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第9話 舞い降りたお姫様
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魔界城・謁見の間。
重厚な扉の向こうで、
魔界と人間界の代表が向かい合っていた。
魔王。
王子ノエル・クラーク。
勇者アルト・ヴォイド。
そして、それぞれの側近たち。
場の空気は、張りつめている。
「本日の議題は――」
人間側の使者が口を開いた、その時。
「ぱぱ!」
小さな声が、場の空気を一変させた。
とて、とて。
白いドレスの少女が、扉の隙間から顔を出す。
「……?」
ノエルとアルトの視線が、一斉に止まった。
――また、だ。
(前より……)
ノエルは、息をのむ。
(……綺麗になってる)
たった数日のはずなのに。
それなのに、確かに。
「セラフィナ」
魔王は、ため息混じりに言った。
「今日は、大事な話をしている」
「おはなし?」
「そうだ」
セラフィナは、きょろきょろと周囲を見回し――
そして、人間側を見つけた。
「あ……」
「このまえの、ひと」
その一言で。
ノエルとアルトの心臓が、同時に跳ねた。
「……また、あえた」
にこっと笑う。
それだけで。
「……っ」
アルトは、思わず視線を逸らした。
(まずい……)
ノエルは、指先に力が入る。
(分かってるのに……)
「ぱぱ」
セラフィナは、魔王の外套を引いた。
「このひとたち、なあに?」
「人間界の者たちだ」
「ふぅん……」
セラフィナは、少し考えてから言った。
「……おともだち?」
その瞬間。
協定の場は、完全に崩れた。
騎士たちの動揺。
側近たちの硬直。
そして――
「……はい」
ノエルが、無意識に答えていた。
「……っ!」
自分で言ってから、はっとする。
魔王の視線が、ゆっくりと向いた。
「ほう」
低く、底知れない声。
「友と、名乗るか」
ノエルは、背筋を正す。
「恐れ多いことですが……」
「そうなれたら、と」
アルトは、拳を握りしめながら言った。
「……俺も」
「守るって、決めました」
その言葉に、クロウ・フェルゼンの気配が変わる。
一歩、前へ。
剣に触れる――寸前。
「クロウ」
魔王が、短く制した。
「下がれ」
「……御意」
だが、その視線は人間たちから離れない。
魔王は、セラフィナを抱き上げる。
「セラフィナ」
「なあに?」
「お前がここにいるのは、
世界を守るためだ」
「せかい?」
「そうだ」
セラフィナは、よく分からないまま、
人間たちを見下ろした。
「……じゃあ」
小さな声で、言う。
「なかよく、するの?」
沈黙。
そして――
魔王は、ゆっくりと笑った。
「……あぁ」
「それが、今日結ぶ協定だ」
その瞬間。
魔界と人間界の代表たちは理解する。
この協定は、
文書ではなく。
一人の姫に、心を奪われた瞬間に成立した
ということを。
そして。
ノエル・クラークと、
アルト・ヴォイド。
二人の少年は、同時に悟った。
――もう、戻れない。
この小さな姫から、
目を逸らすことなど、できないのだと。
重厚な扉の向こうで、
魔界と人間界の代表が向かい合っていた。
魔王。
王子ノエル・クラーク。
勇者アルト・ヴォイド。
そして、それぞれの側近たち。
場の空気は、張りつめている。
「本日の議題は――」
人間側の使者が口を開いた、その時。
「ぱぱ!」
小さな声が、場の空気を一変させた。
とて、とて。
白いドレスの少女が、扉の隙間から顔を出す。
「……?」
ノエルとアルトの視線が、一斉に止まった。
――また、だ。
(前より……)
ノエルは、息をのむ。
(……綺麗になってる)
たった数日のはずなのに。
それなのに、確かに。
「セラフィナ」
魔王は、ため息混じりに言った。
「今日は、大事な話をしている」
「おはなし?」
「そうだ」
セラフィナは、きょろきょろと周囲を見回し――
そして、人間側を見つけた。
「あ……」
「このまえの、ひと」
その一言で。
ノエルとアルトの心臓が、同時に跳ねた。
「……また、あえた」
にこっと笑う。
それだけで。
「……っ」
アルトは、思わず視線を逸らした。
(まずい……)
ノエルは、指先に力が入る。
(分かってるのに……)
「ぱぱ」
セラフィナは、魔王の外套を引いた。
「このひとたち、なあに?」
「人間界の者たちだ」
「ふぅん……」
セラフィナは、少し考えてから言った。
「……おともだち?」
その瞬間。
協定の場は、完全に崩れた。
騎士たちの動揺。
側近たちの硬直。
そして――
「……はい」
ノエルが、無意識に答えていた。
「……っ!」
自分で言ってから、はっとする。
魔王の視線が、ゆっくりと向いた。
「ほう」
低く、底知れない声。
「友と、名乗るか」
ノエルは、背筋を正す。
「恐れ多いことですが……」
「そうなれたら、と」
アルトは、拳を握りしめながら言った。
「……俺も」
「守るって、決めました」
その言葉に、クロウ・フェルゼンの気配が変わる。
一歩、前へ。
剣に触れる――寸前。
「クロウ」
魔王が、短く制した。
「下がれ」
「……御意」
だが、その視線は人間たちから離れない。
魔王は、セラフィナを抱き上げる。
「セラフィナ」
「なあに?」
「お前がここにいるのは、
世界を守るためだ」
「せかい?」
「そうだ」
セラフィナは、よく分からないまま、
人間たちを見下ろした。
「……じゃあ」
小さな声で、言う。
「なかよく、するの?」
沈黙。
そして――
魔王は、ゆっくりと笑った。
「……あぁ」
「それが、今日結ぶ協定だ」
その瞬間。
魔界と人間界の代表たちは理解する。
この協定は、
文書ではなく。
一人の姫に、心を奪われた瞬間に成立した
ということを。
そして。
ノエル・クラークと、
アルト・ヴォイド。
二人の少年は、同時に悟った。
――もう、戻れない。
この小さな姫から、
目を逸らすことなど、できないのだと。
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