終生飼育は原則ですから

被保護編 338年

338年1月12

　上の方で物音が続き、怒声や悲鳴が聞こえた。
　もしかしてレイサスかな。護衛は無事だったのかな。
　ファリオンが物音に気を取られたので、手を握って注意を促す。痛い。こういうときが一番危ないんだ。
　二人でソサイゾと王妃と男たちを警戒していると、ドアの向こうで剣戟が聞こえ、ドアが開いた。

　レイサスとエランと護衛たちが入ってきた。王妃を見て一瞬驚いていた。
　レイサスが私のところに来た。エランほかがソサイゾたちを追い詰め拘束している。助かったのか。
「ともや、ともや・・・」
　ファリオンに代わって抱きしめようとしてくれてるけど、痛いのでさわらないでほしい。

「何をされた、どこを傷めている、内臓は？」
「右上腕骨が折れた。あとは無事。打撲。ファリオンが守ってくれた」
　レイサスが沈痛な顔をしているけど、痛いのは私だし、痛いだけだから。
　慎重に抱き上げられたけど、ものすごい痛さだった。だけど自分で歩くこともできないから仕方ない。私は重いのにありがたいです。

　その後馬車に乗せられ、振動による痛みの中、思いもかけず気が遠くなりました。なんでこんなときに。安心したのもあると思うけど。