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被保護編 339年
339年3月8-1
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夕食後、談話室で本を読むともやの隣に座り、腕を肩に回した。
「こんなところでくっつかないでほしい」
「場所が悪いのなら移動しよう」
「そういうことじゃなくて」
怒っているような悲しそうな寂しそうな表情だ。
「考えていることを言ってくれ。あなたの考えは言ってもらわないとわからない」
目をつぶって小さく息を吐いた。
「人間の感情は、結局は脳内の化学物質によって引き起こされる。好き嫌い楽しい悲しいは化学物質なの。その感情は長くは続かない。分泌器官も受容器官も慣れるから。同じ刺激だと反応は減退する」
理解させる気はないな。どうせ理解できないと思っているのか。私はそれなりに理解できる。ともやのマンガを読んでいた。
「恋愛感情だと寿命は大体三年。それ以降は家族的な情として続くかもしれない。けれど三年。今なんと言われても、脳内麻薬が大量に出ているんだなとしか思えない」
「それを出しているのも私だろう」
「そう、だね。じゃあそれがなぜ出るのか。レイサスは何もわからないところに連れて行かれて私しか頼れなかった。女性嫌悪もあったでしょ。ただひたすら縋るしかなくて、それが手に入らなかった母のように側にいれば、まあこういう結果になるでしょうね」
「あなたは母ではない」
「だからこんなことになっている。けれどこれは状況が用意した感情だから。ありがたいけど、もっと冷静になってほしい」
「あなたが今後ずっと私の側にいるなら冷静になれる。離れようとしているだろう?」
目を逸らす。
「結婚してほしい」
「それは無理」
「無理だと思っているのはあなただけだ。大体あなたと結婚しないと民に失望される」
「大衆は愚かです」
愚か。大衆の為にこれだけ苦労しているのにそれを言うか。
「それに流されず国の利益を考えるのが指導者の役目だから」
水掛け論だ。どうして彼女の自己評価はこんなに低いのだろう。
「あなたの世界では、皆愛は冷めると考えながら人を愛しているのか、違うだろう」
「そう違う。だけど考えちゃうんだよね。なんでだろう。これが猫ならいつでも好き、ずっと好き、理由なんかなく好きだと言えるのに不思議だ」
「私にとってあなたは、あなたが猫が好きなように好きだ。理由はない。これからも間違いなく愛し続ける」
有り得ないと言う顔をしている。どうして私の言葉は信じないんだ。
「こんなところでくっつかないでほしい」
「場所が悪いのなら移動しよう」
「そういうことじゃなくて」
怒っているような悲しそうな寂しそうな表情だ。
「考えていることを言ってくれ。あなたの考えは言ってもらわないとわからない」
目をつぶって小さく息を吐いた。
「人間の感情は、結局は脳内の化学物質によって引き起こされる。好き嫌い楽しい悲しいは化学物質なの。その感情は長くは続かない。分泌器官も受容器官も慣れるから。同じ刺激だと反応は減退する」
理解させる気はないな。どうせ理解できないと思っているのか。私はそれなりに理解できる。ともやのマンガを読んでいた。
「恋愛感情だと寿命は大体三年。それ以降は家族的な情として続くかもしれない。けれど三年。今なんと言われても、脳内麻薬が大量に出ているんだなとしか思えない」
「それを出しているのも私だろう」
「そう、だね。じゃあそれがなぜ出るのか。レイサスは何もわからないところに連れて行かれて私しか頼れなかった。女性嫌悪もあったでしょ。ただひたすら縋るしかなくて、それが手に入らなかった母のように側にいれば、まあこういう結果になるでしょうね」
「あなたは母ではない」
「だからこんなことになっている。けれどこれは状況が用意した感情だから。ありがたいけど、もっと冷静になってほしい」
「あなたが今後ずっと私の側にいるなら冷静になれる。離れようとしているだろう?」
目を逸らす。
「結婚してほしい」
「それは無理」
「無理だと思っているのはあなただけだ。大体あなたと結婚しないと民に失望される」
「大衆は愚かです」
愚か。大衆の為にこれだけ苦労しているのにそれを言うか。
「それに流されず国の利益を考えるのが指導者の役目だから」
水掛け論だ。どうして彼女の自己評価はこんなに低いのだろう。
「あなたの世界では、皆愛は冷めると考えながら人を愛しているのか、違うだろう」
「そう違う。だけど考えちゃうんだよね。なんでだろう。これが猫ならいつでも好き、ずっと好き、理由なんかなく好きだと言えるのに不思議だ」
「私にとってあなたは、あなたが猫が好きなように好きだ。理由はない。これからも間違いなく愛し続ける」
有り得ないと言う顔をしている。どうして私の言葉は信じないんだ。
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