終生飼育は原則ですから

被保護編 337年

337年12月6-2

　着替えたドレスのスカートをつかみ上げてホールに行った。寒いいい。
　私を見たレイサスが微笑んで褒めてくれるけど、レイサスは常に褒めるからね。いいことだ。人は褒めて伸ばさないと。

　立ち方や簡単な足の運びは知っている。例によってマンガから。
　しかし男性とこんなに近づくものなの？　やっぱり体験しないとわからないことは多いな。

　レイサスの手が腰に当てられているし、顔が近い。これは慣れが必要だ。
　足を踏みたくないから距離がほしいんだけど、それが無理なのがダンスなのか。だから息が合うって重要なんだ。いやほんと近いわ。

　シルヴィオがヴァイオリンを弾いてくれた。ヴァイオリン、この世界にもあるんだ。終わったらちょっと弾かせてもらいたい。
　私はピアノとヴァイオリンができる。

　私は少し練習をすれば、何でも、すぐに人より少し上手いくらいのレベルになる。
　ただいっぱい練習をしても、そこからさほど上達しない。器用貧乏ってやつ？
　何でもできるけど、仕事にできるレベルじゃないしそれほど好きなわけでもない。
　ほんとにつまらない、役に立たない人間だよ。趣味がやたらに多いだけ。

　女性パートをマスターしてから男性パート教えてもらうことになった。
　ダンスは男性がリードするものっていうから、女性パートが先なのはやりやすそう。比較すれば。

　途中数回つまずいて転びかけた。レイサスが支えてくれたけど、そのまま手を離してくれた方が私にはよかったかもしれない。密着は避けたい。破壊力が。
　ダンスはハードだというのは本当だった。実体験は重要だ。ちょっと踊らせてもらっただけで息が上がる。

　レイサスは全然大丈夫だ。さすが。鍛え方が違う。
　明日もやるということで早めに終わった。だけど筋肉痛になりそう。二日後くらいに。
　汗までは出ないけど、かなり暖かくなった。運動は大変エコな暖房方法だ。