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異世界の王様、日本へ行く。
無数の星に囲まれて
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電車とか自動車、家電をひとつ作るにも、それぞれの工場の設置や、材料の調達をしないといけない。
工場は、電気……発電所が無いと動かせない。
シムシティみたいなゲームと違って、失敗してもリセットなんてできないし。
原子力発電所は汚染の恐れがある。
太陽エネルギーだけじゃ、全ての家の明かりを灯す分は賄えないそうだ。
燃料も、自然を壊して手に入れなくてはいけない。
製鉄をするのに、森がひとつなくなることもあったっていうし。
国民の全員が魔力を持ってる訳でもない。
今まで、考えたことなかったけど。
発展っていうのは、自然を壊すものなんだ。
”便利”の代わりに、色々なものを失ってきたんだな。
でも、日常的な細々とした小物とかは取り入れたいものが多数あったというので、こっちに来て、少しは参考になったって思ってくれたかな?
……え、醤油差しとか、石油のポンプって珍しいの?
バルは一度あっちへ戻って、すぐに時間調整してから迎えに来るという。
待つつもりが一切ないのがいっそ清々しいよ。
俺もできれば卒業式の日まで時間をショートカットしたいけど。
色々、勉強しなくちゃいけないし。頑張ろう。
*****
「あ、そうだ。ツリーの展望台、上がってみる?」
親父から臨時に貰ったお小遣いがまだ残ってるし。
一人三千円くらいする展望台なんて、なかなか行く機会が無いもんな。
「いや、上から見てみたい」
バルはそう言って。
次の瞬間には、ツリーを見下ろしていた。
……誰も見てなかったことを祈ろう。
「……凄いな。これが全て、明かりなのか」
バルが呟いた。
更に上空へ行くと、良くわかる。
東京が、ものすごく明るくて。暗くても目印になるくらいだ。
他は、主要都市が明るく見えてるのかな?
さすが、不夜城と言われるくらいだ。
新宿周辺、めちゃくちゃ明るい。東京の夜空がぼんやり赤っぽいのはこれのせいか。
「綺麗だね」
百万ドルの夜景だっけ? 確かに、宝石をばらまいたみたいだ。
「ああ。素晴らしい景色だが、これは見るだけで満足しておこう。……夜空の星々のように」
と。
バルが顔を上げるのにつられて、上を見る。
満天の星空。
東京の空は、星が少ないと思ってたけど。
ここまで上がれば、下にいた時より、星が良く見えるんだ。
ここにも、こんなにたくさんの星があったんだ。
あっちにも太陽や月や星はあったけど、月は二つだった。
でも、星空はそう変わりないんだな。
*****
「どちらが地上か、わからなくなりそうだな?」
バルが、ふっと微笑んで。
「ん、」
目が合ったと思ったら、キスをされた。
舌で口の中を探られて。
お腹には、固いのが当たってる。
こんなとこじゃ、誰も見てないし、聞こえないかもしれないけど。恥ずかしいよ!
ぎゅっと抱き締められる。
「優輝……迎えに行ったその夜に、君の全てをもらうよ」
熱く囁かれて。
気がつけば、家の前にいた。
バルの姿はない。
俺だけ転移させたのかな?
……バルのバカ。
あんなキス、別れ際にするなよ。
勃っちゃっただろ!
「ただいまー!」
家に入ってすぐに、トイレに飛び込んだ。
あっちの世界では、半年なんて、あっという間だったのに。
卒業まで7ヶ月もあるなんて。
長すぎるよ。
でも、バルは向こうに行ったら、即こっちに戻って来るんだよな……。
ずるい……。
でも、それだけ待てないくらい想われてると考えれば。嬉しいような。
複雑な気持ちだ。
*****
ほぼ図書館で勉強して過ごした夏休みもやっと終わって、始業式。
三年生は授業も少ないけど。
残りの日数を無駄に終わらせないようにしなくちゃ。
進路指導の先生には、大学進学をやめることを伝えて。卒業後は、家族の仕事を手伝うことにすると言った。
大学を卒業するまで待ってもらったら、と言われたけど。
俺が、それまで待てないんだ。
三年の後半、という半端な時期から成績がぐんぐん上がっていって。
何で今更になって本気を見せるんだ、と先生に嘆かれた。
それは申し訳ない……。
鍛えて身体が締まったせいか、登下校時に女の子から声を掛けられることも増えたけど。
インスタとかラインはやってないんだよな。
決まった相手がいるから、って断った。
何で今になって、女の子にもてるようになってるんだよ!?
不思議に思ってたら。
女の子だけじゃなく、何故か男からも声を掛けられるようになった。
顔も知らない後輩から告白されたり。
大学に行った先輩に登下校時に会ったら、何故か告白されたりして。
結婚を約束した相手がいるのでごめんなさい! と言って断りまくってたら。
クラスの奴らにその噂が流れたようだ。
どんな人? 美人? 姉妹いる? 紹介して! とかHRの度に集まってきて、いい加減うざい。
何なの? 俺、神様に試されてるの!?
突然のモテキ来ちゃったの?
何かおかしなオーラかフェロモンでも出てるの? ってくらい。
クラスのやつにも、夏休みが明けてから色っぽくなったとか言われてしまった。
アンニュイな感じがするそうだ。
夏休みで経験? したと言えばしたのかな……。
脱・童貞はしてないけど。
……正直言うと、めっちゃ溜まってる。
バルのせいで、色々開発されちゃったし。
身体が疼く、ってこういうことなんだって知った。
工場は、電気……発電所が無いと動かせない。
シムシティみたいなゲームと違って、失敗してもリセットなんてできないし。
原子力発電所は汚染の恐れがある。
太陽エネルギーだけじゃ、全ての家の明かりを灯す分は賄えないそうだ。
燃料も、自然を壊して手に入れなくてはいけない。
製鉄をするのに、森がひとつなくなることもあったっていうし。
国民の全員が魔力を持ってる訳でもない。
今まで、考えたことなかったけど。
発展っていうのは、自然を壊すものなんだ。
”便利”の代わりに、色々なものを失ってきたんだな。
でも、日常的な細々とした小物とかは取り入れたいものが多数あったというので、こっちに来て、少しは参考になったって思ってくれたかな?
……え、醤油差しとか、石油のポンプって珍しいの?
バルは一度あっちへ戻って、すぐに時間調整してから迎えに来るという。
待つつもりが一切ないのがいっそ清々しいよ。
俺もできれば卒業式の日まで時間をショートカットしたいけど。
色々、勉強しなくちゃいけないし。頑張ろう。
*****
「あ、そうだ。ツリーの展望台、上がってみる?」
親父から臨時に貰ったお小遣いがまだ残ってるし。
一人三千円くらいする展望台なんて、なかなか行く機会が無いもんな。
「いや、上から見てみたい」
バルはそう言って。
次の瞬間には、ツリーを見下ろしていた。
……誰も見てなかったことを祈ろう。
「……凄いな。これが全て、明かりなのか」
バルが呟いた。
更に上空へ行くと、良くわかる。
東京が、ものすごく明るくて。暗くても目印になるくらいだ。
他は、主要都市が明るく見えてるのかな?
さすが、不夜城と言われるくらいだ。
新宿周辺、めちゃくちゃ明るい。東京の夜空がぼんやり赤っぽいのはこれのせいか。
「綺麗だね」
百万ドルの夜景だっけ? 確かに、宝石をばらまいたみたいだ。
「ああ。素晴らしい景色だが、これは見るだけで満足しておこう。……夜空の星々のように」
と。
バルが顔を上げるのにつられて、上を見る。
満天の星空。
東京の空は、星が少ないと思ってたけど。
ここまで上がれば、下にいた時より、星が良く見えるんだ。
ここにも、こんなにたくさんの星があったんだ。
あっちにも太陽や月や星はあったけど、月は二つだった。
でも、星空はそう変わりないんだな。
*****
「どちらが地上か、わからなくなりそうだな?」
バルが、ふっと微笑んで。
「ん、」
目が合ったと思ったら、キスをされた。
舌で口の中を探られて。
お腹には、固いのが当たってる。
こんなとこじゃ、誰も見てないし、聞こえないかもしれないけど。恥ずかしいよ!
ぎゅっと抱き締められる。
「優輝……迎えに行ったその夜に、君の全てをもらうよ」
熱く囁かれて。
気がつけば、家の前にいた。
バルの姿はない。
俺だけ転移させたのかな?
……バルのバカ。
あんなキス、別れ際にするなよ。
勃っちゃっただろ!
「ただいまー!」
家に入ってすぐに、トイレに飛び込んだ。
あっちの世界では、半年なんて、あっという間だったのに。
卒業まで7ヶ月もあるなんて。
長すぎるよ。
でも、バルは向こうに行ったら、即こっちに戻って来るんだよな……。
ずるい……。
でも、それだけ待てないくらい想われてると考えれば。嬉しいような。
複雑な気持ちだ。
*****
ほぼ図書館で勉強して過ごした夏休みもやっと終わって、始業式。
三年生は授業も少ないけど。
残りの日数を無駄に終わらせないようにしなくちゃ。
進路指導の先生には、大学進学をやめることを伝えて。卒業後は、家族の仕事を手伝うことにすると言った。
大学を卒業するまで待ってもらったら、と言われたけど。
俺が、それまで待てないんだ。
三年の後半、という半端な時期から成績がぐんぐん上がっていって。
何で今更になって本気を見せるんだ、と先生に嘆かれた。
それは申し訳ない……。
鍛えて身体が締まったせいか、登下校時に女の子から声を掛けられることも増えたけど。
インスタとかラインはやってないんだよな。
決まった相手がいるから、って断った。
何で今になって、女の子にもてるようになってるんだよ!?
不思議に思ってたら。
女の子だけじゃなく、何故か男からも声を掛けられるようになった。
顔も知らない後輩から告白されたり。
大学に行った先輩に登下校時に会ったら、何故か告白されたりして。
結婚を約束した相手がいるのでごめんなさい! と言って断りまくってたら。
クラスの奴らにその噂が流れたようだ。
どんな人? 美人? 姉妹いる? 紹介して! とかHRの度に集まってきて、いい加減うざい。
何なの? 俺、神様に試されてるの!?
突然のモテキ来ちゃったの?
何かおかしなオーラかフェロモンでも出てるの? ってくらい。
クラスのやつにも、夏休みが明けてから色っぽくなったとか言われてしまった。
アンニュイな感じがするそうだ。
夏休みで経験? したと言えばしたのかな……。
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身体が疼く、ってこういうことなんだって知った。
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