終生飼育は原則ですから

被保護編 339年

339年1月1-2

　そのときハンクラス校長が入ってきた。隣のご夫妻が息子の伯爵夫妻なんだろう。
　三人で国王夫妻に挨拶に来た。

「セルディオ殿、校長に着いてくれたことを感謝している」
「私が感謝申し上げるべきです。生涯の終わりにこれほど名誉な役目をいただけるとは。老骨を拾ってくださりありがとうございます」
「オーサーがあなたを説得してくれて本当によかったこと」
「声をかけてくださったあの日は忘れません」
　私を見ながらしゃべっているけど、私は雑用係だから。責任者はレイサス、もしくは国王で、感謝は責任者にどうぞ。

「オーサー殿、一瞬どなたかわかりませんでした。美しい、いやいつもお美しいが、今日はいつにもましてお綺麗ですな」
「ありがとうございます。いつもよりもお金がかかっているので、きれいに見えていればうれしいです」
　微笑み合う。いつも私は金金予算って言ってるから。
「おそらくかけた費用以上に綺麗だと思いますよ」
　それはどうかな。この布、かなり高いよ。
「この老人と踊っていただけますか？」
「口うるさいおばさんでよければ喜んで」

　ハンクラス校長とのダンスは余裕があっていい。レイサスとだと、なんかこう、私がいっぱいいっぱいになる。
「お誘いしない方がよかったかもしれませんな」
「すみません、私はダンスに慣れていないんです」
「いやいやお上手です。あなたのお相手が気にされているようで」
　チラッとレイサスを見ると目が合った。レイサス以外と踊るのは初めてだからね。キーナさんを踊らせたことはあるけど。
「私が校長を骨折させでもしたら大変ですからね」

　一曲踊り終わって戻ると、すぐにレイサスに連れ出されて踊り、戻ると学校で教師をしてくれている貴族数人から誘われた。
　同僚だけど断った。もうかなり踊っているし、体力がもたない。