3 / 37
第1章 碧斗、小学1年生。あさひ、高校2年生。
2.
しおりを挟む
げた箱でうわばきにはき替える。教室へ行くのに廊下を歩いていると後ろから学校中にひびいてるんじゃないかってぐらい大声で名前を呼ばれた。
「あおとぉぉぉぉぉーーーーーー!!!」
その声はどんどん近づいて、勢いよくドンッとおれにぶつかって来た。
「おはよう!!!」
ドンッていうのはこの個体、戸村太陽が飛びついて来た音。
「またねぇーちゃんと手つないできたのか?」
背中にのしかかるように、太陽とはあまり背が変わらないから完全に身を任せられて正直重いしジャマなんだけど。しっこくのランドセルがつぶれるだろ。
「小学生にもなってねぇーちゃんと手つないで学校来るなんておれにはできないわ!」
ふふーっとまるでおれをあざ笑うかのように息を吹きかけてくる。
ちなみにあざ笑うは相手を見下してからかうように笑うことらしい、最近教えてもらった。
太陽がどかないからおれもそのまま廊下に突っ立ったまま。
「つーか、あさひはねぇーちゃんじゃねぇし」
「じゃあ何なの?」
「女の子」
「ふーーーっ、女の子ってお前っ」
ぶるんっとランドセルを左右に降って太陽を引き離した。鼻で笑われたのがなんかイラっと来たから。
「太陽も女の子と手ぐらいつないでみたら?」
「そんなことしたら男がすたれるだろ!」
「そんな女の子もいないんだろ、さみしいヤツだな」
「さみしくねぇーよ!わざと作らねぇんだよ!」
今度はガシッと肩を組んできた。ずっと教室に行けなくて、廊下で立ち話みたいになってきた。
「作ればいいのに」
「いらねぇよ!」
「そりゃあ、作ろうと思って作るもんじゃないけど誰かいねぇの?…例えば野崎美羽は?」
ちょうど目に入ったから。ずっと真っ直ぐ、廊下の端に見えたから。
大きな瞳に白い肌、ふわっとした長い髪を二つにむすんで、よくひらひらしたスカートをはいてる。
たぶん美羽はかわいい。
おれからしたらあさひのがかわいいけど。
「なんで美羽なんだよ!」
目に入ったからテキトーに言っただけで、特に意味なんかなかった。
なのに太陽の声が大きくなったのが気になった。さっきよりも二倍くらいの声で、そんな声に耳元で叫ばれたらビックリする。
「美羽がなに?」
ほら、遠くにいた美羽にも聞こえちゃったじゃんか。
これは絶対太陽のせいだ。わざわざ廊下の隅っこにいたのにこっちに走って来た。
「なんか太陽がぁ、手つないでくれる女子探してるみたいだからみ…っ」
“美羽どうかな?”って言おうとした口をふさがれた。もごってなった。
「なんでもねぇよ!美羽にはカンケーない話!」
「何その言い方ー!太陽が呼んだんでしょ!」
「呼んでねぇよ!勝手に美羽が来たんだろ!」
「来てないし!じゃあ勝手に私の話しないでよ!」
おれのことなんか置いてきぼりに急に言い合いが始まってしまった。
どうしよう、ここを離れるにも離れられない。
いいかげん教室へ行きたい。
すごいジャマなんだよな、早く手どけてくれないかなー。息しにくいんだよなー。
この言い合いをキョロキョロ黒目だけ動かして二人を見てた。ずっとおれの口をふさいだ太陽の手が熱くて仕方なかった。
「あおとぉぉぉぉぉーーーーーー!!!」
その声はどんどん近づいて、勢いよくドンッとおれにぶつかって来た。
「おはよう!!!」
ドンッていうのはこの個体、戸村太陽が飛びついて来た音。
「またねぇーちゃんと手つないできたのか?」
背中にのしかかるように、太陽とはあまり背が変わらないから完全に身を任せられて正直重いしジャマなんだけど。しっこくのランドセルがつぶれるだろ。
「小学生にもなってねぇーちゃんと手つないで学校来るなんておれにはできないわ!」
ふふーっとまるでおれをあざ笑うかのように息を吹きかけてくる。
ちなみにあざ笑うは相手を見下してからかうように笑うことらしい、最近教えてもらった。
太陽がどかないからおれもそのまま廊下に突っ立ったまま。
「つーか、あさひはねぇーちゃんじゃねぇし」
「じゃあ何なの?」
「女の子」
「ふーーーっ、女の子ってお前っ」
ぶるんっとランドセルを左右に降って太陽を引き離した。鼻で笑われたのがなんかイラっと来たから。
「太陽も女の子と手ぐらいつないでみたら?」
「そんなことしたら男がすたれるだろ!」
「そんな女の子もいないんだろ、さみしいヤツだな」
「さみしくねぇーよ!わざと作らねぇんだよ!」
今度はガシッと肩を組んできた。ずっと教室に行けなくて、廊下で立ち話みたいになってきた。
「作ればいいのに」
「いらねぇよ!」
「そりゃあ、作ろうと思って作るもんじゃないけど誰かいねぇの?…例えば野崎美羽は?」
ちょうど目に入ったから。ずっと真っ直ぐ、廊下の端に見えたから。
大きな瞳に白い肌、ふわっとした長い髪を二つにむすんで、よくひらひらしたスカートをはいてる。
たぶん美羽はかわいい。
おれからしたらあさひのがかわいいけど。
「なんで美羽なんだよ!」
目に入ったからテキトーに言っただけで、特に意味なんかなかった。
なのに太陽の声が大きくなったのが気になった。さっきよりも二倍くらいの声で、そんな声に耳元で叫ばれたらビックリする。
「美羽がなに?」
ほら、遠くにいた美羽にも聞こえちゃったじゃんか。
これは絶対太陽のせいだ。わざわざ廊下の隅っこにいたのにこっちに走って来た。
「なんか太陽がぁ、手つないでくれる女子探してるみたいだからみ…っ」
“美羽どうかな?”って言おうとした口をふさがれた。もごってなった。
「なんでもねぇよ!美羽にはカンケーない話!」
「何その言い方ー!太陽が呼んだんでしょ!」
「呼んでねぇよ!勝手に美羽が来たんだろ!」
「来てないし!じゃあ勝手に私の話しないでよ!」
おれのことなんか置いてきぼりに急に言い合いが始まってしまった。
どうしよう、ここを離れるにも離れられない。
いいかげん教室へ行きたい。
すごいジャマなんだよな、早く手どけてくれないかなー。息しにくいんだよなー。
この言い合いをキョロキョロ黒目だけ動かして二人を見てた。ずっとおれの口をふさいだ太陽の手が熱くて仕方なかった。
0
あなたにおすすめの小説
緑色の友達
石河 翠
児童書・童話
むかしむかしあるところに、大きな森に囲まれた小さな村がありました。そこに住む女の子ララは、祭りの前日に不思議な男の子に出会います。ところが男の子にはある秘密があったのです……。
こちらは小説家になろうにも投稿しております。
表紙は、貴様 二太郎様に描いて頂きました。
未来スコープ ―キスした相手がわからないって、どういうこと!?―
米田悠由
児童書・童話
「あのね、すごいもの見つけちゃったの!」
平凡な女子高生・月島彩奈が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。
それは、未来を“見る”だけでなく、“課題を通して導く”装置だった。
恋の予感、見知らぬ男子とのキス、そして次々に提示される不可解な課題──
彩奈は、未来スコープを通して、自分の運命に深く関わる人物と出会っていく。
未来スコープが映し出すのは、甘いだけではない未来。
誰かを想う気持ち、誰かに選ばれない痛み、そしてそれでも誰かを支えたいという願い。
夢と現実が交錯する中で、彩奈は「自分の気持ちを信じること」の意味を知っていく。
この物語は、恋と選択、そしてすれ違う想いの中で、自分の軸を見つけていく少女たちの記録です。
感情の揺らぎと、未来への確信が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第2作。
読後、きっと「誰かを想うとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。
俺と犬
KAORUwithAI
児童書・童話
ある日拾った、一匹の芝犬。
「芝犬だから、シバ」――そんなノリで名付けたけど、こいつただの犬じゃない。
食べ物は狙うし、散歩は俺が引っ張られるし、時々人の言葉わかってない?って顔する。
これは、ちょっと間抜けな俺と、妙に賢い(気がする)犬シバの、
クスッと笑えて、ちょっとだけ心あたたまる日々の記録。
はるのものがたり
柏木みのり
児童書・童話
春樹(はるき)が突然逝ってしまって一ヶ月。いつも自分を守ってくれていた最愛の兄を亡くした中学二年生の春花(はるか)と親友を亡くした中学三年生の俊(しゅん)は、隣の世界から春樹に来た招待状を受け取る。頼り切っていた兄がいなくなり少しずつ変わっていく春花とそれを見守る俊。学校の日常と『お隣』での様々な出来事の中、二人は気持ちを寄せ合い、春樹を失った悲しみを乗り越えようとする。
「9日間」「春の音が聴こえる」「魔法使いたちへ」と関連してくる物語。
(also @ なろう)
パンダを演じたツキノワグマ:愛されたのは僕ではなく、塗りたくった小麦粉だった
tom_eny
児童書・童話
「なぜ、あいつばかりが愛される?」
山奥の孤独なツキノワグマ・ゴローは、人々に熱狂的に愛される「パンダ」に嫉妬した。
里で見つけた小麦粉を被り、彼は偽りのアイドルへと変貌を遂げる。
人々を熱狂させた「純白の毛並み」。
しかし、真夏の灼熱がその嘘を暴き出す。
脂汗と混じり合い、ドロドロの汚泥となって溶け落ちる自己肯定感。
承認欲求の果てに、孤独な獣が最後に見つけた「本当の自分」の姿とは。
SNS時代の生きづらさを一頭の獣に託して描く、切なくも鋭い現代の寓話。
#AI補助利用
ミラー★みらくる!
桜 花音
児童書・童話
楠木莉菜、中学一年生。
それはわたしの本来の姿。
わたしは莉菜という存在をずっと見ていた、鏡の中にいる、もう一人のリナ。
わたしは最初から【鏡】の中にいた。
いつから、なんてわからない。
でもそれを嫌だと思った事はない。
だって鏡の向こうの〈あたし〉は楽しそうだったから。
友達と遊ぶのも部活も大好き。
そんな莉菜を見ているのは楽しかった。
でも唯一、莉菜を悩ませたもの。
それは勉強。
そんなに嫌?逃げたくなるくらい?
それならかわってあげられたらいいのに。
その瞬間、わたしと莉菜が入れ替わったの。
【鏡】の中で莉菜を見ていたわたしが、束の間の体験で得るものは……
【運命】と言われて困っています
桜 花音
児童書・童話
小6のはじまり。
遠山彩花のクラスである6年1組に転校生がやってきた。
男の子なのに、透き通るようにきれいな肌と、お人形さんみたいに、パッチリした茶色い瞳。
あまりにキレイすぎて、思わず教室のみんな、彼に視線が釘付けになった。
そんな彼が彩花にささやいた。
「やっと会えたね」
初めましてだと思うんだけど?
戸惑う彩花に彼はさらに秘密を教えてくれる。
彼は自らの中に“守護石”というものを宿していて、それがあると精霊と関われるようになるんだとか。
しかも、その彼の守護石の欠片を、なぜか彩花が持っているという。
どういうこと⁉
君との恋はシークレット
碧月あめり
児童書・童話
山田美音は、マンガとイラストを描くのが好きな中学二年生。学校では黒縁メガネをかけて地味に過ごしているが、その裏で人気ファッションモデル・星崎ミオンとして芸能活動をしている。
母の勧めでモデルをしている美音だが、本当は目立つことが好きではない。プライベートでは平穏に過ごしたい思っている美音は、学校ではモデルであることを隠していた。
ある日の放課後、美音は生徒会長も務めるクラスのクールイケメン・黒沢天馬とぶつかってメガネをはずした顔を見られてしまう。さらには、教室で好きなマンガの推しキャラに仕事の愚痴を言っているところを動画に撮られてしまう。
そのうえ、「星崎ミオンの本性をバラされたくなかったら、オレの雑用係やれ」と黒沢に脅されてしまい…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる