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キノコマスター、再び修行する。
帰路への希望
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先代の勇者を召喚したのは、ウィルフレドの師匠だったらしい。
そして、ウィルフレドの容姿は国境の先、南側にある国、クラテルの国民の顔立ちに近いそうだ。
やっぱりセントロ王国の国民じゃなかったんだ。
この大陸には、この国と、元スデステ村の祖国であるイセベルと、クラテルの3つの国があるんだっけ。セントロ王国も、かなり広かったのに。
世界、広いなあ。
「先代の勇者って、魔王を封じた後、どうなったか知ってる?」
もし、勇者も長生きだったら。
まだ生きてて、話が聞けたりとかしないかな、と思って聞いてみたら。
バルは不思議そうに首を傾げた。
「どうなったも何も……、その勇者は使命を果たし、自分の世界に帰ったのでその後のことは不明なのだが」
「……え?」
前の勇者は使命を果たした後。自分の世界に帰った、だって!?
「召喚術は一方通行で。俺、二度と元の世界に戻れないんじゃなかったの!?」
「何? 誰がそんなことを……? スデステ村の者か? そんなはずはないと思うが……、」
バルは少し悩んだ様子で。
「本人に直接聞いた方が早いだろう。少し待っていなさい」
と言って。
窓から、魔法で鳥を出して飛ばした。
自動追跡機能をつけた伝言用の鳥を作るのはかなり高度な魔術だけど、さすがに早い。
これは伝言用なので、視界は繋がってないようだ。
*****
しばらくしたら、鳥が戻ってきた。
『ああ、その話? あの村、帰りの料金も出せなさそうだったからさ。召喚だけ
でいいかって意味で、一方通行でいい? って聞いたのを、帰れないと勘違いしたんじゃないかなー』
鳥は、俺を召喚した本人、ウィルフレドの声で言った。
俺。
帰れるの? 元の世界に。
二度と戻れない、一方通行じゃなかったのか。
脱力して。
思わず、その場にへたりこみそうになってしまった。
……なるべく、そのことについては考えないようにしてたけど。
元の世界に戻れないってこと。
だいぶ、不安に思ってたんだな、俺。
『”勇者”を召喚できるのは、千年に一度だけど。資格を失えば、もし一度里帰りしても、またこっちに呼べるよ~』
しかも。
一度元の世界に帰っても、またこっちに来れるという。
資格って。バルとエッチすれば無くなるんだよな?
じゃあ、元の世界に戻れる上に、こっちの世界にも戻れるんだ。
どちらも、失わなくて済むんだ。
「全く、あの守銭奴め。こっちに帰還代金、召喚代金の両方を請求するつもりだな? まあ、私の可愛い子猫ちゃんのためなら惜しくないが」
苦笑いしてる。
……ということは。
「俺、一度、あっちに戻ってもいいの?」
「ああ、勿論だ」
バルは力強く頷いた。
「こちらに帰ることが前提だが。家族に挨拶もできず、突然この世界へ召喚されたのだろう? 事情の説明、結婚の報告もあるだろう。私は君に関しては大変心が狭いが。これでも、里帰りを許すくらいの度量はあるつもりだ」
バルは、俺を引き寄せて。
ぎゅっと抱き締めてくれた。
「……そうか。もう、帰れないと思っていたのだな。それでは今までさぞ不安だっただろう。気付いてやれず、すまなかった」
優しい声に、涙が出てきた。
そうだ。
俺はずっと、不安だったんだ。
言葉も通じない異世界に呼ばれて。
ここに居てもいいんだって理由作りのために、必死でキノコ狩りをして。
誰かに認められたかった。
ここに居てもいい、って言って欲しかった。
元の世界に帰れないと聞いた時。
バルから嫌われるのが怖かった。見離されたらどうしようって。
でも。
バルは、俺を丸ごと愛してくれた。
人生全部、背負う覚悟で。
*****
バルの胸に顔を埋めて。
子供みたいにわんわん泣いた。
「君が望むことは私が叶えてみせる。もっと頼ってもいいのだぞ?」
バルはずっと優しく頭を撫でてくれていた。
こんなに優しくて。頼りがいがあって。
世界最高の魔術師でもあるバルが俺のパートナーだなんて。
俺って、世界で一番幸せ者だよね。
バルに嫌われたらどうしよう、って考えてたことを話したら。
ものすごく、心外そうな顔をされた。
「いやいや、不安なのは私の方だぞ。よもや戻れないと思った故に優輝は私の求婚を受け入れたのではないか、と心を痛めたではないか」
「むしろ何で俺がそこまでバルに好かれてるのか謎なんだけど……」
「何故、と問うか? 何もかも愛くるしいではないか。謙虚すぎるのが優輝の唯一の欠点だな。前にも言ったが、最初こそ外見に惹かれたのは否定しないが。召喚されてわずか半年で言葉を覚え、愛らしい手を血豆だらけになるほど努力してマエステロデオンゴスの称号を得ていたのも好ましく思った。私が国王と知っても態度を変えず、贅沢な生活を望まない慎ましい性格。それどころか、貧しい暮らしの民のことを憂い、自分の持つ知識を生かして助けようとする優しさ。知れば知るほど愛しさが募ってゆく……」
「…………」
何もかも愛くるしい、ときた。
もうどこから突っ込んだらいいのかわからない。
唯一どころか。俺、欠点だらけだよ?
「……えーと。言ってなかったっけ? 元の世界では俺、かなり背がでかい方だったんだ。顔も普通だし。それで、今まで、人から可愛いなんて言われたことないからさ。どうも実感がわかなくて……」
そして、ウィルフレドの容姿は国境の先、南側にある国、クラテルの国民の顔立ちに近いそうだ。
やっぱりセントロ王国の国民じゃなかったんだ。
この大陸には、この国と、元スデステ村の祖国であるイセベルと、クラテルの3つの国があるんだっけ。セントロ王国も、かなり広かったのに。
世界、広いなあ。
「先代の勇者って、魔王を封じた後、どうなったか知ってる?」
もし、勇者も長生きだったら。
まだ生きてて、話が聞けたりとかしないかな、と思って聞いてみたら。
バルは不思議そうに首を傾げた。
「どうなったも何も……、その勇者は使命を果たし、自分の世界に帰ったのでその後のことは不明なのだが」
「……え?」
前の勇者は使命を果たした後。自分の世界に帰った、だって!?
「召喚術は一方通行で。俺、二度と元の世界に戻れないんじゃなかったの!?」
「何? 誰がそんなことを……? スデステ村の者か? そんなはずはないと思うが……、」
バルは少し悩んだ様子で。
「本人に直接聞いた方が早いだろう。少し待っていなさい」
と言って。
窓から、魔法で鳥を出して飛ばした。
自動追跡機能をつけた伝言用の鳥を作るのはかなり高度な魔術だけど、さすがに早い。
これは伝言用なので、視界は繋がってないようだ。
*****
しばらくしたら、鳥が戻ってきた。
『ああ、その話? あの村、帰りの料金も出せなさそうだったからさ。召喚だけ
でいいかって意味で、一方通行でいい? って聞いたのを、帰れないと勘違いしたんじゃないかなー』
鳥は、俺を召喚した本人、ウィルフレドの声で言った。
俺。
帰れるの? 元の世界に。
二度と戻れない、一方通行じゃなかったのか。
脱力して。
思わず、その場にへたりこみそうになってしまった。
……なるべく、そのことについては考えないようにしてたけど。
元の世界に戻れないってこと。
だいぶ、不安に思ってたんだな、俺。
『”勇者”を召喚できるのは、千年に一度だけど。資格を失えば、もし一度里帰りしても、またこっちに呼べるよ~』
しかも。
一度元の世界に帰っても、またこっちに来れるという。
資格って。バルとエッチすれば無くなるんだよな?
じゃあ、元の世界に戻れる上に、こっちの世界にも戻れるんだ。
どちらも、失わなくて済むんだ。
「全く、あの守銭奴め。こっちに帰還代金、召喚代金の両方を請求するつもりだな? まあ、私の可愛い子猫ちゃんのためなら惜しくないが」
苦笑いしてる。
……ということは。
「俺、一度、あっちに戻ってもいいの?」
「ああ、勿論だ」
バルは力強く頷いた。
「こちらに帰ることが前提だが。家族に挨拶もできず、突然この世界へ召喚されたのだろう? 事情の説明、結婚の報告もあるだろう。私は君に関しては大変心が狭いが。これでも、里帰りを許すくらいの度量はあるつもりだ」
バルは、俺を引き寄せて。
ぎゅっと抱き締めてくれた。
「……そうか。もう、帰れないと思っていたのだな。それでは今までさぞ不安だっただろう。気付いてやれず、すまなかった」
優しい声に、涙が出てきた。
そうだ。
俺はずっと、不安だったんだ。
言葉も通じない異世界に呼ばれて。
ここに居てもいいんだって理由作りのために、必死でキノコ狩りをして。
誰かに認められたかった。
ここに居てもいい、って言って欲しかった。
元の世界に帰れないと聞いた時。
バルから嫌われるのが怖かった。見離されたらどうしようって。
でも。
バルは、俺を丸ごと愛してくれた。
人生全部、背負う覚悟で。
*****
バルの胸に顔を埋めて。
子供みたいにわんわん泣いた。
「君が望むことは私が叶えてみせる。もっと頼ってもいいのだぞ?」
バルはずっと優しく頭を撫でてくれていた。
こんなに優しくて。頼りがいがあって。
世界最高の魔術師でもあるバルが俺のパートナーだなんて。
俺って、世界で一番幸せ者だよね。
バルに嫌われたらどうしよう、って考えてたことを話したら。
ものすごく、心外そうな顔をされた。
「いやいや、不安なのは私の方だぞ。よもや戻れないと思った故に優輝は私の求婚を受け入れたのではないか、と心を痛めたではないか」
「むしろ何で俺がそこまでバルに好かれてるのか謎なんだけど……」
「何故、と問うか? 何もかも愛くるしいではないか。謙虚すぎるのが優輝の唯一の欠点だな。前にも言ったが、最初こそ外見に惹かれたのは否定しないが。召喚されてわずか半年で言葉を覚え、愛らしい手を血豆だらけになるほど努力してマエステロデオンゴスの称号を得ていたのも好ましく思った。私が国王と知っても態度を変えず、贅沢な生活を望まない慎ましい性格。それどころか、貧しい暮らしの民のことを憂い、自分の持つ知識を生かして助けようとする優しさ。知れば知るほど愛しさが募ってゆく……」
「…………」
何もかも愛くるしい、ときた。
もうどこから突っ込んだらいいのかわからない。
唯一どころか。俺、欠点だらけだよ?
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