巨人の国に勇者として召喚されたけどメチャクチャ弱いのでキノコ狩りからはじめました。

篠崎笙

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キノコマスター、結婚する。

おあずけ

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「完全無欠と思われた陛下も、一人の男だった、というわけですなあ」
アダンは腹を揺らして笑った。

「しかし、少々安心しました。陛下をそこまでさせるような方が現れるとは」


よく見れば、アダンの目の色は、バルと同じだ。
痩せれば意外とイケメンかもしれない。

バルの家族の誰かが血筋を残して、今もバルのことを支えているんだな、としみじみと思った。

「確かに。浮いた噂もなく、今まで国のことを一番に考えてやってきたのですから。初めての恋に舞い上がって、少々血迷ってしまっても仕方ないことなのかもしれませんね」
エリアスも苦笑してる。


え、初めて!?
こんなモテそうな美形が!?

驚いてバルを見ると。
耳まで真っ赤になってる。

「……悪いか?」
拗ねたように言われて。思わず、首をぶんぶん横に振った。

全然、悪くないです。
むしろ、光栄です。だって。

「俺も、そうだし……」

「優輝もか。……嬉しいよ」
バルは、蕩けそうに微笑んだ。


「まさか、うぶな少年のように赤面する陛下を拝めるとは。明日は雹でも降りそうですなあ、ははは」

「……明日は快晴に決まっているだろう。私と優輝の結婚式なのだからな」
アダンにからかわれたバルは、拗ねたようにコップの酒を飲み干した。


そうだね。
晴れるといいな。

バルなら、豪雨でも力技で晴れさせそうだけど。


*****


でも、やっぱり寝室は同じなんだ……。
今更別々の部屋に寝るのも寂しいからいいけどさ。


「君のすべてを我が物にしたかったが。しばらくはお預けのようだ」
ベッドに横になったバルは、残念そうに言って。

ちゅっ、と額にキスをされた。
それがくすぐったくて、笑ってしまう。

「……しばらくは、で我慢だね?」
太ももを指差す。

「君は、それでいいのか?」
「うん、俺も、気持ちよかったし……。でも、明日は早いし、今日はもう寝よう?」

「……そうだな、おやすみ」
そんなあからさまに残念そうな顔をして。

可愛いな、と思ってしまう。
でも、無理にしてこないあたり、愛されてるなあと感じる。

大好きなバルに、あんまり我慢を強いるのは申し訳ないし。
俺も、怖いけど。

受け入れたいと思ってる。


頑張って、レベルを上げて。魔王を封じるから。
それまで、待っててくれよな?


*****


「優輝様、よくお似合いですよ」


教会の一室。”花嫁の控え室”で。
エリアスが襟を直しながら、言ってくれた。

エリアスが着るのを手伝ってくれた、王族用の結婚式の正装は、軍服みたいな感じの上下白い衣装だ。マントは短めで、腰のあたりまで。凝った模様の入った、膝まである革のブーツ。
金色の飾り紐とか、ボタンの作りも凝っていて、やたらかっこいいデザインだった。

長剣は持たないけど、何故か懐剣を持たされた。
もしも結婚前に花婿が無体な真似をしてきたらこれで喉を掻き切れ、というシロモノらしい。
何そのこわい決まり。異世界ルール意味わかんねえ。


とりあえず。
このかっこいい服の効果で、俺も少しはかっこよく見えるかも? ……なんてな。

一世一代の晴れ姿ってやつだ。
両親や祖母ちゃんにも見せたかったけど。

異世界の王様と結婚する、なんて聞いたら、みんな腰抜かすだろうな。
しかも、相手が現実離れした絶世の美男ときた。
ミラクルすぎる。


”花嫁”って名称だから、まさか女装でもさせられるんじゃないかと内心ヒヤヒヤしてたけど。さすがにこの俺にそんな妙な格好をさせるようなチャレンジャーではなかったようで、ホッとした。
似合わなすぎて、笑いは取れるだろうけど。バルに恥をかかせたくないしな。


*****


「準備はできたかな?」

同じく王族の正装を身に着けたバルが、黒いマントをはためかせながら入ってきた。
こっちのマントは、足首までありそうなくらい長い。

うわあ。
滅茶苦茶格好良すぎる……!


バルは頭が小さくて頭身の高いモデル体型だから何を着ても似合うし、決まってる。
ただでさえ見惚れちゃうほどイケメンだってのに。

花婿姿がまた、ものすごく格好良くて。思わず、ぽかんと口を上げて見惚れてしまう。

この衣装、俺は白で、バルが黒の、色違いなんだよな……。
同じデザインだと、足の長さとか、スタイルの格差が残酷に表れすぎない? 比較対象にすらならないけど。


「優輝、君の素直な心を表すような純白の衣装がとても良く似合っているよ。その姿を永遠に、この目に焼き付けてしまいたいほどだ」
蕩けるような微笑みでそんなことを言われて、照れてしまう。

「私の花嫁は世界一だと自慢して回りたいのに、腕の中に隠してしまいたくもある……。どうやら君に関してだけは、私はかなり心が狭くなっているようだ」

どんな分厚いフィルターがかかってるのか。
相変わらず、バルの俺を見る目はどうかしてると思うよ!


……エリアス。笑いたかったら、笑ってもいいんだよ?

小刻みに震えながら自分の手を思いっきりつねって笑いを堪えるのはやめて欲しい。
痛そうだし。


「で、では、お先に教会に行ってますので、」
と、エリアスはかなり早足で、控え室から出て行った。
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