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被保護編 339年
339年8月2-1
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あの女は料理もできた。何ができないのかを教えてくれ。
できないのは、たぶん、かわいらしく甘えることだ。頬にキスされて心から驚き、さらにキスされそうになって普通はあんなに逃げるか? いい加減慣れるだろ。あれだけ毎晩一緒なんだから。
何をやっているのかとか、何を話しているのか気になる。ぜんぜん発展してない。
王太子もあれだけ好きならさっさと結婚すればいい。
それが、今ではコウジュとオーサーの方が親しく見える。オレとオーサーの方がまだ近いくらいだ。
放っておけばオーサーはどんどん知り合いを増やし、その中からあの女が愛する人間が出るかもしれない。
オーサーに面会してほしい人間は山ほどいるし、今みたいに無茶な話でも見捨てないで考えてやる男もいる。義務とか利益とか同情じゃなくて、愛情だったらどうするんだ。
「そんな・・・それじゃあ遅すぎる」
せっかくオーサーが案を出してやったのに、必要もないのに考えてやったのに、男は不満か。
こういう奴らって、弱さに満足してるんだ。自分は弱くて何もできないから何とかしてって。誰かどうにかしてくれるだろうと思ってる。オレもそう思っていたからよくわかる。
「そうですね。けれど私ができることはこれだけです。軍を遠征させることはできない。ランリス王に意見もお願いもすることもできない。そもそも、そうさせているのはソファリスでしょうから」
たぶんソウシュウ陛下が。
「・・・」
「あなたの名前は?」
「・・・カンディ」
カンディは、疲れた体を動かしてきた気力が抜けたみたいだ。
「紹介しなくてもいいんですか? あなたができることはまだある。残してきた人たちのことを説明できるのはあなただけだ。あなたが諦めれば、何も変わらない」
オーサーは、たぶん疲れてすがる人間には冷たく見える顔をしている。
「あなたが動かなければ私は何もしません。そこまでする義理も義務もない。そこまで優しくもない。けれどあなたがやると言うなら、人を紹介するぐらいはします。救えるのはあなただけだ」
オーサーは優しい。見捨てればいいのに、諦めるな手をつかめと言っている。
カンディが力の抜けていた体を起こした。
「やります」
オーサーは小さく笑ったけど、悲しそうでもあった。何を考えているんだろうな。
「あなたの話を聞いてもいいという記者を集めますが、少し時間がかかります。それまでの間、食事をしていてください」
すでに用意させていたオートミールの粥を食べ終わる少し前に、ファリオン王子が新聞社や雑誌社の社長たちと入ってきた。
できないのは、たぶん、かわいらしく甘えることだ。頬にキスされて心から驚き、さらにキスされそうになって普通はあんなに逃げるか? いい加減慣れるだろ。あれだけ毎晩一緒なんだから。
何をやっているのかとか、何を話しているのか気になる。ぜんぜん発展してない。
王太子もあれだけ好きならさっさと結婚すればいい。
それが、今ではコウジュとオーサーの方が親しく見える。オレとオーサーの方がまだ近いくらいだ。
放っておけばオーサーはどんどん知り合いを増やし、その中からあの女が愛する人間が出るかもしれない。
オーサーに面会してほしい人間は山ほどいるし、今みたいに無茶な話でも見捨てないで考えてやる男もいる。義務とか利益とか同情じゃなくて、愛情だったらどうするんだ。
「そんな・・・それじゃあ遅すぎる」
せっかくオーサーが案を出してやったのに、必要もないのに考えてやったのに、男は不満か。
こういう奴らって、弱さに満足してるんだ。自分は弱くて何もできないから何とかしてって。誰かどうにかしてくれるだろうと思ってる。オレもそう思っていたからよくわかる。
「そうですね。けれど私ができることはこれだけです。軍を遠征させることはできない。ランリス王に意見もお願いもすることもできない。そもそも、そうさせているのはソファリスでしょうから」
たぶんソウシュウ陛下が。
「・・・」
「あなたの名前は?」
「・・・カンディ」
カンディは、疲れた体を動かしてきた気力が抜けたみたいだ。
「紹介しなくてもいいんですか? あなたができることはまだある。残してきた人たちのことを説明できるのはあなただけだ。あなたが諦めれば、何も変わらない」
オーサーは、たぶん疲れてすがる人間には冷たく見える顔をしている。
「あなたが動かなければ私は何もしません。そこまでする義理も義務もない。そこまで優しくもない。けれどあなたがやると言うなら、人を紹介するぐらいはします。救えるのはあなただけだ」
オーサーは優しい。見捨てればいいのに、諦めるな手をつかめと言っている。
カンディが力の抜けていた体を起こした。
「やります」
オーサーは小さく笑ったけど、悲しそうでもあった。何を考えているんだろうな。
「あなたの話を聞いてもいいという記者を集めますが、少し時間がかかります。それまでの間、食事をしていてください」
すでに用意させていたオートミールの粥を食べ終わる少し前に、ファリオン王子が新聞社や雑誌社の社長たちと入ってきた。
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