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建国記念日をつくろう。
皇帝:皇帝の仕事
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「ん、……はぁ、あ、」
最奥を突き上げる度に、甘い声で鳴く。
その声を聞きたくて、更に突き上げる。
何度抱いても入口は狭く。
中は熱くねっとりと、私を包み込んで離そうとしない。
カナメの尾が、腰を掴んでいる私の腕に甘えるように巻きついてくる。
愛されていると感じ、嬉しくなる。
初めての時は、緊張を解こうとただの潤滑剤を媚薬と偽ったが。
未だにそのことは教えていない。
この身体は私しか知らないのだと思うと、たまらなくなる。
生まれ変わる前も、何も知らなかったのだ。
女性と交われば魔力を失うというが、一生失うことはないだろう。
カナメの身体は、私だけが知っていればいい。
私のものだ。
*****
「……?」
カナメの耳が、後ろを向いている。
「どうした? もう、いやになった?」
しつこすぎただろうか?
初めてのツガイであり、初めての恋の相手である。
カナメもそうだからか、滅多に嫌がらないので。ついつい際限なく欲しくなり、貪ってしまう。
自慢ではないが、私のペニスは大きく、長い。
それを長時間、何度も受け入れねばならないカナメには、毎晩負担をかけてしまっているだろう。
「や、じゃない。……何か、もやもやしただけ」
拗ねたように言った。
自分は何もかも初めてなのに、私は経験があるのが気に掛かるようだ。
発情期には、出したくてどうしようもなくなるのだ。
避妊具をつけ、そういう後腐れの無い相手とだけ、したのだが。
「……時間は元には戻せないが。単なる肉欲の解消であって、他に何の意味もない。私が好きになったのはカナメが初めてだし、ここに精を吐き出したのも、カナメだけだ」
腹を撫でる。
「ガイウスも、気持ちいい?」
濡れたような大きな瞳が私を見る。
過去の相手に、嫉妬してくれたのだろうか?
そこまで、私を想ってくれたのならば、嬉しいが。
カナメを悲しませたくはない。
気を持たせるようなことはするまい。
「ああ、最高に気持ちいい。許されるなら、一日中こうしていたいくらいだ」
入れたまま、抱き寄せて。
「第一、悦くなければ、こう毎日勃たないと思わないのかい?」
耳元で囁くと、真っ赤になった。
愛らしい。
今夜も遅くまで眠らせないが。
カナメが可愛いからいけない。
*****
「おはよう、カナメ」
まだ寝ぼけ眼のカナメの額に口付けを落とす。
カナメも、私の頬に口付けを返してくれて。
『神の加護』をかけてくれる。
私は世界一幸せな男であると、毎朝感じる。
「まだ眠いだろう。もう少し寝ていなさい。私は仕事に行ってくるよ」
頭を撫でてやると、気持ちよさそうに目を細めて。
「ん、いってらっしゃい。お仕事、頑張って」
かわいい送り出しに。
再び貪りたくなるが、我慢する。
寝室を出ると、世話係が飛んできて、身形を整えられる。
食事は一人の場合、仕事をしながら簡単なものを摘まむくらいだ。
退屈ともいえる日常だが。
カナメのお陰で毎日が楽しい。
「おお、オクタ」
「おはようございます、陛下」
騎士長官のオクタウィウスが、騎士の礼をする。
「今日もカナメ様の護衛、頑張ります」
いい笑顔である。
「毎日騎士長官であるお前が来なくても、他に護衛役の騎士はいるだろうに」
自分の仕事はどうした、と言いたい。
騎士長官の仕事は、決して暇ではないはずだが。
外敵の侵入や疫病の流行、政治的混乱などの防衛・防止。部下の訓練など、色々あるだろう。
「むさい部下どもや書類に向かうより護衛の方がいいですし。カナメ様も、顔見知りの方が落ち着くでしょう?」
「ふむ」
カナメは確かに、かなり人見知りで。
私の外套の中にすぐ隠れたものだが。
最近はかなり知り合いも増え、笑顔を見せるようになった。
愛らしい笑顔は、私にだけ向けてくれればいいが。
それは我儘と言うものだろう。
カナメが楽しいのなら、それでいい。
*****
「もうそろそろ元ムティナの近衛騎士隊長以下6名がカナメの近衛隊として入るからな。お役御免だ。今のうち、満喫しておけ」
「ええええ~、そんな~」
オクタは世にも情けない声を出して、カナメの護衛に向かった。
私だって、常に側に居たいのを我慢しているのだ。
新婚なのに。
一ヶ月くらい、休んでもよかろうに。
「おはようございます、陛下。今朝もお変わりなく」
執政官のデキムスが慇懃に礼をした。
デキムス・クラウディウス・マルケッルス・ピウス。
同じ氏族で隣国の王だったが、自分で国を仕切るより支えるほうが性に合っている、と私の元に来て以来、ほとんど休みなく働いてくれているという、変わった御人である。
”誠実”の添え名の通り、真面目な男で仕事熱心だ。
皇帝として落ち着くためには、やはり身を固めたほうが良い、と何度も言われていたため、私の結婚式の際はとても結婚を喜んでくれた。
その夜だけは多少箍が緩んだようで、かなり酒を飲んでいたが。
二日酔いになったのは、祝い酒に付き合わされたオクタと部下だけだった。
「おはよう、デキムス。今日の予定は?」
「地方司令官の陳情が上がっておりますのでお目通りを。それと報告書が」
これだけ、と。書類の山を積み上げた。
……やれやれ。
カナメの白く滑らかな肌が恋しい。
仕事が終わり、カナメと逢えるのだけが楽しみである。
*****
ノックの音がして。
「どうぞ」
デキムスの声に、兵士が扉を開けた。
「ガイウス、ちょっといいかな?」
カナメ。
逢いたかった、と飛びつきたいところだが。
人目もあるので、我慢する。
「皇妃様もご機嫌麗しく。大変結構なことでございます」
デキムスが礼をし、カナメも頭を下げた。
カナメは未だデキウスには慣れていないようだ。
大丈夫だ。私も慣れない。
「どうした、何か問題でも?」
「オープニングセレモニーとかで花火をあげるのには、色々なとこの許可がいるっていうから、来たんだけど……」
オープニングセレモニーとは。
あちらの言葉だろうか?
まあ、とにかく花火をあげたいのか。
「ああ、それは……」
「わたくしの管轄ですね」
デキムスが、にっこりと笑ってみせた。
最奥を突き上げる度に、甘い声で鳴く。
その声を聞きたくて、更に突き上げる。
何度抱いても入口は狭く。
中は熱くねっとりと、私を包み込んで離そうとしない。
カナメの尾が、腰を掴んでいる私の腕に甘えるように巻きついてくる。
愛されていると感じ、嬉しくなる。
初めての時は、緊張を解こうとただの潤滑剤を媚薬と偽ったが。
未だにそのことは教えていない。
この身体は私しか知らないのだと思うと、たまらなくなる。
生まれ変わる前も、何も知らなかったのだ。
女性と交われば魔力を失うというが、一生失うことはないだろう。
カナメの身体は、私だけが知っていればいい。
私のものだ。
*****
「……?」
カナメの耳が、後ろを向いている。
「どうした? もう、いやになった?」
しつこすぎただろうか?
初めてのツガイであり、初めての恋の相手である。
カナメもそうだからか、滅多に嫌がらないので。ついつい際限なく欲しくなり、貪ってしまう。
自慢ではないが、私のペニスは大きく、長い。
それを長時間、何度も受け入れねばならないカナメには、毎晩負担をかけてしまっているだろう。
「や、じゃない。……何か、もやもやしただけ」
拗ねたように言った。
自分は何もかも初めてなのに、私は経験があるのが気に掛かるようだ。
発情期には、出したくてどうしようもなくなるのだ。
避妊具をつけ、そういう後腐れの無い相手とだけ、したのだが。
「……時間は元には戻せないが。単なる肉欲の解消であって、他に何の意味もない。私が好きになったのはカナメが初めてだし、ここに精を吐き出したのも、カナメだけだ」
腹を撫でる。
「ガイウスも、気持ちいい?」
濡れたような大きな瞳が私を見る。
過去の相手に、嫉妬してくれたのだろうか?
そこまで、私を想ってくれたのならば、嬉しいが。
カナメを悲しませたくはない。
気を持たせるようなことはするまい。
「ああ、最高に気持ちいい。許されるなら、一日中こうしていたいくらいだ」
入れたまま、抱き寄せて。
「第一、悦くなければ、こう毎日勃たないと思わないのかい?」
耳元で囁くと、真っ赤になった。
愛らしい。
今夜も遅くまで眠らせないが。
カナメが可愛いからいけない。
*****
「おはよう、カナメ」
まだ寝ぼけ眼のカナメの額に口付けを落とす。
カナメも、私の頬に口付けを返してくれて。
『神の加護』をかけてくれる。
私は世界一幸せな男であると、毎朝感じる。
「まだ眠いだろう。もう少し寝ていなさい。私は仕事に行ってくるよ」
頭を撫でてやると、気持ちよさそうに目を細めて。
「ん、いってらっしゃい。お仕事、頑張って」
かわいい送り出しに。
再び貪りたくなるが、我慢する。
寝室を出ると、世話係が飛んできて、身形を整えられる。
食事は一人の場合、仕事をしながら簡単なものを摘まむくらいだ。
退屈ともいえる日常だが。
カナメのお陰で毎日が楽しい。
「おお、オクタ」
「おはようございます、陛下」
騎士長官のオクタウィウスが、騎士の礼をする。
「今日もカナメ様の護衛、頑張ります」
いい笑顔である。
「毎日騎士長官であるお前が来なくても、他に護衛役の騎士はいるだろうに」
自分の仕事はどうした、と言いたい。
騎士長官の仕事は、決して暇ではないはずだが。
外敵の侵入や疫病の流行、政治的混乱などの防衛・防止。部下の訓練など、色々あるだろう。
「むさい部下どもや書類に向かうより護衛の方がいいですし。カナメ様も、顔見知りの方が落ち着くでしょう?」
「ふむ」
カナメは確かに、かなり人見知りで。
私の外套の中にすぐ隠れたものだが。
最近はかなり知り合いも増え、笑顔を見せるようになった。
愛らしい笑顔は、私にだけ向けてくれればいいが。
それは我儘と言うものだろう。
カナメが楽しいのなら、それでいい。
*****
「もうそろそろ元ムティナの近衛騎士隊長以下6名がカナメの近衛隊として入るからな。お役御免だ。今のうち、満喫しておけ」
「ええええ~、そんな~」
オクタは世にも情けない声を出して、カナメの護衛に向かった。
私だって、常に側に居たいのを我慢しているのだ。
新婚なのに。
一ヶ月くらい、休んでもよかろうに。
「おはようございます、陛下。今朝もお変わりなく」
執政官のデキムスが慇懃に礼をした。
デキムス・クラウディウス・マルケッルス・ピウス。
同じ氏族で隣国の王だったが、自分で国を仕切るより支えるほうが性に合っている、と私の元に来て以来、ほとんど休みなく働いてくれているという、変わった御人である。
”誠実”の添え名の通り、真面目な男で仕事熱心だ。
皇帝として落ち着くためには、やはり身を固めたほうが良い、と何度も言われていたため、私の結婚式の際はとても結婚を喜んでくれた。
その夜だけは多少箍が緩んだようで、かなり酒を飲んでいたが。
二日酔いになったのは、祝い酒に付き合わされたオクタと部下だけだった。
「おはよう、デキムス。今日の予定は?」
「地方司令官の陳情が上がっておりますのでお目通りを。それと報告書が」
これだけ、と。書類の山を積み上げた。
……やれやれ。
カナメの白く滑らかな肌が恋しい。
仕事が終わり、カナメと逢えるのだけが楽しみである。
*****
ノックの音がして。
「どうぞ」
デキムスの声に、兵士が扉を開けた。
「ガイウス、ちょっといいかな?」
カナメ。
逢いたかった、と飛びつきたいところだが。
人目もあるので、我慢する。
「皇妃様もご機嫌麗しく。大変結構なことでございます」
デキムスが礼をし、カナメも頭を下げた。
カナメは未だデキウスには慣れていないようだ。
大丈夫だ。私も慣れない。
「どうした、何か問題でも?」
「オープニングセレモニーとかで花火をあげるのには、色々なとこの許可がいるっていうから、来たんだけど……」
オープニングセレモニーとは。
あちらの言葉だろうか?
まあ、とにかく花火をあげたいのか。
「ああ、それは……」
「わたくしの管轄ですね」
デキムスが、にっこりと笑ってみせた。
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