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まだ見ぬ手掛かり 後編
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朝。
窓を開けると気持ちのいい風と街の生活音が入ってきた。
夜中に雨でも降ったのだろうか?
雨上がりの独特な匂いが風に乗ってくる。
カンナギはベッドに座り直し、軽くストレッチをする。
「ん、違和感なし。やっぱベッドいいな……」
隣のベッドにふと視線を送ると
ザッシュが大の字で掛け布団を蹴落とし気持ちよさげに寝ていた。
昨夜夕食の後、ミリノの長そうな話が始まると同時に
部屋に戻ったのだが
ザッシュが部屋に戻ってきた事に全く気付かなかった。
居心地の良い場所に留まりすぎて警戒心が薄れているのかもしれない。
「ザッシュと交代して森にでも潜るか……」
寝ているザッシュに声をかけようとしたところで
控えめなノックと同時にミリノがドアから顔を出す
「ナギ、ザッシュ、起きてる?」
「ん?ああ、今ザッシュも起こそうとしてたところだ」
ドアを後ろ手に閉め、備え付きの椅子に腰を掛けるが
視線を下に向け口は閉ざしたままだ。
「腹、へったか?さっさと起こして―――」
「あ、あのね」
遮るようにミリノが口を開いた。
大きな声ではなかったが、しっかりとした口調で。
「昨日のザッシュが言ってたことなんだけどさ。アタシ、やっぱ会いに行きたいんだ。
危険も孕んでるのはわかってる。でも……」
「なんや?ワイらが止めるとでもおもーてるんか?」
いつのまにか起きていたザッシュが大の字のままミリノに投げかけた。
寝たまま足だけ組みなおし、枕元のたばこに手を伸ばしながら続ける。
「ミリノの前で名前出した時点で、会う言う事くらいわかってんで。せやろ?」
「まぁな。ってかそこくらいしか手掛かりがないんだ。行くしかないだろ」
「ナギ……ザッシュ……」
ごめんと呟きながら視線をこちらに向けたミリノの表情はまだなにかしら言いたげだった。
「…‥ったく。神妙な雰囲気で入ってきたから何事かと思いきや」
「だって!二つ名持ちなんだよ!?わかってるでしょ、二つ名ってのは大掛かりな、
世間になにかしら影響を与えたからつけられたって!」
「はいは~~い、ワイも持ってんでー、二つ名」
ミリノの言う通り。
二つ名というのは言葉の響きに関わらず何かしらやらかした過去がある証拠だった。
彼女の過去については昨日に限らず話し出した事があったので
カンナギもザッシュも知っていた。
その後、彼女の恩人が何かをした事により〝流星王〟という二つ名がついたんだろう。
何をしでかし、その二つ名が付けられたのか定かではなく
過去の恩人であろうと今こちらに危害を加えてこないとは言い切れない。
守る対象があり、追われる身でもある今
みずから危険に首を突っ込むタイミングではないのでは?と言いたいのだろう。
「ま、会えばわかるだろ。ミスティも言ってただろ、核石同士は近づけばわかるって。
なんも手掛かりがないとこに、そいつの情報が入ったんだ。行く以外に選択肢ないんだ」
会話が通じるといいなとナギは続けながらミリノの肩に手を置いた。
そうと決まれば腹ごしらえだ!とザッシュは起き上がり
まだ寝ているであろう少女を起こしに行った。
幾分かミリノの表情から強張りが解けたのを確認し
カンナギもザッシュに続く。
「考えすぎても意味ない、かぁ」
一人残されたミリノは窓から空を見上げ呟く。
よし!と両頬を叩き食堂へと足を向けた。
窓を開けると気持ちのいい風と街の生活音が入ってきた。
夜中に雨でも降ったのだろうか?
雨上がりの独特な匂いが風に乗ってくる。
カンナギはベッドに座り直し、軽くストレッチをする。
「ん、違和感なし。やっぱベッドいいな……」
隣のベッドにふと視線を送ると
ザッシュが大の字で掛け布団を蹴落とし気持ちよさげに寝ていた。
昨夜夕食の後、ミリノの長そうな話が始まると同時に
部屋に戻ったのだが
ザッシュが部屋に戻ってきた事に全く気付かなかった。
居心地の良い場所に留まりすぎて警戒心が薄れているのかもしれない。
「ザッシュと交代して森にでも潜るか……」
寝ているザッシュに声をかけようとしたところで
控えめなノックと同時にミリノがドアから顔を出す
「ナギ、ザッシュ、起きてる?」
「ん?ああ、今ザッシュも起こそうとしてたところだ」
ドアを後ろ手に閉め、備え付きの椅子に腰を掛けるが
視線を下に向け口は閉ざしたままだ。
「腹、へったか?さっさと起こして―――」
「あ、あのね」
遮るようにミリノが口を開いた。
大きな声ではなかったが、しっかりとした口調で。
「昨日のザッシュが言ってたことなんだけどさ。アタシ、やっぱ会いに行きたいんだ。
危険も孕んでるのはわかってる。でも……」
「なんや?ワイらが止めるとでもおもーてるんか?」
いつのまにか起きていたザッシュが大の字のままミリノに投げかけた。
寝たまま足だけ組みなおし、枕元のたばこに手を伸ばしながら続ける。
「ミリノの前で名前出した時点で、会う言う事くらいわかってんで。せやろ?」
「まぁな。ってかそこくらいしか手掛かりがないんだ。行くしかないだろ」
「ナギ……ザッシュ……」
ごめんと呟きながら視線をこちらに向けたミリノの表情はまだなにかしら言いたげだった。
「…‥ったく。神妙な雰囲気で入ってきたから何事かと思いきや」
「だって!二つ名持ちなんだよ!?わかってるでしょ、二つ名ってのは大掛かりな、
世間になにかしら影響を与えたからつけられたって!」
「はいは~~い、ワイも持ってんでー、二つ名」
ミリノの言う通り。
二つ名というのは言葉の響きに関わらず何かしらやらかした過去がある証拠だった。
彼女の過去については昨日に限らず話し出した事があったので
カンナギもザッシュも知っていた。
その後、彼女の恩人が何かをした事により〝流星王〟という二つ名がついたんだろう。
何をしでかし、その二つ名が付けられたのか定かではなく
過去の恩人であろうと今こちらに危害を加えてこないとは言い切れない。
守る対象があり、追われる身でもある今
みずから危険に首を突っ込むタイミングではないのでは?と言いたいのだろう。
「ま、会えばわかるだろ。ミスティも言ってただろ、核石同士は近づけばわかるって。
なんも手掛かりがないとこに、そいつの情報が入ったんだ。行く以外に選択肢ないんだ」
会話が通じるといいなとナギは続けながらミリノの肩に手を置いた。
そうと決まれば腹ごしらえだ!とザッシュは起き上がり
まだ寝ているであろう少女を起こしに行った。
幾分かミリノの表情から強張りが解けたのを確認し
カンナギもザッシュに続く。
「考えすぎても意味ない、かぁ」
一人残されたミリノは窓から空を見上げ呟く。
よし!と両頬を叩き食堂へと足を向けた。
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