47 / 65
異世界の王様、日本へ行く。
急な帰還
しおりを挟む
「俺は単に、猫に化けられるから。クレプスクロは、やっと出会えた仲間だと思って、気を許しただけだと思うよ」
俺は、自分の正体が猫だとは言ってないし。なるべく、嘘はつかなかったけど。
何だか騙したみたいで、心苦しかった。
クレプスクロは、あまりに純粋に、仲間と出会えたことを喜んでたから。
「まるで親子みたいに仲睦まじい様子でしたね……」
エリアスがしみじみと言った。
「へえ、そんなでかい猫だったのかい?」
ウィルフレドに訊かれて。
「いや、逆逆。すごく小さかったんだ。このくらい」
俺は手で大きさを示した。
「ええ、とても可愛らしかったですよ」
「え~? 小さい黒猫なんて、気持ち悪いよ。変わってるなあ」
にっこりしてるエリアスに、ウィルフレドはドン引きしてる。
エリアスとウィルフレド。
生まれ育った国が違うと、こうも違うのか……。受けた教育とかでもかなり変わりそうだな。
*****
「そういえば、クレプスクロから、あちこち匂いを嗅がれたけど。バルと、……ええと、夜の営みをしちゃいけなかったのって、”魔王”がこの世界の人間を警戒してるからだったとか?」
でも、最終的にはバルに撫でられても平気そうだったな。
それは単に慣れたからかな? それとも、好意があるかないか?
「ああ、そのこと? ……ごめん、あれ嘘だったんだよね! 何か目標があったほうが必死になってくれるかな~と思って」
ウィルフレドは、全く悪びれない様子で言った。
「何だと……!?」
バルは、ものすごい勢いでウィルフレドを睨んだ。
「そうだった。ちょっと視せてねー」
殺気を放ちながら睨むバルをガン無視して。
ウィルフレドは、俺の手を取った。
あたたかい手。
神秘的な紫の瞳と、まっすぐに目が合った。宝石みたいにきらきらしてる。
ウィルフレドは、とても綺麗な顔をしてるけど。こうして近距離で見つめ合っても、バルの時とは違って、ドキドキしない。
やっぱり、バルは特別なんだなあ、と改めて思った。
「……ああ、やっぱりだ。……今回のご褒美かな? ”神の祝福”がついて、永世勇者の資格が固定されてる」
「ええっ!?」
永世勇者って。どういうことだよ!?
バルとエッチしたら勇者の資格が外れる、っていうのは、ウィルフレドの真っ赤な嘘だったようだけど。
勇者が、千年に一度しか召喚されないってのは本当なんだよな?
で。
勇者としての資格が、永久に固定されてるってことは。
「じゃあ、俺が一旦元の世界に帰ったら、またこっちに戻ってくるのは不可能ってこと!?」
*****
「いや、それは大丈夫。”魔王”が消滅したことで、勇者に対してのそういう禁則とかも全部消えてる」
ウィルフレドは即答した。
何だ。
もったいぶるから、てっきりもう、こっちの世界には戻って来れないのかと思ったじゃないか。
びっくりした。脅かさないで欲しい。
「ただ……、うーん、言っちゃっていいのかなあ」
少し悩んだ様子で。
ウィルフレドはバルの所に行って。バルの耳元で、ぼそぼそ何か言ってる。
……ちょっと。顔、近すぎない?
「……大変喜ばしい事ではないか」
「いや、それは君にとってはそうかもしれないけど。普通の人は嫌がるんじゃない?」
二人で何か言い合ってるけど。
「ええ、何? 何だよ、俺のことだよね? 教えてくれよ。不安になるだろ!?」
「神により、”不老不死の祝福”を授かっているそうだ」
バルが答えた。
不老不死って。……バルと、同じ?
クレプスクロに。
千年後、目が覚めても自分の側にいてくれるか、と聞かれて。
俺は、答えられなかった。
俺はただの人間だから、千年後には生きてない。
だから。嘘になると思って黙ってた。
クレプスクロに、嘘は言いたくなかったから。
気休めでも、言ってやりたかったけど。言えなかったんだ。
もしかして。
それに気付いたクレプスクロが。善神と一緒になった時に、祝福を与えてくれたのか?
「じゃあ俺、バルと、ずっと一緒にいられるんだ……?」
「そうだ。私達はずっと一緒だ」
ぎゅっと抱き締められる。
「え~……、喜んじゃうんだ? ……引くわー」
「私も一緒なんですけどね……」
ウィルフレドとエリアスが、遠巻きにこっちを見ていたけど。
みんな一緒なのも、嬉しいと思ってるよ。
*****
「で。どうする? 元の世界に戻るの、今、やっとく?」
ウィルフレドが杖を振ってる。
なんか、床に魔方陣みたいのを描いてるけど。
いや、まだ早いよ!?
「フレッド、私も同行したいのだが。優輝のご両親に結婚の挨拶をせねばならんのでな」
「ええっ!?」
バルも一緒に来るの!? うちの親に、挨拶しに!?
「え~、きみも行くの? めんどくさいなあ。まあいいけどさ。割増料金取るからね?」
ウィルフレドはぶつくさ言いながらも、魔方陣を手直ししてる。
へえ、人が増えると、魔法陣の模様が変わるんだ。
見ても全くわかんないけど。
「構わん、必要経費だ。礼は弾もう。……ああ、帰りは座標を覚えれば、自分で帰還出来る。済んだら帰っていいぞ」
バルは笑顔だ。
「ちぇ、大魔道士様はこれだからなあ。……じゃあ、行くよ~」
ウィルフレドは、魔法陣に杖を立てた。
陣が光り出す。
……え? 今、もう、元の世界に帰るの!?
ちょっと待ってってば。
まだ、心の準備が!
俺は、自分の正体が猫だとは言ってないし。なるべく、嘘はつかなかったけど。
何だか騙したみたいで、心苦しかった。
クレプスクロは、あまりに純粋に、仲間と出会えたことを喜んでたから。
「まるで親子みたいに仲睦まじい様子でしたね……」
エリアスがしみじみと言った。
「へえ、そんなでかい猫だったのかい?」
ウィルフレドに訊かれて。
「いや、逆逆。すごく小さかったんだ。このくらい」
俺は手で大きさを示した。
「ええ、とても可愛らしかったですよ」
「え~? 小さい黒猫なんて、気持ち悪いよ。変わってるなあ」
にっこりしてるエリアスに、ウィルフレドはドン引きしてる。
エリアスとウィルフレド。
生まれ育った国が違うと、こうも違うのか……。受けた教育とかでもかなり変わりそうだな。
*****
「そういえば、クレプスクロから、あちこち匂いを嗅がれたけど。バルと、……ええと、夜の営みをしちゃいけなかったのって、”魔王”がこの世界の人間を警戒してるからだったとか?」
でも、最終的にはバルに撫でられても平気そうだったな。
それは単に慣れたからかな? それとも、好意があるかないか?
「ああ、そのこと? ……ごめん、あれ嘘だったんだよね! 何か目標があったほうが必死になってくれるかな~と思って」
ウィルフレドは、全く悪びれない様子で言った。
「何だと……!?」
バルは、ものすごい勢いでウィルフレドを睨んだ。
「そうだった。ちょっと視せてねー」
殺気を放ちながら睨むバルをガン無視して。
ウィルフレドは、俺の手を取った。
あたたかい手。
神秘的な紫の瞳と、まっすぐに目が合った。宝石みたいにきらきらしてる。
ウィルフレドは、とても綺麗な顔をしてるけど。こうして近距離で見つめ合っても、バルの時とは違って、ドキドキしない。
やっぱり、バルは特別なんだなあ、と改めて思った。
「……ああ、やっぱりだ。……今回のご褒美かな? ”神の祝福”がついて、永世勇者の資格が固定されてる」
「ええっ!?」
永世勇者って。どういうことだよ!?
バルとエッチしたら勇者の資格が外れる、っていうのは、ウィルフレドの真っ赤な嘘だったようだけど。
勇者が、千年に一度しか召喚されないってのは本当なんだよな?
で。
勇者としての資格が、永久に固定されてるってことは。
「じゃあ、俺が一旦元の世界に帰ったら、またこっちに戻ってくるのは不可能ってこと!?」
*****
「いや、それは大丈夫。”魔王”が消滅したことで、勇者に対してのそういう禁則とかも全部消えてる」
ウィルフレドは即答した。
何だ。
もったいぶるから、てっきりもう、こっちの世界には戻って来れないのかと思ったじゃないか。
びっくりした。脅かさないで欲しい。
「ただ……、うーん、言っちゃっていいのかなあ」
少し悩んだ様子で。
ウィルフレドはバルの所に行って。バルの耳元で、ぼそぼそ何か言ってる。
……ちょっと。顔、近すぎない?
「……大変喜ばしい事ではないか」
「いや、それは君にとってはそうかもしれないけど。普通の人は嫌がるんじゃない?」
二人で何か言い合ってるけど。
「ええ、何? 何だよ、俺のことだよね? 教えてくれよ。不安になるだろ!?」
「神により、”不老不死の祝福”を授かっているそうだ」
バルが答えた。
不老不死って。……バルと、同じ?
クレプスクロに。
千年後、目が覚めても自分の側にいてくれるか、と聞かれて。
俺は、答えられなかった。
俺はただの人間だから、千年後には生きてない。
だから。嘘になると思って黙ってた。
クレプスクロに、嘘は言いたくなかったから。
気休めでも、言ってやりたかったけど。言えなかったんだ。
もしかして。
それに気付いたクレプスクロが。善神と一緒になった時に、祝福を与えてくれたのか?
「じゃあ俺、バルと、ずっと一緒にいられるんだ……?」
「そうだ。私達はずっと一緒だ」
ぎゅっと抱き締められる。
「え~……、喜んじゃうんだ? ……引くわー」
「私も一緒なんですけどね……」
ウィルフレドとエリアスが、遠巻きにこっちを見ていたけど。
みんな一緒なのも、嬉しいと思ってるよ。
*****
「で。どうする? 元の世界に戻るの、今、やっとく?」
ウィルフレドが杖を振ってる。
なんか、床に魔方陣みたいのを描いてるけど。
いや、まだ早いよ!?
「フレッド、私も同行したいのだが。優輝のご両親に結婚の挨拶をせねばならんのでな」
「ええっ!?」
バルも一緒に来るの!? うちの親に、挨拶しに!?
「え~、きみも行くの? めんどくさいなあ。まあいいけどさ。割増料金取るからね?」
ウィルフレドはぶつくさ言いながらも、魔方陣を手直ししてる。
へえ、人が増えると、魔法陣の模様が変わるんだ。
見ても全くわかんないけど。
「構わん、必要経費だ。礼は弾もう。……ああ、帰りは座標を覚えれば、自分で帰還出来る。済んだら帰っていいぞ」
バルは笑顔だ。
「ちぇ、大魔道士様はこれだからなあ。……じゃあ、行くよ~」
ウィルフレドは、魔法陣に杖を立てた。
陣が光り出す。
……え? 今、もう、元の世界に帰るの!?
ちょっと待ってってば。
まだ、心の準備が!
19
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
公爵子息だったけど勘違いが恥ずかしいので逃走します
市之川めい
BL
魔王を倒した英雄によって建国されたグレンロシェ王国。その後は現在までに二人、王家の血を引く者から英雄が現れている。
四大公爵家嫡男、容姿端麗、成績優秀と全てにおいて恵まれているジルベールは、いつか自分も英雄になると思い、周りには貴公子然とした態度で接しながらも裏では使用人の息子、レオンに対して傲慢に振る舞い性的な関係まで強要していた。
だが、魔王の襲来時に平民であるはずのレオンが英雄になった。
自分とレオンの出生の秘密を知ったジルベールは恥ずかしくなって逃走することにしたが、レオンが迎えに来て……。
※性描写あり。他サイトにも掲載しています。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
救世の神子として異世界に召喚されたと思ったら呪い解除の回復アイテムだった上にイケメン竜騎士のツガイにされてしまいました。
篠崎笙
BL
剣崎勝利の家は古武道で名を馳せていた。ある日突然異世界に召喚される。勇者としてではなく、竜騎士たちの呪いを解く道具として。竜騎士ゲオルギオスは、勝利をツガイにして、その体液で呪いを解いた。勝利と竜騎士たちは悪神討伐の旅へ向かったが……。
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
【完結】召喚された勇者は贄として、魔王に美味しく頂かれました
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
BL
美しき異形の魔王×勇者の名目で召喚された生贄、執着激しいヤンデレの愛の行方は?
最初から贄として召喚するなんて、ひどいんじゃないか?
人生に何の不満もなく生きてきた俺は、突然異世界に召喚された。
よくある話なのか? 正直帰りたい。勇者として呼ばれたのに、碌な装備もないまま魔王を鎮める贄として差し出され、美味しく頂かれてしまった。美しい異形の魔王はなぜか俺に執着し、閉じ込めて溺愛し始める。ひたすら優しい魔王に、徐々に俺も絆されていく。もういっか、帰れなくても……。
ハッピーエンド確定
※は性的描写あり
【完結】2021/10/31
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、エブリスタ
2021/10/03 エブリスタ、BLカテゴリー 1位
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる