえず。
このかっこいい服の効果で、俺も少しはかっこよく見えるかも? ……なんてな。
一世一代の晴れ姿ってやつだ。
両親や祖母ちゃんにも見せたかったけど。
異世界の王様と結婚する、なんて聞いたら、みんな腰抜かすだろうな。
しかも、相手が現実離れした絶世の美男ときた。
ミラクルすぎる。
”花嫁”って名称だから、まさか女装でもさせられるんじゃないかと内心ヒヤヒヤしてたけど。さすがにこの俺にそんな妙な格好をさせるようなチャレンジャーではなかったようで、ホッとした。
似合わなすぎて、笑いは取れるだろうけど。バルに恥をかかせたくないしな。
*****
「準備はできたかな?」
同じく王族の正装を身に着けたバルが、黒いマントをはためかせながら入ってきた。
こっちのマントは、足首までありそうなくらい長い。
うわあ。
滅茶苦茶格好良すぎる……!
バルは頭が小さくて頭身の高いモデル体型だから何を着ても似合うし、決まってる。
ただでさえ見惚れちゃうほどイケメンだってのに。
花婿姿がまた、ものすごく格好良くて。思わず、ぽかんと口を上げて見惚れてしまう。
この衣装、俺は白で、バルが黒の、色違いなんだよな……。
同じデザインだと、足の長さとか、スタイルの格差が残酷に表れすぎない? 比較対象にすらならないけど。
「優輝、君の素直な心を表すような純白の衣装がとても良く似合っているよ。その姿を永遠に、この目に焼き付けてしまいたいほどだ」
蕩けるような微笑みでそんなことを言われて、照れてしまう。
「私の花嫁は世界一だと自慢して回りたいのに、腕の中に隠してしまいたくもある……。どうやら君に関してだけは、私はかなり心が狭くなっているようだ」
どんな分厚いフィルターがかかってるのか。
相変わらず、バルの俺を見る目はどうかしてると思うよ!
……エリアス。笑いたかったら、笑ってもいいんだよ?
小刻みに震えながら自分の手を思いっきりつねって笑いを堪えるのはやめて欲しい。
痛そうだし。
「で、では、お先に教会に行ってますので、」
と、エリアスはかなり早足で、控え室から出て行った。
33
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
公爵子息だったけど勘違いが恥ずかしいので逃走します
市之川めい
BL
魔王を倒した英雄によって建国されたグレンロシェ王国。その後は現在までに二人、王家の血を引く者から英雄が現れている。
四大公爵家嫡男、容姿端麗、成績優秀と全てにおいて恵まれているジルベールは、いつか自分も英雄になると思い、周りには貴公子然とした態度で接しながらも裏では使用人の息子、レオンに対して傲慢に振る舞い性的な関係まで強要していた。
だが、魔王の襲来時に平民であるはずのレオンが英雄になった。
自分とレオンの出生の秘密を知ったジルベールは恥ずかしくなって逃走することにしたが、レオンが迎えに来て……。
※性描写あり。他サイトにも掲載しています。
【完結】召喚された勇者は贄として、魔王に美味しく頂かれました
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
BL
美しき異形の魔王×勇者の名目で召喚された生贄、執着激しいヤンデレの愛の行方は?
最初から贄として召喚するなんて、ひどいんじゃないか?
人生に何の不満もなく生きてきた俺は、突然異世界に召喚された。
よくある話なのか? 正直帰りたい。勇者として呼ばれたのに、碌な装備もないまま魔王を鎮める贄として差し出され、美味しく頂かれてしまった。美しい異形の魔王はなぜか俺に執着し、閉じ込めて溺愛し始める。ひたすら優しい魔王に、徐々に俺も絆されていく。もういっか、帰れなくても……。
ハッピーエンド確定
※は性的描写あり
【完結】2021/10/31
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、エブリスタ
2021/10/03 エブリスタ、BLカテゴリー 1位
限界オタクだった俺が異世界に転生して王様になったら、何故か聖剣を抜いて勇者にクラスチェンジした元近衛騎士に娶られました。
篠崎笙
BL
限界ヲタクだった来栖翔太はトラックに撥ねられ、肌色の本を撒き散らして無惨に死んだ。だが、異世界で美少年のクリスティアン王子として転生する。ヲタクな自分を捨て、立派な王様になるべく努力した王子だったが。近衛騎士のアルベルトが勇者にクラスチェンジし、竜を退治した褒美として結婚するように脅され……。
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
ゲーム世界の貴族A(=俺)
猫宮乾
BL
妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる