終生飼育は原則ですから

被保護編 338年

338年2月2-2

　そしてもっとありえないことに、断りきれず、というか見捨てられず、レイサスとまだ一緒に寝ている。クリスになんて言ったらいいのか。

　心配させたことは反省している。だから私をひとりにするのが不安だと言われると、まあそうだろうねぇ。
　心配させたことは反省しているけど、やったことは反省していない。仕方ないことだったし、当然のことをしただけだ。次も似たようなことが起こらないとは限らないから、強く断れない。

　触れ合うとオキシトシンが分泌されるそうだけど、たぶん分泌されてる。腕とか脚が触れていると気持ちがいい。これはレイサスがイケメンなせいか？　誰が相手でもそうなのか？　いや違うか。レンツォーリのときはほんと気持ち悪かった。あれは状況が悪いのか。
　しかしオキシトシンはペットとの触れ合いでも出るので、私は猫で充分だ。

　レンツォーリは大変まじめに勤めている。勤務条件はレイサスとの間で決まっていて、私には二人とも教えてくれない。
　言われたことはやるし、許してくれるなら自分でも動くというので許すことにする。

　イユリスではレイサスに敵対する、暴力をもって敵対する勢力はほぼないだろう。
　ソサイゾの鉱山の裏社会が少し気になるけど、そういうところを探る方法を私は指示できない。勝手にやってもらうのが一番だ。

　私は休みを増やしてもらった。
　やっぱり週一日の休みだと辛い。
　土曜日も休みになったので、休みに寝ることに全力を注がなくてもよくなった。
　レイサスはものすごい仕事量をこなしている。それでいて週に一度の休みでも余裕がある。体力の差だろうか。それより性格の差か。私は家から出るだけで疲れる。

　それにしても、レイサスは有能だ。
　上に立つ人ってクレーム受付係だよね。とめどなくクレームは届き、それはうまく解決されることが前提で、へまをするとものすごく責められる。
　解決するにはあらゆる分野に通じていないといけなくて、関わる人間のことも把握していないといけない。

　いやぁすごいわ。一国の頂点に立つって、いや肩書きはまだだけど、できるのはすごいわ。
　私は到底及ばないので休ませてもらいます。