37 / 64
魔王への試練
北の王都へ
しおりを挟む
「レベルとか名前とかHP、MP、装備とかスキルとか称号とか見られる画面だけど。……まさか……これ、俺だけにしか見えないのか?」
そのまさかだった。
しかも、普通、魔法は長い呪文を覚えて詠唱する必要があるし、手に入れた装備やアイテムは全部自分の手で持ち歩かなきゃいけないという。
考えてみりゃ当たり前の話なんだが。
魔法はスキル一覧からポチッとすれば使えるし。装備も一括でできるし。荷物は全部、ステータスボックスにぶっこんでた……。
これ、そんなチートアイテムだったのか……。
ゲームに慣れてたせいか、ステータスバーとか見えても、違和感無かったんだよな。
†††
「第一、スキルが見えていたら、弱点がわかってしまうのではないか」
と言うけど。
「何で? 弱点とかは別に表示されてねえけど?」
得意なスキルや魔法から苦手なものが予想できるから、それをぶつければ勝てるだろう、とか言ってる。
なるほど、その手があったか。俺はそんなこと考えたことなかった。
やっぱりリオンの方が、魔王に向いてると思うんだが。
「……小鳥はそんな卑怯な真似をしなくとも、そのままで無敵だろうがね」
肩を竦めてみせた。
ああ、卑怯な作戦って自覚はあったんだな。
「でも俺、まだ魔界の四大公よりだいぶレベル低いし。無敵でも何でもねーけど……?」
まだ魔法の全てを把握して使いこなしてるわけじゃないから。
レベルが下でも、魔術のエキスパートであるスレイにも負けそうだ。
「君の提案、賛成してくれたのだろう? 信じられないことだよ。血を好み肉を食らい、ヒトを争わせるのが生き甲斐の魔族が、あの条件を呑むなんて。……皆、君を愛しているのだろうね」
どこか拗ねたようにリオンは言うが。
……そうかな? みんな、優しいけど。
まあ、魔族からの好意は感じるな。でも、それは俺が魔王だからだし。魔族は魔王に従うのが本能なんだ。そういう性質の生き物……魔物なので。
リオンは目を瞠った。
「ああ、そうか。それゆえ……魔神様は私に、魔王に次ぐ魔族にする、と仰られたのか。それだけの力があれば、魔王の伴侶と名乗りを上げても、口出しできまい」
「いや、アイツ、そんな親切じゃねえと思うぞ……」
絶対、何らかの嫌がらせを仕掛けてくる。
俺にはわかる。
†††
リオンの馬に同乗させてもらって、北の王都へ向かった。
そう遠い場所では無く、馬の足で半日くらいの距離だというが。……充分遠い気がするのは、移動魔法に慣れきってしまったせいだろうか。
だって魔法なら、場所の記録さえすれば、一度行った場所は一瞬で行けるもんな。
ヒトは一度楽をすることを覚えると、楽なほうへと堕落してしまう生き物なのである。
俺はもうヒトじゃねえけど。
リオンは移動魔法を持ってないのかと思ったら、もう二度とここには来ないだろうと思って、位置をチェックしておかなかったんだと。幼馴染だっていうのに。哀れ、国王。
しかし、ゲームの飛行艇とか空飛ぶ自動車みたいに、好きな場所に縦横無尽に移動できないのは不便だな。つってもゲームは限られたマップ内だけど。
移動魔法はいちいち自分がその場所へ行って記録しないとダメとか、面倒なこともある。
まあ、その点、一回覚えてしまえば超便利なんだが。
飛行魔法もあるが。鳥や竜以外で飛ぶものない世界だから、目立ってしまう。
†††
リオンの腕の中で。いつの間にか、眠っていたらしい。
王都の前で、揺り起こされた。
「小鳥、起きて。……くちづけで目覚めさせることが出来ないのが残念だ」
とか言いながら、額にキスされた。
……こいつはまったくもう。
何でこう、恥ずかしいことを呼吸をするように普通に言えるんだ!?
リオンの腕の中で安心しきって熟睡しちまう俺も俺だけど。
そのまさかだった。
しかも、普通、魔法は長い呪文を覚えて詠唱する必要があるし、手に入れた装備やアイテムは全部自分の手で持ち歩かなきゃいけないという。
考えてみりゃ当たり前の話なんだが。
魔法はスキル一覧からポチッとすれば使えるし。装備も一括でできるし。荷物は全部、ステータスボックスにぶっこんでた……。
これ、そんなチートアイテムだったのか……。
ゲームに慣れてたせいか、ステータスバーとか見えても、違和感無かったんだよな。
†††
「第一、スキルが見えていたら、弱点がわかってしまうのではないか」
と言うけど。
「何で? 弱点とかは別に表示されてねえけど?」
得意なスキルや魔法から苦手なものが予想できるから、それをぶつければ勝てるだろう、とか言ってる。
なるほど、その手があったか。俺はそんなこと考えたことなかった。
やっぱりリオンの方が、魔王に向いてると思うんだが。
「……小鳥はそんな卑怯な真似をしなくとも、そのままで無敵だろうがね」
肩を竦めてみせた。
ああ、卑怯な作戦って自覚はあったんだな。
「でも俺、まだ魔界の四大公よりだいぶレベル低いし。無敵でも何でもねーけど……?」
まだ魔法の全てを把握して使いこなしてるわけじゃないから。
レベルが下でも、魔術のエキスパートであるスレイにも負けそうだ。
「君の提案、賛成してくれたのだろう? 信じられないことだよ。血を好み肉を食らい、ヒトを争わせるのが生き甲斐の魔族が、あの条件を呑むなんて。……皆、君を愛しているのだろうね」
どこか拗ねたようにリオンは言うが。
……そうかな? みんな、優しいけど。
まあ、魔族からの好意は感じるな。でも、それは俺が魔王だからだし。魔族は魔王に従うのが本能なんだ。そういう性質の生き物……魔物なので。
リオンは目を瞠った。
「ああ、そうか。それゆえ……魔神様は私に、魔王に次ぐ魔族にする、と仰られたのか。それだけの力があれば、魔王の伴侶と名乗りを上げても、口出しできまい」
「いや、アイツ、そんな親切じゃねえと思うぞ……」
絶対、何らかの嫌がらせを仕掛けてくる。
俺にはわかる。
†††
リオンの馬に同乗させてもらって、北の王都へ向かった。
そう遠い場所では無く、馬の足で半日くらいの距離だというが。……充分遠い気がするのは、移動魔法に慣れきってしまったせいだろうか。
だって魔法なら、場所の記録さえすれば、一度行った場所は一瞬で行けるもんな。
ヒトは一度楽をすることを覚えると、楽なほうへと堕落してしまう生き物なのである。
俺はもうヒトじゃねえけど。
リオンは移動魔法を持ってないのかと思ったら、もう二度とここには来ないだろうと思って、位置をチェックしておかなかったんだと。幼馴染だっていうのに。哀れ、国王。
しかし、ゲームの飛行艇とか空飛ぶ自動車みたいに、好きな場所に縦横無尽に移動できないのは不便だな。つってもゲームは限られたマップ内だけど。
移動魔法はいちいち自分がその場所へ行って記録しないとダメとか、面倒なこともある。
まあ、その点、一回覚えてしまえば超便利なんだが。
飛行魔法もあるが。鳥や竜以外で飛ぶものない世界だから、目立ってしまう。
†††
リオンの腕の中で。いつの間にか、眠っていたらしい。
王都の前で、揺り起こされた。
「小鳥、起きて。……くちづけで目覚めさせることが出来ないのが残念だ」
とか言いながら、額にキスされた。
……こいつはまったくもう。
何でこう、恥ずかしいことを呼吸をするように普通に言えるんだ!?
リオンの腕の中で安心しきって熟睡しちまう俺も俺だけど。
7
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました
未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。
皆さまありがとうございます。
「ねえ、私だけを見て」
これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。
エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。
「この恋、早く諦めなくちゃ……」
本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。
この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。
番外編。
リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。
――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!
モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。
その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。
魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。
その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?!
ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる