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建国記念日をつくろう。
皇妃:闘技会の切符について
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政務室から出て。
大砲や花火の設置場所を決めるため、下見に行くことにした。
安全のため、広い川原か何も無い広場が望ましいという話をしたら、按察官が何ヶ所か候補を絞ってくれたのだ。
「小さい姿の時はともかく、今の姿だと何だか緊張してしまいますな」
後ろから、少々緊張した感じの声。
「ごめん、俺が乗馬できたら良いんだけど。今度頑張って覚えるよ」
俺は馬に乗れないので、騎士長官の馬に相乗りさせてもらっているのだ。
馬車だと仰々しいし、小回りがきかないので、ここではだいたい馬での移動がメインだ。
「いえいえ役得役得。しかし乗馬を覚えたいのであればお力になりますよ?」
騎士長官は笑顔だ。
俺、男なんだけどなあ。
今の俺の姿、普通にイケメンだと思うんだけど。
犬人的には美人カテゴリーになるようだ。
ガイウスは狼の血を引いているせいか、普通の馬からは怖がられてしまうので。
一番肝が据わっている黒い馬を使ってるという話を聞いた。
見た感じは白馬に乗ってそうだけど。
そういう理由なら、仕方ないな。
*****
候補を下見して。
大砲や花火は、やはり広めの川原に設置することにした。
何かあった時、火を消すには水場の方がいいだろうし。
「パレードの通る予定の場所は、12月半ばから立て札でお知らせしておこう。当日の迂回路も書いといた方がいいな」
「それは親切でいいですね。カナメ様はそういった行事に慣れてますんで?」
「いや、主催になるのは初めてだしド素人だよ。見ただけなんだけど、意外に覚えてるもんだね」
また工事か、とかまたマラソンか、とかうんざりしてたけど。
こういう風に役に立つ日が来るとは。
石畳の道路に、煉瓦の家。暖炉の煙突。
白や青に塗られた壁。
目が痛くなるくらいはっきりした青い空。
外国だな、と思うけど。
ここはもう、俺の住む国なんだなあ。
……あれ?
あの長いしっぽ、後姿は。
「ルプスー!」
声を掛けたら、振り向いて。
口の端を上げる笑みを浮かべた。
相変わらずイケメンだ。
「おう、丁度いいところで会った。そっちに行くとこだったんだ」
ルプスはちょうど、城に行く最中だったようだ。
建国記念日兼、皇帝生誕祭(仮)についての話だというので。
一緒に城へ向かって、会議室へ。
*****
「美味いなこれ。ビスコッティにしては柔かいが」
ルプスはクッキーを2,3個口に放り込んで食べてる。
わりと大きめなのに。豪快だ。
「クッキーっていうお菓子だよ」
「異世界の菓子か? これ、売れそうだな。……それで、本題だが、」
闘技会の切符についての相談だった。
ルプスは剣術指南役だけど、闘技場の責任者も兼任していた。
按察官とも顔馴染みっぽかったしな。
今から既に申し込みが殺到していて、本来、無料で入れる立見席になるところまで客でいっぱいになりそうだと。
切符は本来、入場時の混乱を避けるために、どの入口から入るか書いてあるだけの緩いものだけど。
「更にブロックごとに指定席にして、アリーナが良く見える席はプレミア切符にするとか?」
「そりゃ面白い。特別に色を変えたりしてみるか」
「良い席はプラチナ色の切符とか、金色のとか?」
「それは、後々も良い記念品になりそうですね。こう、券に月桂樹の意匠とか入れたりしては?」
騎士長官もデザインを考えるのに加わってる。
意外に絵が上手だった。
月桂樹の葉を罫線のようにして、お洒落だ。
「わあ、いいねこれ」
*****
「しかし、見たい人間が見れないってのもどうにかしたいもんだが……」
さすがはサービス好きな元剣闘士。
客の要望にはなるべく応えたいようだ。
「あ、投影魔法で上空に中継できるよ?」
「そんなのがあるのか?」
「ん、あった」
本来魔王が支配宣言とかするのに使う、魔王専用魔法みたいだけど。
これは、サービスで残しておいてくれたようだ。
神様ありがとう。
「proiectura・spectrum」
さっそく投影魔法を使って、空中に映像を出して見せた。
空中に浮かばせたオーブがカメラになっていて、同時にプロジェクターとして上空に投影できるのだ。
「おお、俺が居る」
みんなでオーブに手を振ってみたりして。
警備していた兵士まで、画面を見てはしゃいでいる。
「画面を大きくもできるから、遠くからでも見えるよ。音までは……あ、白魔法の『増幅・拡散』があったっけ?」
どこまで届くんだろ、あれ。
「いや、音は切符を購入した人の特典ということでいいんじゃないですか?」
騎士長官、結構商売人だな。
試合の前には聖歌隊とか大道芸人とかが歌や芸を披露して。
剣闘士による御前試合の後、ガイウスとルプスの試合になる流れだ。
切符の売り出しは、一ヶ月前からだそうだ。
今から問い合わせが殺到してるくらいだし、相当な倍率になりそうだな。
「あ、そうだ。ルプスも夕ご飯食べてかない?」
今日はガイウスが遅くなるというので。
一人で食事は寂しいと言ったら、騎士長官も付き合ってくれると言ってくれたのだ。
「……喜んで……!」
今日一番の笑顔を見せた。
*****
「いやあ、助かった。ありがとう。それとご馳走様」
ルプスはついでにガイウスに挨拶をしてから帰るというので、会議室の前で別れた。
すごいニュースを聞いちゃったけど。
当日まで秘密にしたいって言うので、ガイウスには内緒だ。
風呂へ向かう。
本来は三助的な使用人が居て、服の脱ぎ着を手伝ったり身体を洗ったりされるんだけど。
俺が来ると礼をして、外に出て待機しているようだ。
ガイウスが、俺の裸を他人に見せたくないとか我儘言うせいだ。
でも、正直いって他人に身体を洗われるのも何か嫌なので、嬉しい。
結局、俺の為かもしれない。
ガイウスは俺の気持ちを色々察知して気に掛けてくれるし。
愛されてるんだな。えへへ。
っと。
あんまり長湯したら警備してくれてる騎士長官に悪いや。
お風呂から上がって。
「今日も遅くまでありがとう。また明日」
「ではカナメ様、おやすみなさい」
騎士長官とも別れて、寝室の続き間へ。
ソファーに座って、ガイウスが戻ってくるのを待つ。
足音。
ガイウスだ。
「ガイウス、おかえりなさい」
部屋に入るなり、ガイウスの胸に飛びつく。
がっしりしてるから、揺らぐことなく、しっかり受け止められる。
「ただいま、私の可愛い后。愛しているよ、カナメ」
頬にキスされて。
「あ、ルプスに会えた? 挨拶してくって言ってたけど」
「……手荒い挨拶を貰ったよ」
微妙な顔をしてる。
何かあったのかな?
*****
その日の夜も、いっぱい愛されて。
翌朝、いつものように挨拶して、『神の加護』をかけて。
一緒に朝食をとって、一緒に城へ向かった。
手を握られて。
見上げると、にこっと笑う。
何度見てもドキドキしてしまう。
手を繋いで歩くなんて、恥ずかしいけど。
新婚だし、仕方ないよな。
「おはようございます、陛下、カナメ様」
騎士長官だ。
「おはよう」
ガイウスは平気な顔してるけど。
騎士長官は繋いだ手を見てる。見られちゃった。
思わず、ガイウスの腕に掴まったまま、後ろに隠れた。
マントを引っ張ったりして。
「おはよー」
にやにやしないでくれるかな!
執政官と按察官は既に来ていた。
早いな!
按察官は緊張した顔をしている。……ご、ごめんね、もっと早く来れば。2人っきりで気まずかったんだろうな。
「おはようございます」
挨拶を交わして。
神祇官とルプスが来て。
メンバーも揃ったので、会議開始だ。
大砲や花火の設置場所を決めるため、下見に行くことにした。
安全のため、広い川原か何も無い広場が望ましいという話をしたら、按察官が何ヶ所か候補を絞ってくれたのだ。
「小さい姿の時はともかく、今の姿だと何だか緊張してしまいますな」
後ろから、少々緊張した感じの声。
「ごめん、俺が乗馬できたら良いんだけど。今度頑張って覚えるよ」
俺は馬に乗れないので、騎士長官の馬に相乗りさせてもらっているのだ。
馬車だと仰々しいし、小回りがきかないので、ここではだいたい馬での移動がメインだ。
「いえいえ役得役得。しかし乗馬を覚えたいのであればお力になりますよ?」
騎士長官は笑顔だ。
俺、男なんだけどなあ。
今の俺の姿、普通にイケメンだと思うんだけど。
犬人的には美人カテゴリーになるようだ。
ガイウスは狼の血を引いているせいか、普通の馬からは怖がられてしまうので。
一番肝が据わっている黒い馬を使ってるという話を聞いた。
見た感じは白馬に乗ってそうだけど。
そういう理由なら、仕方ないな。
*****
候補を下見して。
大砲や花火は、やはり広めの川原に設置することにした。
何かあった時、火を消すには水場の方がいいだろうし。
「パレードの通る予定の場所は、12月半ばから立て札でお知らせしておこう。当日の迂回路も書いといた方がいいな」
「それは親切でいいですね。カナメ様はそういった行事に慣れてますんで?」
「いや、主催になるのは初めてだしド素人だよ。見ただけなんだけど、意外に覚えてるもんだね」
また工事か、とかまたマラソンか、とかうんざりしてたけど。
こういう風に役に立つ日が来るとは。
石畳の道路に、煉瓦の家。暖炉の煙突。
白や青に塗られた壁。
目が痛くなるくらいはっきりした青い空。
外国だな、と思うけど。
ここはもう、俺の住む国なんだなあ。
……あれ?
あの長いしっぽ、後姿は。
「ルプスー!」
声を掛けたら、振り向いて。
口の端を上げる笑みを浮かべた。
相変わらずイケメンだ。
「おう、丁度いいところで会った。そっちに行くとこだったんだ」
ルプスはちょうど、城に行く最中だったようだ。
建国記念日兼、皇帝生誕祭(仮)についての話だというので。
一緒に城へ向かって、会議室へ。
*****
「美味いなこれ。ビスコッティにしては柔かいが」
ルプスはクッキーを2,3個口に放り込んで食べてる。
わりと大きめなのに。豪快だ。
「クッキーっていうお菓子だよ」
「異世界の菓子か? これ、売れそうだな。……それで、本題だが、」
闘技会の切符についての相談だった。
ルプスは剣術指南役だけど、闘技場の責任者も兼任していた。
按察官とも顔馴染みっぽかったしな。
今から既に申し込みが殺到していて、本来、無料で入れる立見席になるところまで客でいっぱいになりそうだと。
切符は本来、入場時の混乱を避けるために、どの入口から入るか書いてあるだけの緩いものだけど。
「更にブロックごとに指定席にして、アリーナが良く見える席はプレミア切符にするとか?」
「そりゃ面白い。特別に色を変えたりしてみるか」
「良い席はプラチナ色の切符とか、金色のとか?」
「それは、後々も良い記念品になりそうですね。こう、券に月桂樹の意匠とか入れたりしては?」
騎士長官もデザインを考えるのに加わってる。
意外に絵が上手だった。
月桂樹の葉を罫線のようにして、お洒落だ。
「わあ、いいねこれ」
*****
「しかし、見たい人間が見れないってのもどうにかしたいもんだが……」
さすがはサービス好きな元剣闘士。
客の要望にはなるべく応えたいようだ。
「あ、投影魔法で上空に中継できるよ?」
「そんなのがあるのか?」
「ん、あった」
本来魔王が支配宣言とかするのに使う、魔王専用魔法みたいだけど。
これは、サービスで残しておいてくれたようだ。
神様ありがとう。
「proiectura・spectrum」
さっそく投影魔法を使って、空中に映像を出して見せた。
空中に浮かばせたオーブがカメラになっていて、同時にプロジェクターとして上空に投影できるのだ。
「おお、俺が居る」
みんなでオーブに手を振ってみたりして。
警備していた兵士まで、画面を見てはしゃいでいる。
「画面を大きくもできるから、遠くからでも見えるよ。音までは……あ、白魔法の『増幅・拡散』があったっけ?」
どこまで届くんだろ、あれ。
「いや、音は切符を購入した人の特典ということでいいんじゃないですか?」
騎士長官、結構商売人だな。
試合の前には聖歌隊とか大道芸人とかが歌や芸を披露して。
剣闘士による御前試合の後、ガイウスとルプスの試合になる流れだ。
切符の売り出しは、一ヶ月前からだそうだ。
今から問い合わせが殺到してるくらいだし、相当な倍率になりそうだな。
「あ、そうだ。ルプスも夕ご飯食べてかない?」
今日はガイウスが遅くなるというので。
一人で食事は寂しいと言ったら、騎士長官も付き合ってくれると言ってくれたのだ。
「……喜んで……!」
今日一番の笑顔を見せた。
*****
「いやあ、助かった。ありがとう。それとご馳走様」
ルプスはついでにガイウスに挨拶をしてから帰るというので、会議室の前で別れた。
すごいニュースを聞いちゃったけど。
当日まで秘密にしたいって言うので、ガイウスには内緒だ。
風呂へ向かう。
本来は三助的な使用人が居て、服の脱ぎ着を手伝ったり身体を洗ったりされるんだけど。
俺が来ると礼をして、外に出て待機しているようだ。
ガイウスが、俺の裸を他人に見せたくないとか我儘言うせいだ。
でも、正直いって他人に身体を洗われるのも何か嫌なので、嬉しい。
結局、俺の為かもしれない。
ガイウスは俺の気持ちを色々察知して気に掛けてくれるし。
愛されてるんだな。えへへ。
っと。
あんまり長湯したら警備してくれてる騎士長官に悪いや。
お風呂から上がって。
「今日も遅くまでありがとう。また明日」
「ではカナメ様、おやすみなさい」
騎士長官とも別れて、寝室の続き間へ。
ソファーに座って、ガイウスが戻ってくるのを待つ。
足音。
ガイウスだ。
「ガイウス、おかえりなさい」
部屋に入るなり、ガイウスの胸に飛びつく。
がっしりしてるから、揺らぐことなく、しっかり受け止められる。
「ただいま、私の可愛い后。愛しているよ、カナメ」
頬にキスされて。
「あ、ルプスに会えた? 挨拶してくって言ってたけど」
「……手荒い挨拶を貰ったよ」
微妙な顔をしてる。
何かあったのかな?
*****
その日の夜も、いっぱい愛されて。
翌朝、いつものように挨拶して、『神の加護』をかけて。
一緒に朝食をとって、一緒に城へ向かった。
手を握られて。
見上げると、にこっと笑う。
何度見てもドキドキしてしまう。
手を繋いで歩くなんて、恥ずかしいけど。
新婚だし、仕方ないよな。
「おはようございます、陛下、カナメ様」
騎士長官だ。
「おはよう」
ガイウスは平気な顔してるけど。
騎士長官は繋いだ手を見てる。見られちゃった。
思わず、ガイウスの腕に掴まったまま、後ろに隠れた。
マントを引っ張ったりして。
「おはよー」
にやにやしないでくれるかな!
執政官と按察官は既に来ていた。
早いな!
按察官は緊張した顔をしている。……ご、ごめんね、もっと早く来れば。2人っきりで気まずかったんだろうな。
「おはようございます」
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メンバーも揃ったので、会議開始だ。
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