終生飼育は原則ですから

被保護編 338年

338年2月2-1

　ようやく普通に動けるようになった。う痛ぇとか思わなくても動けるし、右腕も肩を回したりはやっている。
　筋肉が落ちて右と左で太さが違うけど、もう吊っていた手も下ろすんだ。もっと早くてもいいと思うんだけど、いろいろな人から止められてうるさかった。

　フィゾは、ブラッシングには行っているけど、世話を頼んでいるしほとんど乗っていない。
　五日前に無理を言って乗せてもらったけど、腕にひびいたんであきらめた。
　脚が、尻がたるむ。これはまた乗ったら筋肉痛だ。

　レンツォーリに呼び方を変えるように頼んだ。姫って何？　姫？　恥ずかしすぎる。
　拒否された。レンツォーリにとっては、私の行動が姫君の理想に近かったらしい。レンツォーリの理想の姫像は特殊だ。

　それはともかくとにかく呼び方を変えろと命令したけど、雇用主はレイサスだからと従ってくれなかった。
　そういうどうでもいいことにこだわる暇があったら仕事をしろですと。私が助けたのに。恩知らずなやつ。

　レイサスから命令してもらいたかったけど、何でこういう頼みは聞いてくれないのか。してほしいことはないかとしつこく聞いてくるのに、どうして私が頼んだことをしてくれないのか。

　ひとりでわーわー言っていると空しくなってきたので諦めました。
　会う人みんなに説明したい。私が呼ばせているわけじゃないからね。

　しかし考えれば、姫＝若い美女もしくは美少女という思い込みも偏見か。いやいや生まれがいい人＝姫なんだから、やっぱり私には該当しない。
　しかし諦めるしかないか。確かにこんなくだらないことにかかずらっている時間はない。