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被保護編 342年
342年11月1-2
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もうすぐ十二月になるころ、王子様が皇叔邸に現れた。一人だ。誰もついていない。本当に一人か。
荒んだな。
こういう人間を見かけたら避けることにしている。この世が壊れてもいいと思っているような人間は、関わるとろくなことがない。それが王太子か。
「ともやの様子は?」
「変わらない。あまりよくない」
目を閉じて苦しんでいる。姫さんよりも苦しそうだ。
「ソウシュウ殿下に会いたい。取り次いでくれ」
皇叔は驚かなかった。驚いているかもしれないけど表情は変わらない。この人はいつもこうだな。
王子様を招き入れた。玄関に近い、姫さんの部屋から遠い部屋に。
「久し振りにお会いする。招待はしておらず、訪問の知らせも届いていないが」
「私は今はただの平民です。お会いいただきありがとうございます」
跪いて礼をする。
平民ね。生まれながらの王子様が平民か。
「・・・国を捨てたか。彼女は望まぬだろう」
「座視してはいられない。もしも何かあった時に側にいられなければ一生後悔する。今も既に後悔している」
「・・・」
「ソファリスに滞在する許可をいただきたい」
二人は見詰め合っていた。
皇叔が王子様の追放や始末を命じたら、姫さんを連れて王子様と逃げないとな。
現実的にはかなり難しい状況だが、俺が止めて、王子様が姫さんを抱えて走ればどうにかなるかもしれない。
姫さんは抵抗するかもしれない。感情に流されない人だから、自分を連れて逃げる王子様の将来を心配するだろう。
だけど違うかもしれない。王子様に会ってどんな反応をするか見てみたい。会わせてやりたい。
「邸に部屋を用意させよう。だが彼女の前には出ず、存在も知らせるな。知れば追放する」
この人も不思議な人だ。姫さんを愛しているのはわかる。なら解放してやればいい。鎖に繋がれているって状況だけで弱る人間を、それでも繋いでいたいのか。
「感謝します」
姫さんにとっては何も変わらない。だけど俺は少し楽になった。
苦悩する人間が一人増えたが、想像するより目の当たりにしたほうがマシだな。
荒んだな。
こういう人間を見かけたら避けることにしている。この世が壊れてもいいと思っているような人間は、関わるとろくなことがない。それが王太子か。
「ともやの様子は?」
「変わらない。あまりよくない」
目を閉じて苦しんでいる。姫さんよりも苦しそうだ。
「ソウシュウ殿下に会いたい。取り次いでくれ」
皇叔は驚かなかった。驚いているかもしれないけど表情は変わらない。この人はいつもこうだな。
王子様を招き入れた。玄関に近い、姫さんの部屋から遠い部屋に。
「久し振りにお会いする。招待はしておらず、訪問の知らせも届いていないが」
「私は今はただの平民です。お会いいただきありがとうございます」
跪いて礼をする。
平民ね。生まれながらの王子様が平民か。
「・・・国を捨てたか。彼女は望まぬだろう」
「座視してはいられない。もしも何かあった時に側にいられなければ一生後悔する。今も既に後悔している」
「・・・」
「ソファリスに滞在する許可をいただきたい」
二人は見詰め合っていた。
皇叔が王子様の追放や始末を命じたら、姫さんを連れて王子様と逃げないとな。
現実的にはかなり難しい状況だが、俺が止めて、王子様が姫さんを抱えて走ればどうにかなるかもしれない。
姫さんは抵抗するかもしれない。感情に流されない人だから、自分を連れて逃げる王子様の将来を心配するだろう。
だけど違うかもしれない。王子様に会ってどんな反応をするか見てみたい。会わせてやりたい。
「邸に部屋を用意させよう。だが彼女の前には出ず、存在も知らせるな。知れば追放する」
この人も不思議な人だ。姫さんを愛しているのはわかる。なら解放してやればいい。鎖に繋がれているって状況だけで弱る人間を、それでも繋いでいたいのか。
「感謝します」
姫さんにとっては何も変わらない。だけど俺は少し楽になった。
苦悩する人間が一人増えたが、想像するより目の当たりにしたほうがマシだな。
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