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キノコマスター、再び修行する。
キノコの達人と黒砂糖
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「そんなところで寝てないで、起きなさい」
草原に大の字になって、じたばたしていたのを引き起こされる。
「魔法で防御するのは、ずるいと思うんだ……」
あ、っと思った次の瞬間には、もう地面に転がされてしまっていた。
草原だったから、そんなに痛くはなかったけど。
「戦いに、ずるいも卑怯もない。私は魔導騎士なのでね。魔法を使って戦うのが基本なんだ。君もそうしたまえ」
そんなことを言いながら。バルの視線が泳いでる。
「嘘だー。防御魔法展開したとき、しまった、って顔してたもん」
「それが身に染みてついてしまっているからな。……この私が、剣で剣を受けるのではなく、咄嗟に防御魔法を出させたのだからな。誇って良いぞ?」
頭を撫でられた。
まあいいか。バルに褒められたし。
*****
「……あ、タリョドゥルセだ」
足元に生えていた、見覚えのある草に気付いた。
「ん? タリョドゥルセがどうした?」
「これ、絞ると甘い汁が出るんだろ? 砂糖として栽培したらいいんじゃないかな、って思って」
節のある草を指差す。
「異国ではそうする者もいると聞くが。甘味なら、蜂蜜や樹糖で足りているぞ?」
蜂蜜とかメイプルシロップは高級品だ。貴族には当たり前でも、庶民には滅多に手の届かないような価格らしいし。
一般家庭でも気軽に甘いものが食べられるようになったらいいと思う。
「えーと、うちじゃなくて。スデステ村とか……、庶民でも普通に甘いものが食べられるよううにしたいなって」
と言うと。
バルは、タリョドゥルセを数本引っこ抜いた。
「成程。……しかし、その前に砂糖として、使用に耐えられるか、試してみてはどうかな?」
ああ。
実際栽培してみて、美味しくなかったりしたら困るもんな。
さすがバル。頭いい。
砂糖を抽出するには。海水から塩とか、ジャガイモからデンプンを取り出す方法と同じでいいんだよな?
前に、理科の実験でやったから知ってる。
*****
城のキッチンを借りて。
タリョドゥルセの絞り汁を煮詰めて凝縮させると。黒糖っぽいのが出来た。
ここから不純物を除けば上白糖になるんだっけ?
よくわかんないからこのままでいいか。確か、こっちの方がミネラルが多いとか何とか。
「あ、味もちゃんと黒糖だ。……ほら、甘いよ?」
スプーンですくって、バルに食べさせた。
「おお、砂糖というものは、このようにして作るものであったか。千年生きて、初めて知ったぞ……!」
初めての経験に感動してるようだ。
まあ、一国の王様が砂糖の作り方とか知る機会ってそうそう無い気がする。
この分じゃ、ジャガイモからデンプン抽出しても驚きそうだ。
小麦粉はあるようだけど。
デンプンの使い道がよくわかんない。片栗粉だっけ? 何に使うんだっけ。からあげとか?
こんな知識をどこで得たのかと聞かれたので、学校だというと。
異世界の学校は素晴らしいと言われた。
習ったこと、ほとんど覚えてないけどな……。
でも、理科の実験は面白かったから、わりと覚えてる方だ。
うちはアホ揃いなので、実技や実験を多くしないと出席率が下がるのだ。
実際、人気だったなあ。
炎色反応とか。
水素を爆発させたりしたのも面白かった。
その仕組みは良くわかんないけど。
ダメダメじゃん!
ヒゲが立派な料理長も、黒糖作りを興味津々な様子で見ていて。
「私も味見させていただいてよろしいでしょうか? 見た事のない調味料ですね?」
どうぞ、と言ったら。マイスプーンで味見をして。
ヒゲを満足そうに揺らした。
「これは素晴らしい! まさかここの庭に、このようなお宝が眠っていたとは!」
料理長も絶賛だ。
料理人としての感想は、雑味があるけど、コクがあって美味いらしい。
タリョドゥルセは竹みたいに地下茎で増える植物で。
今までは厄介な雑草扱いだったそうだ。
竹レベルで増えるなら、村や町ごとで栽培すれば、庶民の口にも入りやすくなりそうだ。
気をつけないと増えるのはこわいけど。
まずはテストモデルとして、タリョドゥルセの栽培はスデステ村に頼むことになった。
*****
「君は、本当に不思議だ。何も知らないのかと思えば、思いも寄らぬ智慧を我々に授けてくれる。全く底が知れない」
バルはしみじみと感心してる。
あまり異世界の知識に期待されても困る。
バラエティ番組は好きで良く見てたから、つまんないことは覚えてたりするけど。
授業中居眠りばっかりしてないで、もっと真面目に勉強しておけばよかったなあ、と今更ながらに後悔する。
「いや、俺、ほんとに普通の高校生だからね? たまたま、ここに無いものを知ってただけで。たまたまだから!」
慌てて否定していたら。
「普通……なのですか。こちらでは、学校に通えるのは主に貴族階級ですよ?」
エリアスに不思議そうに言われて、驚いた。
この世界では、”学校”とは、貴族が領主としての英才教育を受けたり、騎士としての教育・修行とかをする場であって、かなり厳しい場所らしい。
研究所とかもあるようだけど。
その知識はごく一部だけのもので、一般人には共有されないそうだ。
草原に大の字になって、じたばたしていたのを引き起こされる。
「魔法で防御するのは、ずるいと思うんだ……」
あ、っと思った次の瞬間には、もう地面に転がされてしまっていた。
草原だったから、そんなに痛くはなかったけど。
「戦いに、ずるいも卑怯もない。私は魔導騎士なのでね。魔法を使って戦うのが基本なんだ。君もそうしたまえ」
そんなことを言いながら。バルの視線が泳いでる。
「嘘だー。防御魔法展開したとき、しまった、って顔してたもん」
「それが身に染みてついてしまっているからな。……この私が、剣で剣を受けるのではなく、咄嗟に防御魔法を出させたのだからな。誇って良いぞ?」
頭を撫でられた。
まあいいか。バルに褒められたし。
*****
「……あ、タリョドゥルセだ」
足元に生えていた、見覚えのある草に気付いた。
「ん? タリョドゥルセがどうした?」
「これ、絞ると甘い汁が出るんだろ? 砂糖として栽培したらいいんじゃないかな、って思って」
節のある草を指差す。
「異国ではそうする者もいると聞くが。甘味なら、蜂蜜や樹糖で足りているぞ?」
蜂蜜とかメイプルシロップは高級品だ。貴族には当たり前でも、庶民には滅多に手の届かないような価格らしいし。
一般家庭でも気軽に甘いものが食べられるようになったらいいと思う。
「えーと、うちじゃなくて。スデステ村とか……、庶民でも普通に甘いものが食べられるよううにしたいなって」
と言うと。
バルは、タリョドゥルセを数本引っこ抜いた。
「成程。……しかし、その前に砂糖として、使用に耐えられるか、試してみてはどうかな?」
ああ。
実際栽培してみて、美味しくなかったりしたら困るもんな。
さすがバル。頭いい。
砂糖を抽出するには。海水から塩とか、ジャガイモからデンプンを取り出す方法と同じでいいんだよな?
前に、理科の実験でやったから知ってる。
*****
城のキッチンを借りて。
タリョドゥルセの絞り汁を煮詰めて凝縮させると。黒糖っぽいのが出来た。
ここから不純物を除けば上白糖になるんだっけ?
よくわかんないからこのままでいいか。確か、こっちの方がミネラルが多いとか何とか。
「あ、味もちゃんと黒糖だ。……ほら、甘いよ?」
スプーンですくって、バルに食べさせた。
「おお、砂糖というものは、このようにして作るものであったか。千年生きて、初めて知ったぞ……!」
初めての経験に感動してるようだ。
まあ、一国の王様が砂糖の作り方とか知る機会ってそうそう無い気がする。
この分じゃ、ジャガイモからデンプン抽出しても驚きそうだ。
小麦粉はあるようだけど。
デンプンの使い道がよくわかんない。片栗粉だっけ? 何に使うんだっけ。からあげとか?
こんな知識をどこで得たのかと聞かれたので、学校だというと。
異世界の学校は素晴らしいと言われた。
習ったこと、ほとんど覚えてないけどな……。
でも、理科の実験は面白かったから、わりと覚えてる方だ。
うちはアホ揃いなので、実技や実験を多くしないと出席率が下がるのだ。
実際、人気だったなあ。
炎色反応とか。
水素を爆発させたりしたのも面白かった。
その仕組みは良くわかんないけど。
ダメダメじゃん!
ヒゲが立派な料理長も、黒糖作りを興味津々な様子で見ていて。
「私も味見させていただいてよろしいでしょうか? 見た事のない調味料ですね?」
どうぞ、と言ったら。マイスプーンで味見をして。
ヒゲを満足そうに揺らした。
「これは素晴らしい! まさかここの庭に、このようなお宝が眠っていたとは!」
料理長も絶賛だ。
料理人としての感想は、雑味があるけど、コクがあって美味いらしい。
タリョドゥルセは竹みたいに地下茎で増える植物で。
今までは厄介な雑草扱いだったそうだ。
竹レベルで増えるなら、村や町ごとで栽培すれば、庶民の口にも入りやすくなりそうだ。
気をつけないと増えるのはこわいけど。
まずはテストモデルとして、タリョドゥルセの栽培はスデステ村に頼むことになった。
*****
「君は、本当に不思議だ。何も知らないのかと思えば、思いも寄らぬ智慧を我々に授けてくれる。全く底が知れない」
バルはしみじみと感心してる。
あまり異世界の知識に期待されても困る。
バラエティ番組は好きで良く見てたから、つまんないことは覚えてたりするけど。
授業中居眠りばっかりしてないで、もっと真面目に勉強しておけばよかったなあ、と今更ながらに後悔する。
「いや、俺、ほんとに普通の高校生だからね? たまたま、ここに無いものを知ってただけで。たまたまだから!」
慌てて否定していたら。
「普通……なのですか。こちらでは、学校に通えるのは主に貴族階級ですよ?」
エリアスに不思議そうに言われて、驚いた。
この世界では、”学校”とは、貴族が領主としての英才教育を受けたり、騎士としての教育・修行とかをする場であって、かなり厳しい場所らしい。
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