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2章 修行【魔界】
メフィストの冒険?④
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「ここら辺かな? あ、いた!」
今、メフィストは城の地下牢に来ていた。
勿論、不法侵入である。
「誰、だ……?」
メフィストが見つけたのはお目当てのソフィアの家族、公爵家当主であるソフィアの父だった。
公爵夫人とソフィアの兄は現在逃走中で、公爵から彼らの居場所を吐かせるために詰問という名の拷問を行っていた。
そのため公爵は非常に憔悴していた。そんな彼と対照的に、笑みを浮かべニコニコとしている少年はなんともミスマッチしていた。
「初めまして~公爵。 僕はメフィスト。魔界から君たちを助けに来たよ~」
「……君もわざわざここまで来て、そんなことを言いに来たのか! 私たちが……ソフィアが魔女だと言いたいのか!」
公爵は勢いよく鉄格子を掴み、射殺しそうな目付きでメフィストを睨む。
それはそうだ。娘が魔女だと処刑され、それを茶化すかのように、魔界から来たという男。
これを怒らないはずがない。
そんな公爵を見て、メフィストは心底可笑しそうに笑う。
「あははははははっ。あーあ、面白いね。別に、僕はソフィアを魔女だととは思ってないよ」
「では何を言いにき「僕はソフィアは悪魔だと思ってるよ」…………は? 悪魔、だと……娘を愚弄するのも大概にしろ!」
公爵は愛娘であるソフィアをさらにバカにされたと思いぶちギレた。公爵も人間にしては魔力量が多い部類に入るが、今、彼が入れられている檻は魔人族用のもので、硬度も人間ではどうしようもない。それに……威圧をかけている相手も相手である。
「あはは。人間にしては魔力多いんだねぇ~。でも、そんなに威圧しても僕には効かないよ? それと、そろそろやめないとソフィアの家族でも………潰しちゃうよ?」
そこで、公爵は目の前の者がただおちょくりに来たものでないことを理解した。
「君は………人間、人族か?」
メフィストは、公爵がいきなり自分の正体を人族ではないと疑ってきたことに少しの驚きと、興奮を感じた。
「ぷっ、あはははははっ! いいね、いいね! そうくるか~ 公爵はさ、僕が人に見えないのかな?」
「………」
公爵は何も答えず、無言でメフィストを睨む。
……いや、メフィストの動作から表情まで全てを観察している。しかし、その目には怯えが微かにあり、人間と疑っているのではなく、ほとんど確信を持った上で質問しているのだとメフィストは理解した。
「ふーん。勘が鋭いね。この姿を見ても、僕たちが人じゃないとは気付かないものなんだけどな~。気付いても人族以外だと思うくらいじゃない?」
そこで、公爵はメフィストから目を逸らさないが、なにかを思い出しながら答えた。
「……先程の」
「ん?」
「先程の威圧を受けた上で平然としているのは、人族では可笑しい。私は公爵だ。王家に次いで魔力も多い。それに……思い出したが君の容姿は日記に書いてあった」
「!?」
公爵家には、外に出さない……いや、出せない記録である日記があった。それは、初代の皇帝、の物である。
外に出せないのは、宗教的な問題が大きい。日記に度々出てくる悪魔はまるで友のようにかかれており、この国は神を信仰しており、初代が悪魔信仰していたとは絶対に出せない情報だった。それに………一番の問題はこの国の成り立ちは、悪魔を倒したことで出来たことになっていることだ。もし……もしも日記を表に出し、それが本物だとされた場合、この国は英雄の国から、悪魔の国と認識が代わり、周辺諸国の連合と戦争になるだろう。
「へぇ~、彼の日記。君達も持ってるんだ。全部回収したと思ったんだけどな~(読んじゃったのか……どうしようかな)」
メフィストは、封印を解かれてから初代に関する物を片っ端から処理していた。
勿論、それは王家が持っているものも含め、偽物に入れ換えたりといろいろと工夫しながら処理していた。
「そこから導き出される答えは……一つ。
信じられないが………君は悪魔、か」
「ふふふふふっ、せいか~い! 」
メフィストは黒い翼を露にした。
それと同時に、公爵の顔色は完全に消え失せた。いくらあり得ない伝説上の存在といえる悪魔がいたとしても、まさか目の前の者が本当にそうだとは思わない。
「あはは、なにその顔。予測してたんじゃないのぉ? まぁ、そんなに絶望した表情しなくてもいいよ。僕はとりあえず、君達の味方でもあるから」
メフィストはニコニコと告げる。
しかし、君達とは誰をどこまで指した言葉なのか………
公爵は、あまりにも大きな衝撃的事実にそのまま卒倒してしまいたかったが、それもできず、メフィストと今後について話し合うのだった……
ちなみに、メフィストはラディが生きてることは伝えたが、ソファアについては笑いながらかわした。公爵は死んだ娘をなぜ悪魔が同族と言うのかとても気になったが、メフィストが答えないため、今は復讐のためにも考えないようにした。しかし、この頭の回転が良い公爵は答えを見つけていた。しかし、本人にあってもいない上にメフィストが言ってこないのだから、もし、自分の出した答えどうりでももう会えないのかもしれない。守りきれなかったことを胸に公爵はそれも含め復讐することにした。
そんな公爵がソフィアと会えるのは……
今、メフィストは城の地下牢に来ていた。
勿論、不法侵入である。
「誰、だ……?」
メフィストが見つけたのはお目当てのソフィアの家族、公爵家当主であるソフィアの父だった。
公爵夫人とソフィアの兄は現在逃走中で、公爵から彼らの居場所を吐かせるために詰問という名の拷問を行っていた。
そのため公爵は非常に憔悴していた。そんな彼と対照的に、笑みを浮かべニコニコとしている少年はなんともミスマッチしていた。
「初めまして~公爵。 僕はメフィスト。魔界から君たちを助けに来たよ~」
「……君もわざわざここまで来て、そんなことを言いに来たのか! 私たちが……ソフィアが魔女だと言いたいのか!」
公爵は勢いよく鉄格子を掴み、射殺しそうな目付きでメフィストを睨む。
それはそうだ。娘が魔女だと処刑され、それを茶化すかのように、魔界から来たという男。
これを怒らないはずがない。
そんな公爵を見て、メフィストは心底可笑しそうに笑う。
「あははははははっ。あーあ、面白いね。別に、僕はソフィアを魔女だととは思ってないよ」
「では何を言いにき「僕はソフィアは悪魔だと思ってるよ」…………は? 悪魔、だと……娘を愚弄するのも大概にしろ!」
公爵は愛娘であるソフィアをさらにバカにされたと思いぶちギレた。公爵も人間にしては魔力量が多い部類に入るが、今、彼が入れられている檻は魔人族用のもので、硬度も人間ではどうしようもない。それに……威圧をかけている相手も相手である。
「あはは。人間にしては魔力多いんだねぇ~。でも、そんなに威圧しても僕には効かないよ? それと、そろそろやめないとソフィアの家族でも………潰しちゃうよ?」
そこで、公爵は目の前の者がただおちょくりに来たものでないことを理解した。
「君は………人間、人族か?」
メフィストは、公爵がいきなり自分の正体を人族ではないと疑ってきたことに少しの驚きと、興奮を感じた。
「ぷっ、あはははははっ! いいね、いいね! そうくるか~ 公爵はさ、僕が人に見えないのかな?」
「………」
公爵は何も答えず、無言でメフィストを睨む。
……いや、メフィストの動作から表情まで全てを観察している。しかし、その目には怯えが微かにあり、人間と疑っているのではなく、ほとんど確信を持った上で質問しているのだとメフィストは理解した。
「ふーん。勘が鋭いね。この姿を見ても、僕たちが人じゃないとは気付かないものなんだけどな~。気付いても人族以外だと思うくらいじゃない?」
そこで、公爵はメフィストから目を逸らさないが、なにかを思い出しながら答えた。
「……先程の」
「ん?」
「先程の威圧を受けた上で平然としているのは、人族では可笑しい。私は公爵だ。王家に次いで魔力も多い。それに……思い出したが君の容姿は日記に書いてあった」
「!?」
公爵家には、外に出さない……いや、出せない記録である日記があった。それは、初代の皇帝、の物である。
外に出せないのは、宗教的な問題が大きい。日記に度々出てくる悪魔はまるで友のようにかかれており、この国は神を信仰しており、初代が悪魔信仰していたとは絶対に出せない情報だった。それに………一番の問題はこの国の成り立ちは、悪魔を倒したことで出来たことになっていることだ。もし……もしも日記を表に出し、それが本物だとされた場合、この国は英雄の国から、悪魔の国と認識が代わり、周辺諸国の連合と戦争になるだろう。
「へぇ~、彼の日記。君達も持ってるんだ。全部回収したと思ったんだけどな~(読んじゃったのか……どうしようかな)」
メフィストは、封印を解かれてから初代に関する物を片っ端から処理していた。
勿論、それは王家が持っているものも含め、偽物に入れ換えたりといろいろと工夫しながら処理していた。
「そこから導き出される答えは……一つ。
信じられないが………君は悪魔、か」
「ふふふふふっ、せいか~い! 」
メフィストは黒い翼を露にした。
それと同時に、公爵の顔色は完全に消え失せた。いくらあり得ない伝説上の存在といえる悪魔がいたとしても、まさか目の前の者が本当にそうだとは思わない。
「あはは、なにその顔。予測してたんじゃないのぉ? まぁ、そんなに絶望した表情しなくてもいいよ。僕はとりあえず、君達の味方でもあるから」
メフィストはニコニコと告げる。
しかし、君達とは誰をどこまで指した言葉なのか………
公爵は、あまりにも大きな衝撃的事実にそのまま卒倒してしまいたかったが、それもできず、メフィストと今後について話し合うのだった……
ちなみに、メフィストはラディが生きてることは伝えたが、ソファアについては笑いながらかわした。公爵は死んだ娘をなぜ悪魔が同族と言うのかとても気になったが、メフィストが答えないため、今は復讐のためにも考えないようにした。しかし、この頭の回転が良い公爵は答えを見つけていた。しかし、本人にあってもいない上にメフィストが言ってこないのだから、もし、自分の出した答えどうりでももう会えないのかもしれない。守りきれなかったことを胸に公爵はそれも含め復讐することにした。
そんな公爵がソフィアと会えるのは……
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