魔王転生~勇者と魔族と人間と神、男の精気でレベルアップ!?

篠崎笙

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現世~ゼロの世界

異世界転生

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「魔王って、ビームとか……出せるのか……?」
ちょっとわくわくしながら聞いてしまう。

男として生まれたからには、一度は夢に思い描くアレ。
そう、ビーム的な未知なるパワーを放ってみたい、という欲求だ。


「もちろんだ。腕を一振りで辺り一面焼け野原だって可能だよ!」
魔神は、ぐっ、と俺に親指を立てて見せた。

マジか。
やったー! 暗黒大魔神様! サンキュー過ぎる! 愛してる!

「ははは、感謝のキスは唇でいいぞ」
いや、しねえし。


†††


「異世界に転生したら、もう、こっちには戻って来れないからね。他に質問は?」

魔神は、別に時間に限りはないので、気になることがあればいくらでも質問するが良い、と言った。
気になるのは、そりゃ。あの後、どうなったかだよな。


「……今までの俺は、どういう扱いになってる……?」

物語の世界では、存在自体がなかったことになったり、消えたり、死体はそのままだったり、色々だった。

「元の世界の君は、忽然と消えたことになっている。事故現場でもそうだよ? 血も全て回収したしね」

俺の死体をここに召喚して、蘇生させたらしいが。死体が消えた、ってことはトラックの運ちゃんは無罪放免になるのか。
夢かお化けでも見たって感じになるのか?そりゃありがたいっちゃありがたい。俺のせいで不幸になる人が出るのは避けたいからな。

「じゃ、今の俺の身体、どうなるんだ?」

どっかに転生させるってことは。
別にこの身体をここに呼び寄せる必要、なかったんじゃないか?


魔神はにっこりと優美な笑みを浮かべた。
「保存して、時々ドレスに着替えさせて愛でようかと思って」
「しね!!!!!!!!!!!!」

思わずマッハで突っ込んでしまった。

「くっ……この暗黒大魔神に対し、一切の躊躇なく呪いの言葉を吐くとは。ご褒美あざっす! 君はもう、心まで立派な魔王だネ!」

何で嬉しそうなんだよてめえ! 若干前かがみになってんじゃねえよ!
何だよご褒美って! ドMか!


「……では、グッドラック!」
暗黒大魔神がドクロ装飾の杖で地面をトン、と叩いた次の瞬間。


視界が暗転した。


†††


気がついたら、何も無い野原に立っていた。


空は曇天。
ちらちらと、白い雪が降っている。野原に薄っすら積もってるし。

うっわ、寒っ!? 心から冷え込む寒さに身体が震える。
……どこなんだ? ここ。

寒さに震えながら辺りを見回すが。辺りには誰もいないし、何も無いようだ。


俺は。
確か、打ち切りくらって。酒に酔って。道路交通法違反して、トラックに撥ねられて……。

……そうだ。
暗黒大魔神のゼロとかいう奴によって、魔王に転生させられた、はずだ。

じゃあ、ここは異世界なのか?

見たところ、どこにでもありそうな、ただの野原だ。
周囲を見ただけじゃ、異世界とかの違いがわからないんだが。とりあえず、真夜中ではなさそうな感じだ。雪降ってるせいで薄暗いけど。何となく、昼間っぽい。

自分の手を見てみるが、今までと特に変わったようには見えない。
赤ん坊からスタートよりはマシなんだろうが。まさか見た目も変わってないとか、ないよな?

あちこち触れて確かめてもみたが。
頭に角があるわけでも、鋭い牙が生えたわけでもないようだ。暗黒大魔神には立派な角が生えてたのに。
服は、簡素な黒い服に変わっていた。RPGで見る、魔法使いのローブみたいなビジュアルの、薄手の布の服っぽい。裸足だし!
おいおい、初期装備、これ一枚かよ?

寒いはずだ。魔王っぽいマントもないのかよ。
せめて布の靴くらい寄越やせケチ!


……おっと、そうだ。
を試してみないことには始まらない。


焼け野原になれ、とばかりにぶん、と手を振ってみたが。

……おいこら。
何も出ねえじゃねえか。どういうことだ。詐欺だったのか? ビーム的なアレ、出せるって言ったのに。
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