【BL】【R18】金がないのでヴァンパイアに血と体を売ってる人間の話

ペーパーナイフ

文字の大きさ
38 / 46

38 血を飲ませて

しおりを挟む
俺は舞台の裏、楽屋へと向かった。
廊下は床も天井も真っ白でまるで病院みたいだ。長い廊下を突き進むと警備員さんに出会った。
事情を説明してロウの名前を出すとすんなり入れてもらうことができた。セキュリティガバくないか?

言われた通りロウの友達がいる楽屋へと足を運んでいると彼の声が聞こえてきた。

「あーもうやめろってくっつくなよ!」

「いいじゃん!来てくれたの嬉しい!愛してるよ~」

開けっ放しのドアから中を覗くと案の定目的の人物がいた。
鏡と椅子がたくさん並んでいる小部屋の中央に和服を着た男子がロウに抱きついている。

「ロウ」
俺が名前を呼ぶと彼はギョッと目を見開いた。

「な、なんでここに…?!違うっこれは違うんだ」

「?」

「あれ~もしかしてロウのお友達?」

和服男子はよく見たらさっきの舞台に出ていた人だ。

「はいそうです!忘れ物届けに来て…あの舞台すごく良かったです」

俺はペコリと頭を下げた。すごい。遠くにいた人がこんなに近くにいる。不思議な気分だ。

「あぁ、鞄か。別に良かったのに。ありがとな」

彼がバッグを受け取るとポトリ。箱が落ちた。

「あ」

「なにこれ~?」
友達はそれを拾い上げると箱を開けた。
すると中には銀のブレスレットが入っていた。
やっぱりアクセサリーだったんだ。

「うわっすご」

「あーそれお前にやるわ」
ロウは箱を押し付けると抱きついていた彼を振り払った。

「え?いいの?」

「ん。舞台祝いってことでお前にくれてやる」

「うわっやったぁ」
箱を受け取った彼は嬉しそうに飛び跳ねた。その横でロウが小さく呟く。

「どうせあげても迷惑になるだろうし…」

迷惑?

「行こうぜノイス」

言葉の意味を考える余裕もなく、それだけ言うと彼は廊下まで俺の背中を押した。

「これ!大切にするから!また見に来てよ」

友人は後ろで何度も手を振った。ロウは一瞬振り返ると微笑み、その場をあとにした。

「すごく良かった。なんか俳優さんも人間なんだなって実感した!」

みんなの元へ帰る途中、雑談しながら廊下を進む。

「あぁ確かに。話に夢中になると…っ」

するといきなり彼はフラッとその場に崩れ落ちた。

「えっ…?!だ、大丈夫?」

ロウはその場でうずくまったまま立ち上がらない。屈んで様子をうかがうと苦しそうだ。

「やっぱり体調悪いの…?」

「いや…貧血なだけ。少ししてれば治るから」

最近食欲がないと言っていたがもしかしてそれが関係しているのだろうか。彼は額を抑えながら壁にもたれかかった。

「それってさ…もしかして俺のせい…?」
俺はずっと懸念していたことを呟いた。

「は?」

「俺が血をあげなくなったから…栄養不足なのかとおもって…」

「…」

ロウはこちらをじっと見つめた。そして。

「違う」

そう冷たく言い放った。

「本当に?」

それでも食い下がる俺に一言。

「じゃあ飲ませてって言ったらくれるの?」

目をまっすぐ見つめて呟いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

平凡な俺が総受け⁈

雫@不定期更新
BL
高校生活一日目で車にひかれ異世界へ転生。顔は変わらず外れくじを引いたかと思ったがイケメンに溺愛され総受けになる物語です。

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

処理中です...