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1 前世を思い出した
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ある日目が覚めると俺は気づいた。
ここは白雪姫の世界であるということを。
夢を見た。それは前世の夢だ。俺はニホンという国で学生をしていた。その世界には白雪姫という物語がある。
やさしくかわいいお姫様が意地悪な魔女に殺されかけ、森に逃げ込むのだ。そこで7人の小人と出会う。白雪姫は小人たちと楽しく生活をしていたが、ある日魔女に毒りんごを食べさせられ目を覚まさなくなってしまう。そこへたまたまやってきた王子様がキスをすることで毒は浄化され姫と王子は末永く幸せに暮らすそんな物語。
なんでキスをするだけで解毒効果があるのかツッコミどころ満載なお話だが、俺はその中の黄色の服を着た小人役らしい。
今までなんの疑いもなく小人人生を歩んでいたがまさかこれが物語の世界だったなんて…。
自分が白雪姫の世界の住人であると気づいたものの原作とは少し違うところがあるようだ。まず俺達小人はそんなに小さくないということ。身長は多分160はあると思う。
男にしては小柄なのかもしれない。
それから白雪姫は"優しくかわいいお姫様"ではないというところだ。
数週間前、確かに俺達の家に赤いドレスをきた美女がやってきた。しかし彼女はとても傲慢でワガママで自分勝手だった。
小人を子分のように扱い、家の家事から仕事まで一切手伝わない。機嫌が悪いときは暴力を振るい暴言をはく。
まるで前世のうちの妹みたいだ。俺たち小人は姫に手を焼いていた。
俺が弟のように思っている、青い帽子を被った小人のアオは気が弱い子だった。そのため姫に目をつけられ常に怒鳴られていた。
俺はそれが許せなかった。アオはとても繊細で優しい天使なのに傷つけるとか絶対許せない。
コンコン
部屋のドアがノックされる。
ドアがゆっくり開くと扉の隙間から青い帽子がひょっこり現れた。
「キイロ君起きた?」
「おはようアオ」
この子はアオ、俺の天使だ。彼は髪の毛も瞳も濃いめの青色をしている。光の当たり方によってキラキラと揺れる瞳は水面のようだといつも思う。身長は俺と同じくらい、年齢は一歳年下でタレ目の美少年だ。
それに対して俺はくすんだ黄色の髪の毛に、たいして大きくもない瞳、低い鼻の所謂平凡顔だった。
なぜモブの小人でここまで顔面に差があるのかは謎である。
アオは俺の部屋に入るとベッドの横に座ってマグカップを差し出してきた。
「ホットミルク作ってきた 一緒に飲も」
「おお、ありがとう」
俺は彼からコップを受け取る。
「キイロ君…ほ、ほんとうに今夜、逃げるの?」
そう、俺達は前々から脱走計画を練っていたのだ。傲慢なお姫様は出ていく様子はないから、俺達二人でどこか遠くへ逃げようと思っていた。そのためのお金もコツコツためてきた。
以前脱走を計画し姫にバレた小人はムチ打ちの罰を与えられていたっけ。脱走も命がけなのだ。
「そのことなんだけどさ やっぱりやめようと思う」
「え」
アオが不安そうにこちらを見る。
大丈夫。
もしも本当にここが白雪姫の世界ならばこれはチャンスだ。
「俺たちがリスクを取って逃げることないよ だってもうすぐ"迎え"がくるんだから」
ここは白雪姫の世界であるということを。
夢を見た。それは前世の夢だ。俺はニホンという国で学生をしていた。その世界には白雪姫という物語がある。
やさしくかわいいお姫様が意地悪な魔女に殺されかけ、森に逃げ込むのだ。そこで7人の小人と出会う。白雪姫は小人たちと楽しく生活をしていたが、ある日魔女に毒りんごを食べさせられ目を覚まさなくなってしまう。そこへたまたまやってきた王子様がキスをすることで毒は浄化され姫と王子は末永く幸せに暮らすそんな物語。
なんでキスをするだけで解毒効果があるのかツッコミどころ満載なお話だが、俺はその中の黄色の服を着た小人役らしい。
今までなんの疑いもなく小人人生を歩んでいたがまさかこれが物語の世界だったなんて…。
自分が白雪姫の世界の住人であると気づいたものの原作とは少し違うところがあるようだ。まず俺達小人はそんなに小さくないということ。身長は多分160はあると思う。
男にしては小柄なのかもしれない。
それから白雪姫は"優しくかわいいお姫様"ではないというところだ。
数週間前、確かに俺達の家に赤いドレスをきた美女がやってきた。しかし彼女はとても傲慢でワガママで自分勝手だった。
小人を子分のように扱い、家の家事から仕事まで一切手伝わない。機嫌が悪いときは暴力を振るい暴言をはく。
まるで前世のうちの妹みたいだ。俺たち小人は姫に手を焼いていた。
俺が弟のように思っている、青い帽子を被った小人のアオは気が弱い子だった。そのため姫に目をつけられ常に怒鳴られていた。
俺はそれが許せなかった。アオはとても繊細で優しい天使なのに傷つけるとか絶対許せない。
コンコン
部屋のドアがノックされる。
ドアがゆっくり開くと扉の隙間から青い帽子がひょっこり現れた。
「キイロ君起きた?」
「おはようアオ」
この子はアオ、俺の天使だ。彼は髪の毛も瞳も濃いめの青色をしている。光の当たり方によってキラキラと揺れる瞳は水面のようだといつも思う。身長は俺と同じくらい、年齢は一歳年下でタレ目の美少年だ。
それに対して俺はくすんだ黄色の髪の毛に、たいして大きくもない瞳、低い鼻の所謂平凡顔だった。
なぜモブの小人でここまで顔面に差があるのかは謎である。
アオは俺の部屋に入るとベッドの横に座ってマグカップを差し出してきた。
「ホットミルク作ってきた 一緒に飲も」
「おお、ありがとう」
俺は彼からコップを受け取る。
「キイロ君…ほ、ほんとうに今夜、逃げるの?」
そう、俺達は前々から脱走計画を練っていたのだ。傲慢なお姫様は出ていく様子はないから、俺達二人でどこか遠くへ逃げようと思っていた。そのためのお金もコツコツためてきた。
以前脱走を計画し姫にバレた小人はムチ打ちの罰を与えられていたっけ。脱走も命がけなのだ。
「そのことなんだけどさ やっぱりやめようと思う」
「え」
アオが不安そうにこちらを見る。
大丈夫。
もしも本当にここが白雪姫の世界ならばこれはチャンスだ。
「俺たちがリスクを取って逃げることないよ だってもうすぐ"迎え"がくるんだから」
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