終生飼育は原則ですから

被保護編 337年

337年12月6-1

　慣れておくべきだというレイサスの主張に従い、レイサスが作ってくれたドレスを着た。
　裾の長さとヒールには、確かに慣れておく必要がある。

　ドレスは暗い赤で、首回りが開いたデザインだった。フリルは少ないけれどこのスカートのボリューム。贅沢。
　首回りの開き方はかなり狭くしたんだけど、それでも広い。私の修正後、広くされたんじゃないか。ドレス単体として見るなら広い方がきれいだけど、着るのは私だから。胸がないと寂しくなるから。

　それにしても、全身脱毛をしておいて本当に良かった。
　こんなドレスを試しに着ろって言われても、試しに着るためにいろいろ剃らないといけないから。普通の女はいつでも準備万端ってわけにはいかないでしょ。即座に着られるのはクリスみたいな恵まれた人だけだと思いたい。

　なぜ脱毛したのかと言うと、うかつに事故れないし病気にもなれない。いきなり手術とか、入院して入浴とか、それは無理だと思ったからです。あと介護されるときも恥ずかしいとか。
　先々のことを考えて、ようやく重い腰を上げてやったけど、もっと早くすればよかった。ものすごく楽だし、いつでも毛がないというのは幸せです。

　ドレスと共布の靴も用意されているけど、絶対踏むから違うのを履く。汚れがついたらもったいない。
　このヒールでレイサスを踏まないように気をつけないと。全治二週間くらいになるかもしれない。時間を取らせた上にさらに時間を奪うなんて絶対に避けないと。