魔王転生~勇者と魔族と人間と神、男の精気でレベルアップ!?

篠崎笙

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現世~ゼロの世界

ゼロの世界

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「てか、あんた誰だ?」
何で、俺を撥ねた男の情報とか知ってるんだ?


ここはどこだ?

周りは真っ暗で。
スポットライトのように、俺のとこだけ、明かりが当たってる感じだ。

「わたしは誰で、ここは何処だと思う?」

スポットライトは、声の主にも向けられた。
見ると、その男は大きな椅子に座って足を優雅に組み、にやにやしながらこちらを見ていた。

褐色の肌で、黒い髪。目は金色。顔立ちは、人形のようにやたらと整ってる。頭には、巻いた大きな角。
タキシードを改造したような黒い服。黒のマント。黒一色に、白い手袋だけ浮いたように見える。
ボタンやマント留めに宝石をあしらった衣装もそうだが。手にしている杖の細工も細かく、高価そうに見える。

マジシャン、ではないだろう。


どう見ても、立派な。
アレだ。


†††


「ずいぶん男前なコスプレイヤーだな?」

作品は何だろう。ここまでクオリティが高いコスプレだと、作者冥利につきるだろう。金色のカラコンとか、気合入ってるな。


男は、遠くをみるような眼差しをした。

「コスチュームをつけて、わたしに何をプレイしろと言うのだろう……」
俺に聞くな。

「君がまた、中学生の時にやった白雪姫の格好をしてくれるなら、リクエストにお応えしないわけでもないけどね?」

「!?」
貴様、何故俺の黒歴史を……!?

「小学生の時のシンデレラも愛らしかったが。高校生の時のジュリエットも清楚で素敵だったね。君は中学校までは一人称がボクで、内気でちょっとおませな読書好きの純情少年で、キュートだったのに。今はずいぶんと口調が荒れてしまって残念だ。……自分より可愛いから、という理由で告白した相手に振られたのがイメチェンの理由だったかな? 顔写真を出せば倍以上売れただろうと言われても、頑なに顔出ししなかったのは、相変わらず、少女のように愛らしいその容姿なせいかな?」

やめてぇ、もう是清クンのライフは(物理的に)ゼロよ!


「て、てめえストーカーかよ!?」
「わたしは暗黒大魔神、ゼロというものだ。結城是清よ、一億余名の大量殺戮の功績により、君を魔王として、異世界へ送ってあげよう」
ニイ、と笑った男の口元には、牙のように鋭い犬歯が。

一億余名の大量殺戮!? 俺が!? そんな人殺しだって?
身に覚えなんか、あるわけがないんだが。誤認逮捕の例は、いくつもある。


ボクは無実です!


†††


ゼロ、と名乗った暗黒大魔神に。
”紙面であろうが、大量の人間を様々な方法で惨殺したことにより、人心をすさませたのは魔王の席を与えてしかるべき功績である”と褒め讃えられた。
少しも褒めてねえけど。

おいおい……人心を荒ますほどの作品だったのかよ、俺の本。
……まるっきり悪書じゃねえか! そりゃ苦情が来て打ち切られるっての!


いや、違うんだ。最初はそうじゃなかった。
読者から、編集者から求められて。エスカレートしてったんだ。もっと悲劇を、もっと残酷に、もっと刺激的に、もっと話題性を、って。
そうしてるうち、感覚が麻痺してって。紙面で誰がどのように死んでも、何とも思わなくなった。

そうだ。
作者自身がキャラクターに愛情を持てない作品なんて、面白くも何ともないよな。
後悔しても、遅いけど。


しかし、この俺が、魔王か。
興味がないことはない。だって一応、作家だからな。

「ノルマとかあんの? 一日千人殺すべしとか」

イザナギイザナミの逸話みたいな。
さすがにそういった残虐行為なんて俺にはできないと思うが。


拍手された。
「いや、さすがわたしが魔王にと見込んだコレキヨ君だ。発想が邪悪だね! ブラック企業じゃあるまいし、ノルマなんて存在しないよ。新しい人生、いや魔王ライフか……君の好きなように生きたまえ」

ノルマゼロとか、ホワイト企業かよ。

……っていうか。
暗黒大魔神に発想が邪悪とか言われた俺はいったい。
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